中日関係は新たな段階へ 両国首脳の大阪会談きっかけ

2019-08-26 16:27:22

陳言=文

中日関係に新たな変化が起き始めている。大阪で開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会議の期間中、習近平国家主席と安倍晋三首相が会談したのをきっかけに、中日関係は時代の要請に合致する新たな段階に入った。

 日本外交の通常のパターンであれば、各国首脳が同時に日本を訪問した場合、首相はまず米国大統領を接遇する。しかし今回、トランプ米大統領はすでに5月に日本を公式訪問しているので、G20出席のため6月27日に日本に到着したトランプ氏は当夜、オーストラリアのモリソン首相と夕食を共にした。一方、安倍首相は習主席と1時間の会談後、約1時間、夕食を共にした。

 日本のテレビ報道によると、安倍氏は習氏に会ってすぐ「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」と述べ、「習近平主席と手を携えて、日中の新時代を切り開いていきたい」と続けたという。さらに、来年の桜が咲く頃に習主席を国賓として日本に迎えたいと語った。『朝日新聞』は同月28日、習主席は「中日関係は新しい歴史的スタートラインに立っている」と答えたと、報じた。

 新たな時代の要請に合致する中日関係はここから始まった。

 

中日で10の共通認識を達成

 新華社の関連報道、特にその中で外交部(外務省に相当)の呉江浩アジア司長(局長)は、中日間で達成された10のコンセンサスを紹介している。それによれば、中日関係の新時代の主な内容は以下の通りである。

 

1、双方は新時代の要請に合致する中日関係の構築に共に尽力する。

2、四つの政治文書で確立された原則を順守し、競争を協調に変え、中日関係を正しい軌道に沿って引き続き前進させる。

3、日本側は中国首脳を来年春、国賓として招待し、中国側は原則的にこれを受け入れた。

4、さらに各協力事項を深化させる。日本側は、「一帯一路」イニシアチブは多様化する地域を結び付ける潜在力に富む構想であると認識した。中国側は日本側が質の高い「一帯一路」に積極的に参加することを歓迎する。

5、人的・文化的な分野の交流・協力を引き続き強化する。中日ハイレベル人文交流協議メカニズムを年内に始動させる。

6、中日の民間友好交流を積極的に進め、友好の種を広くまく。

7、中日は平和的発展の道をしっかり歩み、共に平和的発展のパートナーになる。また、外交・安全保障分野の対話をさらに強化する。

8、敏感な問題を適切に処理し、矛盾と意見の相違を建設的にコントロールする。

9、多国間貿易主義と自由貿易体制を共に守り、中日韓自由貿易協定(FTA)交渉の進展を加速し、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の年内妥結を目指す。

10、国際問題に関する意思の疎通と協調を強化し、世界の平和、安定、発展のために手を携え積極的に貢献する。

 

新たな「敏感な問題」の解決を

 2012年9月に起きた日本の「島の購入」問題や、1312月の日本政府首脳の靖国神社公式参拝の問題などが、中日関係を後退させる主な原因となっていた。領土問題は数年で解決できる問題ではないが、14年以降、日本政府首脳は「靖国」に参拝することなく、敏感な問題に対し火に油を注ぐことはなかった。

 しかし昨年以降、米国が中国企業の華為技術(ファーウェイ)を狙い撃ちした際、日本政府は率先して声明を発表し、基地局建設に中国の通信設備企業の製品を使ってはならないと企業に命じた。日本の3大通信キャリアーはファーウェイ製品の排除を表明し、これに続き今年5月までに、ファーウェイとの製品提供関係の中止を明らかにした企業も相次いだ。米国は確かにファーウェイを狙い撃ちにしたが、米国はファーウェイとの業務往来を全面禁止するとは言っていない。G20でのトランプ大統領の記者会見によると、「米国企業は機器をファーウェイに売ることができる。(安全保障上の)問題がない製品についての話だ。我々にはシリコンバレーに素晴らしい企業がある。(米国の企業が)ファーウェイに機器を売ることができる」と述べている。(6月30日付の『朝日新聞』から引用)。

 米国大統領がすでに安全保障に無関係な製品はファーウェイに販売しても良いと表明しているのに対して、7月1日現在、日本は依然としてファーウェイ「排除」を解除していない。中日間で語られている「公平・無差別で予測可能なビジネス環境」の中で、「無差別」とは日本側がファーウェイなどの企業を「排除」すべきでないことを指している。中日関係が新段階に入ってから、日本がこの敏感な問題を解決できるのか否か、注目される。

 当然のことながら、日本側が提起した「公平」に対する要求は、外国企業の技術移転や知的財産権方面の問題を指している。中国はすでに今春の両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議の年次大会)期間中、外商投資法を公布し、関連する問題の解決に乗り出している。

 

今年6月、中日の上場投資信託(ETF)の相互上場が実現。中日の資本面の提携が始まった(新華社)

 

中国も「質の高いインフラ」

 中国の「一帯一路」構想に対して、日本側は長い間、「質の高いインフラ整備」という言い方で中国をけん制してきた。言外の意味は、日本だけがこうした投資と建設の成果を実現できるということだ。

 このところ、G20などの国際フォーラムで、中国も「質の高い」という言葉を使い始めていることに気が付くだろう。これは、中国が自ら建設する社会インフラの設計や製造能力、建設の成果に対して自信を持っていることを示している。「質の高い」という言い方は日本を見習ったものだが、日本に対する一つの回答でもある。発展途上国の最大の要求は、中日が第三国で共通の建設概念を持ち、中日協力によるさらに多くの可能性を発揮することだ。

 中日両国首脳の往来があれば、両国間の敏感な問題に対処でき、中日が第三国で提携、協力すれば、時代の要請に合致した新時代がわれわれの眼前に展開されるだろう。

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