習近平氏の「19大報告」を読んで

東京大学社会科学研究所教授 丸川知雄

中国共産党は2020年までに中国から貧困を撲滅して「小康レベル」に達することを目指してきたが、今回の報告ではさらにその先の目標として2035年には「社会主義現代化」をほぼ実現し、21世紀半ばには「社会主義現代化強国」を実現するとしている。私の予測では中国は2030年までには経済規模でアメリカを抜いて世界一となり、技術においても世界をリードする存在となっているだろう。報告では21世紀半ばに「総合国力と国際的影響力において世界をリードする国」になることを目指すというのだが、現時点で中国の貿易額はアメリカを上回っており、その意味ではすでに強大な影響力を持っている。2030年までに中国は国力と影響力で世界をリードするようになることは疑いない。

むしろ心配なのは世界が果たして21世紀半ばまでおおむね平和と安定を保てるかである。このままでは気候変動により、人類は自然災害の頻発に苛まれるだろう。朝鮮半島での緊張が高まり、戦争の危険が増している。アフリカや南アジアでは「小康レベル」の実現はまだ遠い。資源の有限性や温室効果ガスのことを考えれば今世紀半ばには化石燃料への依存から脱却し、再生可能エネルギーへの全面的切り替えが必要であろう。

これからの中国にはこうした地球規模の課題の解決に積極的・先導的役割を果たしてほしい。世界からの貧困撲滅に中国の知恵と経済力を生かしてほしい。中国の国力は地球規模の課題解決に用いるべきだし、そうすることで中国の国際的影響力はおのずから拡大するであろう。

人民中国インターネット版 201710月25

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