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伝統のすずり制作20年―青島即墨の潘明燦さん

 

 潘明燦さんが制作した文人硯の逸品

すずり、筆、墨、紙は、中国伝統文化では文房四宝(ぶんぼうしほう)と呼ばれ、文人の卓上必需品だ。53歳の青島即墨藍村鎮五里村の住人・潘明燦さんは、伝統的なすずり制作技術を20年間守り通し、各制作工程に全身全霊を傾注し、文学芸術の精髄と伝統的、歴史的な典拠を十分に混ぜ込んでいる。 潘さんの寝室に入ると、床、窓台、卓上に、独特な造形で、精巧に彫刻されたさまざまなすずりがおいてある。潘さんの紹介によると、彼の祖父は私塾の教師で、よい文字の書き手でもあり、幼少のころから祖父の薫陶を受け、次第に書道の練習が好きになった。1983年に入営後、彼は部隊付きの書道家に師事して練習し、帰郷後、彼は暇を見つけては練習に励んだ。彼は大きな文字を書くことが好きになり、大きなすずりで墨をすりたくなった。書道仲間と交流しているうちに、近くにある馬山石ですずりを作れることを知り、石材を探して自分ですずりを作る考えが芽生えてきた。

1997年に、隣家が改築した時、潘さんはたまたま旧宅の土台の中から石のかけらを見つけ、すずりに削り始めてみると、グリーンと黄色の2色が現れ、比較的硬く、彫るのは容易でなかった。すずりが完成すると、彼はすずりの上部に「黄河の水は天からやってきた」という李白の詩の一節を刻み、実用、観賞用を兼ねるようにした。それ以降、彼は伝統的なすずり制作に夢中になり、前後して馬山石を使って、大小合わせて10個のすずりを作った。 「すずりを作るには非常に長い時間を費やします。早くても4、5日、遅い時には数カ月かかりますよ」と潘さん。最もよく見掛けるすずりの材料は石材で、広東省・端渓の端硯、安徽省・歙県の歙硯、甘粛省南部の洮河硯、河南省洛陽の澄泥硯は「中国4大名硯」と呼ばれている。すずり制作には材料選び、デザイン、切削、彫刻、研磨、洗浄、ふたの組み合わせなどの十数段階の工程があり、彫刻をする前に、先に腹案を練って、材料の石の形状を最大限に保ち、そのうえで、創意に基づいて彫り刻む。彫刻は石自身の厚さ、大きさ、材質、形状に基づいて、それにふさわしい人物、動物、花鳥、風景などを刻む。1本の普通の彫刻刀で、深彫り、浅彫り、斜め彫り、細かい彫り、線彫りや細かな中空を彫ることもできる。

 切削  研磨  彫刻
 

「すずりの制作は単に外観の美しさだけではなく、よりこだわるのは実用性と観賞性です」と潘さん。古代のすずりは宮廷すずり、職人すずり、文人すずりの3種類にほぼ分けられる。昔から、彼が特に関心を持ってきたのは文人すずりで、それぞれのすずりに来歴、物語、創作理念を詩で表現し、そのすずりに刻んできた。20年間、潘さんは前後して300~400個のすずりを作ったが、特に気に入ったものは30~40個しかない。彼はここ2年余の間にいくつかの文人すずりを制作し、ある程度の数がまとまったら、すずり展を開き、『硯譜(けんぷ)』を出している。 (馬丙政)

 

人民中国インターネット版 2017年11月14日

 

 
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