共有遺産と詩意の最大公約数

2017-12-27 14:27:45

人民中国雑誌社総編集長 王衆一=文

 

 

 

说明: D:\新栏目素材\节气与花\201801\王众一1.JPG二十四節気は中国が発祥の地だが、東アジアの農業生産を主とする国々に伝わって共有の歴史文化遺産となった。

 四季がはっきりしており、植物の開花期も非常に規則的であるため、季節や草花の開花期の移り変わりを文化的に昇華し、風物に気持ちを託した詩文がたくさん生まれた。

漢詩にはこのような「風物詩」が多い。一方、「五・七・五」の音節を特徴とする俳句は、日本独特の美意識によって、独自の体系を成している。

 「詩吟」で「漢詩」を日本に溶け込ませたと同じように、1980年代、中日友好の蜜月期において、「漢俳」の試みも時運に応じて現れた。昨年、本誌で連載された劉徳有氏の回想録はそのころの歴史を映し出していた。

「五・七・五」の漢字で構成された漢俳は、短い詩のように、そのリズムや美感が中国語の文脈においても受け入れられた。十数年前に漢俳風のテレビコマーシャルを見たのは今も記憶に新しい。「今日又聚首,友情就像豊谷酒,滴滴在心頭(めぐりあう 旧友の情 酒の味)」

 俳句の漢訳は七言二句の形式が多く、傑作が多数生み出されてきた。王岩氏による七言二句の俳句漢訳からは、十分に技量が見て取れる。

 劉徳有、王岩両氏から刺激を受け、昨年から二十四節気や関係草花を詠む名句を選び、王岩氏とそれぞれ「漢俳」と七言二句で漢訳を行い、『人民中国』の微信(中国版LINE)公式アカウントで発信したところ、広く注目された。

 より多くの日本の読者にも見てもらいたいと、来月から誌上連載を始める。これは俳句翻訳の多角的な試みであり、中日文化交流に寄与した漢俳に対する敬意と伝承でもあり、また共有の文化遺産をめぐって、審美と情感の最大公約数を発見する試みでもある。互いの文化を尊重し学び合うこのような模索がより多くの読者の共感を得られるよう望む。

 

 

漢詩と俳句の美の接点を見つけて

俳人協会終身会員 王岩=文

 

说明: D:\新栏目素材\节气与花\201801\wangyan.jpg王衆一氏から節気や花鳥に関する俳句を漢訳して、中国の読者に紹介したいという連絡が入って、なるほどと感心した。というのは、花鳥風月を有季定型で詠む伝統俳句は、春夏秋冬の季節感を表すために、その季節を示す季語が詠み込まれるべく定められているほど節気との関係が深いからである。漢詩には節気を詠んだ詩句がいくらでも挙げられるように、二十四節気の名称そのものは季語として俳句の中にも早くから定着し多く詠まれている。少しその趣が異なるが、同じく季節感に敏感な文学として両者は影響し合って今日に至る。

今まで中国における俳句漢訳の形式は実にさまざまに試みられ、「百花斉放」の様相を呈する。「古池や蛙飛び込む水の音」という芭蕉の名句を見るだけでも、五絶という伝統詩句型をはじめ、多彩な形式による漢訳が存在する。

私は蕪村の俳句を七言二句で漢訳したことがあって、直ちに七言二句体を用いることにしたが、漢俳を善くする王衆一氏は迷わず得意な漢俳体に決めた。つまり違うアプローチで俳句の醍醐味を醸し出そうと試みる。もちろん、2人とも「信・達・雅」という翻訳基準を踏んで、俳句を流ちょうかつ高雅な漢語でできる限り正確に再現するよう心掛けるべく、極小の詩形に凝縮された俳句という日本にしかないお茶を、漢語というお湯をもって風味豊かに入れようと努力したい。

 この度、私たちによる漢訳を通して少しでも中日文化の交流に貢献できれば、これ以上の幸せはない。「山川 域を異にすれども、風月 天を同じうす」と歌われたように、俳句と漢訳とを対照しながら鑑賞していただいて、中日の共有する文化遺産および詩的な感動への再認識を促す契機となれるよう期待している。

 日中の山河美し初明り

  中国に日の本に満つ淑気かな

 

 

 

 
関連文章