皮膚感覚の理解を深めよう 往来が増えれば絶縁層は消える

2017-12-27 13:49:17

 

月日は慌ただしく流れて、2017年のカレンダーは残すところ最後の1㌻となり、さまざまな日程でほとんど埋まっている手帳を見ると、「師走」の実感が湧いてくる。

最近、中国では中国共産党第19回全国代表大会(党大会、十九大)が開催され、今後数年の政治、経済を導く次のような基本認識を掲げた。その趣旨は「わが国の主要な社会矛盾は、人民の日増しに増大する素晴らしい生活への需要と発展の不均衡・不十分との矛盾へと変化している」である。中国は質的な経済発展を追求し始めた。

一方、日本では総選挙が行われ、選挙結果からみると、安倍晋三首相は自民党内でも国会でも、「一枝独秀(他の枝の花は咲かず、一枝にだけ花が咲いている状況)」の態勢を維持した。日本のメディアによると、21年まで安倍政権が持続するのは間違いないそうだ。安倍政権は強力なだけでなく、政権担当期間の長さという特徴も維持している。

さて、中日間を行き来している両国の普通のビジネスパーソンは両国の政治的な変化を見ると同時に、経済、社会の変化は新たな年にどのような影響を与えると見ているのだろうか?筆者は年の瀬を迎えた北京と東京で日本、中国のビジネスパーソンに話を聞いてみた。

真の中国を見ない日本人

5年ぶりに中国に赴任したTさんは、日本料理店に入り、80元(約1300円)の定食にするか、それとも120元(約2000円)のにしようかと考えていた。ふと見ると、Tさんの娘と同じ年頃の中国人女性がごく当たり前のように120元の定食をオーダーしていた。改めて店内を見回すと、日本人客は彼1人だった。

5年前に、ここで接客していたのが全部日本人のビジネスパーソンだったわけではないが、中国人客が多くなかったのは確かだ。日本に帰国していた数年、Tさんは東京・新宿で食べる1000円の昼食セットがお気に入りで、会社の若い社員たちは、普通、500円程度の昼食で済ませていた。昼食に費やす金額の違いは、再び中国で仕事を始めたTさんに強烈な印象を与えた。

前回、中国で暮らした時には、夫人も同伴した。彼女は簡単な中国語しか話せなかったので、普通の中国人と付き合っていたとはいえなかったが、毎日食材を買って食事を作り、中国での生活に対してさまざまな感慨はあったようだ。例えば、中国の子どもたちの勉強ぶりなどは、中国人から見ればごく当たり前なのだが、T夫人は日本の子どもたちの勉強する態度とは天地の差があると感じていたようだ。

今回北京に来て、文部科学省が海外に住む日本人子女の教育機関として認定している日本人学校の実情を聞くと、児童生徒数が往時の約700人から半減し、今後、さらに減少するとみられ、Tさんは中国在住の日本人は以前と比べてかなり減っていることを知った。普通の日本人と中国人が接触する機会は、ますます少なくなり、メディアを通じた間接的な接触が増えているように感じた。

  日本の新聞を見ていると、中国は経済成長速度が急降下し、大気汚染は中国経済発展のボトルネックになり、指導部の派閥闘争はますます激化しているなど、この5年来の中国報道は来る日も来る日も人名、地名を変え、新しいデータに変えれば済むといった方式を続けているようだ。中国の普通の生活に対する理解を欠き、印象の中の中国はリスクが巨大な国にしかすぎず、ビジネスチャンスがあると想像もせず、さらに日本料理店で中国人客がお金を使っている現実をまるで知らないようだ。

中国人も日本を知らない

中国人のMさんは今年7月から東京で働いている。これまで何回も出張で来たことがあり、日本に対する知識はある方だと思っていた。ところが、今回、日本で生活してみて、日本社会に驚天動地の変化が起きていることに気が付いた。

  日本に赴任した当初、Mさんは中国にいたころの習慣で、地下鉄の駅を出ると、ついシェア自転車を探したが、東京では見当たらない。実際、地下鉄駅から会社まで、徒歩7分で、自転車に乗るほどの距離ではない。中国では、Mさんは毎日、数社の得意先を回らなければならないが、どの社も駅から遠く、タクシーを使うには道路が混んでいて、時間が読めないため、シェア自転車を利用することが多い。それに比べれば、日本の地下鉄は駅と駅の間の距離が短く、地下鉄駅から近い会社が多く、アクセスはさほど問題ではない。

Mさんが住む住宅街には、携帯電話で支払いができる飲食店や商店は1軒もない。日本ではお金を払うにしても、釣銭を受け取るにしても、偽札検査が要らない。日本では現金払いに何の支障もない。

  北京と比べると、東京では家を買うにしても、借りるにしてもとても安く、全ての人が健康保険に入っており、選り好みしなければ、仕事を探すのも簡単で、最近は残業させる会社も減っている。中国人が「爆買い」した商品は、もともと日本でごくありふれた日用品ですぐ手に入り、これにもMさんは大いに満足している。彼は中国の市民生活は今後、日本のこうした段階に進まなければならないと感じている。Mさんは日本のこうしたごく普通の日常生活を中国の庶民に伝え、皮膚感覚の日本を知ってもらいたいと思っている。

期待されるビザ条件緩和

言語の違い、生活背景の差異で情報が中日間を伝わる際に、それぞれにとって好ましい内容として伝わるという特徴があるものだ。Tさんは中国をよく理解しているが、日本にいた時、毎日見るニュースの大部分が環境はこれほどひどい、経済はいまにも崩壊しそうだという内容ばかりで、中国にやって来て、今度はそうしたニュースが一方的で、大部分は自分が失われた後の一種の期待であることを発見している。

今では、Mさんは東京生活にすっかり慣れ、新鮮味が薄らぐと、もう同僚と日本は便利だと話すこともなくなり、中国にいる同僚から中国版ラインの微信(ウイーチャット)で日本の中国けん制に関する最新状況を問い合わせてきても、彼はもう答えたいとは思わない。新聞を読むたびに、Mさんは中国けん制のニュースを詳細に読むが、その後は新聞を脇に置いて、仕事を続ける。

   中日間に相互認識の絶縁層が横たわっている感じがするが、この絶縁層は来年、さらに厚さを増すのだろうか、薄くなるのだろうか。Tさん、Mさんの受け止め方は同じだった。「間違いなく薄くります」。来年、中日間を往来する人数は中国から日本へ700万人、日本から中国へ300万人-合わせて1000万人規模にとどまらないかもしれない。もし日本政府がビザ発給条件を緩和すれば、中国から1000万人近くが日本を訪れるかもしれない。人的往来は絶縁層の効き目を消滅させ、中日関係好転の光明は輝きを増すだろう。

 

人民中国インターネット版

 

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