「立夏」と「小満」

2021-01-13 08:48:33

世界無形文化遺産リストに登録された二十四節気は東アジアの農業生産を主とする国々の共有の文化遺産である。節気や花に関する俳句を漢訳して、読者に漢語の詩形の多様性を理解していただくと同時に、「和して同ぜず」といった俳句と漢詩との趣の違いを味わっていただきたい。今月は、「立夏」と「小満」という二つの節気に合わせて、カキツバタ」と「バラを描いた俳句を選び、王衆一総編集長が「漢俳」で、日本俳句協会会員の王岩氏が「漢詩」の七言二句で漢訳し、読者と共に鑑賞する。

 

 五月五日

{はない}花活けて {りっか}立夏の{たく}卓を {かざ}飾りけり

(稲畑汀子)

采来时令花

装点桌面迎立夏 

玲珑瓶中插

 

时令花卉插瓶中

妆点立夏桌几明   

 

よりそひて {しず}静かなるかな かきつばた

(高浜虚子)

相依共绽发      

悄无声息入初夏

美哉鸢尾花

 

静静相偎开丽葩

簇生朵朵燕子花 

 

 五月二十一日

{しょうまん}小満の {かぜ}風を{あお}青しと {あそ}遊びけり

(草間時彦)

小满起微       

拂遍四野尽葱茏

欢嬉一身轻

 

生气勃勃小满风

嬉戏造化万物青

 

{うれ}愁ひつつ{おか}岡に{のぼ}登れば はないばら

(与謝蕪村)

朱夏起愁怀      

形影相吊登古台

蔷薇入眼来

 

愁绪悠悠登古丘   

蔷薇处处尽含

 

簡体字(中国)・常用漢字(日本) 対応表

立夏 

采—採  时—時   妆—  几—幾  发—発   丽—麗

 小満 

风—風 欢—歓 轻—軽 怀—懷  处—処 忧—憂

 

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