謝愛娥:船上で3万人を診た医者

 

謝愛娥さん(48)は湖北省洪湖市にある船頭嘴村の村医だ。1992年、新婚だった謝さんと夫は船頭嘴村の診療所が医者を2人募集していると聞いて2人とも申し込んだ。以前の洪湖市には診療所がなかったので、難産の漁民の妊婦が交通の不便が原因で救助が遅れて不幸にして亡くなる悲劇があり、その後、村には小船を改造した20平方㍍もない診療所が造られた。謝さん夫婦はそこで生活することになり、船に1室しかない船室を医務室にして、夫婦は、夏は蒸し暑く冬は寒い船底に住んだ。だが2人が来たおかげで600人余りの村民の診察難が解決された。

小船の医務室には多いときで1日で50人以上の病人が訪れ、時には謝さんが船をこいで漁民のところまで診察に行った。25年間で夫婦が診た患者の数は3万人以上に上り、往診は3000回を超える。病人が必要としていれば、夫婦は昼夜を問わず往診に出掛けた。25年間で謝さんは何度か船の医務室から職場を換える機会があったが、それでも彼女はここに残ることを選んだ。「長い時間いたので周りの人々ともとても親しくなりました。彼らも私を家族のように扱ってくれるので、離れるのはつらいです」と謝さんは語る。

船の上の医者を25年続けた謝さんは漁民一人一人に公共衛生ファイルをつくり、彼らの健康状況を把握しやすくした。重病人が出て大病院に行かなければいけないときには謝さんが彼らと一緒に町へ行き、出先での面倒を見た。

2006年に謝さんは共産党員になり、今年はさらに19大の代表に選ばれた。謝さんはこれに対し「私は現場で働く村医です。19大の代表に選ばれたことを非常に光栄に思うと同時に、両肩に担う責任も重たくなったと感じました。私の力が及ぶ範囲で農村医療のために多くのことをやっていきたいです」と語った。

近年、洪湖湿地生態環境保護への取り組みの実施に伴い、長年船を家にしていた漁民も続々と陸上で生活するようになり、現地政府は漁民の各居住区に新しい診療所を置いた。現在、謝さんも居住区の診療所でこれまで同様漁民に医療サービスを提供している。

青春と愛情を洪湖の漁民に捧げた謝さんは陸上生活に戻ったときにこう語った。「私は一人の党員です。人民がどこにいてもそこへ行き、彼らの健康のために奉仕します。初心を忘れず、いつも人民と共にいるべきです」

 

人民中国インターネット版

 

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850