『中国新聞週刊』 ワクチンを待つ

2020-12-07 14:37:04

 

 新型コロナウイルスは強い感染力と比較的高い致死率を持つため、ワクチンを通じて集団免疫を実現することが、世界的大流行を封じる唯一の解決策とされている。幸いなことに、ウイルスのゲノム配列が発表された8カ月後、8種類の新型コロナウイルスワクチンが第3相臨床試験に入っている。しかし、集団免疫の実現には世界の70~90%の人口が免疫を持つことが必要とされ、2回の接種により初めて効果が発揮されるという標準的計算では、世界的な大流行を抑えるためには少なくとも100億本の新型コロナウイルスワクチンが必要とされる。短期間にどうやってそんなに多くのワクチンを生産するかというのが、現在直面している最大の問題だ。大量の不足が世界のワクチン配給の不均衡をいっそう激化させる可能性があり、大流行から脱却するスピードを鈍らせる。これによって、ワクチンが不足する国は感染拡大の苦境から抜け出せず、感染症をすでに抑制している国にとっても、主に次のような二つのリスクがある。まず、このウイルスが変異するかどうかは誰も予測できないため、全ての国が集団免疫を実現する前に、ウイルスが復活する可能性がいまだ存在すること。もう一つは、感染症を撲滅する前に、十分なワクチンを入手したとしても、新型コロナがもたらす世界的な景気後退から無関係でいられるわけではないということだ。そのため、世界的に数に限りのあるワクチンを共有することは、戦略的にも実情と照らし合わせても、全ての国の利益に合致することとなる。2020年9月14日 

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