未来のため交流の種をまく |
先人たちの足跡をたどることも、歴史の傷痕に直面することも、未来へ向かって中日友好の種を受け継いでいくためだ。そのために、中日友好の第一線で活躍する先輩たちの話を聞き、相手国の同世代と考え方を理解し合うのは、とても重要なことである。 「中日友好の基礎は、両国民の間に広く深く根付く友情であり、民間交流の広がりは、後に中日友好を促す大きな力となる」。元中国文化部副部長の劉徳有氏は、訪中団一行のために外文局で講演を行った。1950年代から今に至るまで、劉徳有氏は中日友好事業に力を尽くしてきた。その半世紀にわたるエピソードが語られた。講演を聞いた新斗米創さん(19)は、「先人たちが受け継いできた友誼の懸け橋を今度は私たち若者が受け継いでいかなければならないと自覚させられた。この訪中を機に中国の人々との交流を大切にしていきたい」と感無量の様子だった。 劉徳有氏の言うように、共通点を求めると同時に、異なる文化も伝えなければならない。交流において重要なのは伝えることだ。講演の後、日本の青年たちは中国の大学生たちと若者同士の対話をし、中日におけるさまざまな話題について意見を交わした。中日関係における青年の役割から就職、生活、恋愛などの身近な問題まで、両国の青年たちは何でも語り合い、考え方のぶつかり合いを通して深く相手を知り、そして相手にも自分を知ってもらった。 南京訪問の期間中、訪中団の引率を担当した南京市外事弁公室アジア処の孫曼処長も長年にわたり中日友好に努めてきた一人だ。8歳の時、南京小紅花芸術団の団員として、日本へ演奏ツアーに赴いたことがある。その時に日本人の優しさと親切さを感じ、彼女は日本に好感を抱いた。そうして、独学で日本語を学び、南京市外事弁公室に就職し、中日交流の仕事をするようになった。今年、彼女の息子の呉嘯風さんもめでたく南京大学に合格し、9月から日本文学を専攻し始めた。彼もまた今回の交流活動に参加していた。 出会いと感動に満ちた旅も終わりに近づき、訪中団は最後の2日間を上海で過ごした。日本帰国の前日、一行は上海環球金融センターを訪れた。ここで、森ビル株式会社特別顧問の星屋秀幸氏は、自らの40年近くの中国体験を交えて、青年たちに次のような問題を提示した。「中国は空高く昇っていく龍である。日本は、中国とうまく付き合い一緒に昇っていくのか、それともこのまま落ちていくのかという選択を迫られている」。7日間の訪問交流を通じて、日本の青年たちはこの問題について、深く考えることができただろう。そして、もう自分なりに答えを出している人もいただろう。 中日間の本当の相互理解は、長く、そして険しい道のりの向こうにある。この道を歩いて行く者として、訪中団の青年たちは今回の訪中を通じて、中国に対する見方が変わったとよく口にした。鈴木あかねさん(19)は、「最初に来るときは結構心配していた。でも来てみたら全然違って、(中国人は)日本人以上に人のことを気にしてくれて、すごくいい人たちだと思った。今後どうやってこのことを伝えていくかということが自分の中の課題だ」と、今回の旅を通しての考え方の変化を語った。 訪中団が北京を出発し、出会いの旅路に就く前、人民中国雑誌社の陳文戈社長は、「それぞれ独自の視点から中国を観察し、体と思考の両方で、そのままの中国に触れてほしい」と彼らの旅に期待を寄せた。また、人民中国雑誌社の王衆一総編集長も青年たちに中国を感じ取る極意を伝えた。「できるだけたくさん、聴く、見る、考えること。読む、飲む、歩くこと。撮る、書く、伝えること」 日本の青年たちは旅の過程で、偉人と出会い、歴史と出会い、未来と出会った。そして今の中国をたくさん見て、考えて、記録した。これらの思い出は全て中日友好の種となって彼らの心の中に根付き、後に大きな美しい花を咲かせることだろう。 本誌では入賞した作文および訪中団の感想を今年1月号より順次掲載していく。ぜひこれらの作品に目を通し、友好の種をさらに多くの人と共有してもらいたい。 |
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