専門家が読み解く第19回党大会報告の10大キーワード

中国共産党第19回全国代表大会(第19回党大会)が18日北京の人民大会堂で盛大に開幕した。習近平総書記が第18期中央委員会を代表して報告を行った。ここでは報告で言及されたキーワードについて専門家が読み解く。

(1)新時代

【第19回党大会報告における内容】長期にわたる努力を経て、中国の特色ある社会主義は新時代に入った。これは、中国の発展における新たな歴史的位置付けだ。

【辛鳴・中共中央党校教授】これは中国の社会発展の歴史的位置付けに対して中国共産党が提示する新たな判断。現段階において、われわれの生産力の発展は相当な水準に達している。新時代に入った後、中国の特色ある社会主義はすでに発展の段階を完成し、その後の方向への邁進を始める。この新たな判断を、将来の発展の実践においてどのように体現していくのか?われわれは新たな指導思想、新たな理論武装を必要としている。これが新時代の中国の特色ある社会主義思想だ。これは現代の中国共産党員がマルクス主義の基本原理を中国の発展の実践と結びつけた、マルクス主義中国化の最新の成果を体現する、中国の特色ある社会主義をさらに大きな勝利へと導く行動指針だ。

(2)強くなる

【第19回党大会報告における内容】中国の特色ある社会主義が新時代に入ったことは、近代以来長期にわたり苦難を味わった中華民族が立ち上がり、豊かになり、強くなった偉大な飛躍であり、中華民族の偉大な復興の実現に明るい前途が開けていることを意味する。

【胡鞍鋼・清華大学国情研究院院長】中国が「強くなる」ことは、力強い執政を行う党の建設、より質を重視した経済発展、より質のある成長を図ることに体現され、民生の改善と社会福祉の向上に体現される。また、文化事業の発展と文化に対する自信の高まりに体現される。エコ現代化の発展先導に体現され、美しい中国の建設は目覚ましい成果を挙げる。「豊かになる」から「強くなる」への5年間は、第1の百年奮闘目標の勝利達成を間近に将来を切り開く肝要な5年間となる。新たな5年間を展望すると、中国は習近平同志を核心とする党中央の指導の下、引き続き全体目標「五位一体」と戦略目標「4つの全面」を堅持し、人々の全面的発展と社会の全面的進歩のためにたゆまず努力し、世界の舞台の中心において全人類のために新たな、より大きな貢献をしていく。

(3)主な矛盾

【第19回党大会報告における内容】中国の特色ある社会主義は新時代に入り、中国の主な社会的矛盾は人民の日に日に増大する素晴らしい生活への需要と、不均衡で不十分な発展との間にある矛盾へとすでに変化している。

【曹東勃・上海財経大学マルクス主義学院副教授】物質文明の建設から精神文明の建設へ、そしてそれに続く政治文明の建設、調和社会の建設、エコ文明の建設は、改革開放30年余りの発展の歩みによって自ずと導かれた結果だ。現代社会では、民主、法治、公平、正義、安全、環境に対する人々の要求も日増しに高まっており、すでに物質文化への要求で単純に概括することはできず、経済建設のみに頼って問題を解決することもできない。この意味において、新たな社会の主な矛盾という言葉が指し示すのは、人々の全面的発展であり、中国の特色ある社会主義の全体目標「五位一体」と戦略目標「4つの全面」とより切れ目なく連結し、より緊密にかみ合うものだ。

(4)4つの偉大

【第19回党大会報告における内容】偉大な闘争と偉大なプロジェクト、偉大な事業、偉大な夢は、緊密に結びつきあい、互いに通じ合い、互いに作用しあうものであり、その中で決定的な役割を果たすのは党建設の新たな偉大なプロジェクトである。

【韓慶祥・中共中央党校教授】改革開放以来、中国の改革開放と社会主義現代化建設の実践経験に対する党大会の理論的総括は、いずれも程度の差こそあれ、全体思考である「4つの偉大」を貫いてきた。中国の改革開放と社会主義現代化建設の実践も「4つの偉大」という整った論理を持っている。「4つの偉大」に内在するロジックとは、中国の特色ある社会主義の偉大な事業を推し進める目標は、中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現であり、中国の特色ある社会主義は中華民族の偉大な復興を実現する上で必ず通らなければならない道だ。中国の夢の実現は一挙には達成できず、極めて困難で曲折ある過程であり、中国の夢を実現するには、新たな歴史的特徴を持つ多くの偉大な闘争を積極的に進めなければならない。この偉大な闘争をしっかりと指導し、進めるには、党建設を推進し、党の指導を強化し、完全なものにしなければならないというものだ。

(5)全面的小康

【第19回党大会報告における内容】現在から2020年までは、小康社会の全面的完成の決戦の時期である。第16回、第17回、第18回党大会で打ち出された小康社会の全面的完成に向けた諸般の要求に基づいて、中国の主な社会的矛盾の変化をしっかりと踏まえ、経済建設・政治建設・文化建設・社会建設・生態文明建設を統一的に推し進める。

【汪玉凱・国家情報化専門家諮問委員会委員、国家行政学院教授】小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的完成の決戦とは主として時間的概念であり、具体的には2020年までに小康社会を全面的に完成することを指す。「全面的完成」とは全国のどの地方、どんな人も取り残されないことを意味しており、例えば831の貧困県全てを解消することだ。これは非常に強い時間的要求であり、小康社会の全面的完成という目標は確実に決戦の段階に達している。もし「決戦」の姿勢でこの目標を達成しなければ、今後の段階における目標は展開が困難となる。

 

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