人の温かさ

今回の研修旅行は短いからこそ、中身がぎゅっと詰まったものになり、本当に忘れられない思い出となりました。最も印象に残っているのは中国の方たちの温かさです。研修旅行をリードして下さった『人民中国』の方たち、そして、各地の大学生の方たちの優しさに触れて、本当に感謝の念しかないです。

特に印象に残っているのは、天津での学生との交流です。時間が限られていたため、天津外国語大学の学生たちと交流する時間はほとんどありませんでした。それにも関わらず、積極的に日本語で話しかけてくれて、さまざまな料理の日本語名を教えてくれて、おすすめの料理を教えてくれました。数時間の交流のためだけに、本当に心を込めて様々な準備をしてくれたのだと伝わってきました。

日本に対して親しみを持ち、理解を示し、温かく受け入れてくれる方がこれほどにも多いということは一つの発見でした。

一人の学生は、これから中国の外交部に入る、と語っていました。彼は、大学に入学してから日本語を学び、長期留学の経験がないにも関わらず、日本人のように流暢な日本語を操っていました。近いうちに、きっと日本で再会できるのではないかと思います。その日が楽しみです。

様々な場所の中で最も印象深かったのは上海です。以前、私は半年間上海に留学していました。留学生という気軽な身分で上海に滞在したためか、楽しい記憶だけが山のように積み重なりました。結果として今では世界中のどこよりも上海が好きです。

留学当時、外灘には何度も行きました。その度に美しいと感じました。今回改めて外灘に赴き、その美しさに改めて目を奪われました。大抵の観光地には飽きる、ということがあります。しかし、外灘は百回行っても飽きないだろうと思いました。

上海環球金融中心では、森ビルの方から、浦東の立体的な遊歩道は森ビルによる提案だという話を初めて伺いました。そして、上海の中心地にも、実は具体的な日中の協力が隠れていた、と知り、非常に感銘を受けました。

日本では相変わらず中国を面白おかしく描くメディアが目立ち、中国に対する反感を煽り立てるような書籍が書店に平積みされています。中国をはじめとする東アジアの人たちと友好的な関係を築いていこうという機運が高まっているとは言い難い状況です。個人的には非常に残念に思います。しかし、今回の研修旅行が証明しているようにちょっとしたきっかけを通して向き合えば、理解し合うことは決して難しくありません。魯迅と内山完造の友情からも分かるように、人として向き合えば人の温かさが伝わり合い、国籍をまたいだ協力は成り立ち、きっと分かりあうことができるはずです。

今回は本当に貴重な機会を下さり、ありがとうございます。今回の経験と中国の方たちとのつながりを、これからの私自身の中国研究にも活かしていきたいです。


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