北京科技大学の学生が日本語で就業観をプレゼン

2018-05-11 11:17:51

 文=佐藤祐介

 

427日、北京科技大学で「私が関心を持つ企業」をテーマにした日本語によるプレゼンテーション大会が行われた。予備選を勝ち抜いた同大学の日本語学科の3年生11人がパワーポイントの機能を駆使したり、自身の実体験を生かしたりして中国、日本、欧米企業の魅力を紹介し、自分が仕事に何を求めているのかという就業観を語った。大会には日系企業の社員や中国で事業を展開する日本人らが審査員として参加し、「95後(1995年以降生まれ)」と呼ばれる現代の若者たちの考えを興味深げに聞いた。 

   

一番手に発表した高博涵さんは中国でチェーン展開をする麻辣烫(中国おでん)の企業を取り上げ、その売上が伸びた理由や経営スタイルを紹介。発表後、審査員からは今度そのお店を見かけたら是非行ってみたいという声が聞こえた。

今大会で1等賞を獲得した陳心怡さんは、北京の書道教室でインターンとして働いた自身の経験を生かし、職場で自分がどのように成長して達成感を得たかなど、実体験から来るプレゼンを行い、仕事にかける自身の熱意の高さを見せた。  

 

最優秀賞を獲得した王慧卓さんは、PM2.5対策で必需品となったマスクを生産・販売する企業を取り上げ、「三つのK」というテーマで、そのマスクがなぜ「欠かせない」のか、その企業の「科学と人文」、「企業としての思い」をまとめ、分かりやすいプレゼンを披露。 

 

プレゼンでは他にも、その企業が本当に好きだという熱い思いを語ったり、その企業がいかに福利厚生を重視しているかを説明したり、その企業の社長の人格や個性に憧れているという思いを打ち明けたりして、それぞれが好きな企業の理由を語った。一方で、大会は始終ジョークも飛び交い、審査員からの質問にも日本語でてきぱきと答える学生の姿が印象的だった。 

 

大会後は同大学構内で懇親会が行われ、学生が大会に出場した感想を述べたり、日本の社会人に対して実際に働くことの経験や苦労などを聞いたりした。会では出場学生をスカウトする日本人社員の姿も見られ、学生がプレゼンで見せた就職への意気込みの影響力を感じさせた。その後、同学科2年生が日本語による日本ドラマのアフレコを披露したり、第二外国語で日本語を学ぶ理工系学科の学生たちが日本の歌を歌ったりして場を盛り上げた。

  

中国におけるベスト・エンプロイヤー(優良企業)を調査する「中国年度最佳雇主」の2016年度の報告によると、「拝金主義的だった『80後(1980年代生まれ)』の前世代と比べ、『95後(1995年以降生まれ)』の就業観・人生観は大きく変わった」という結果が出た。「95後」の大学生たちの生の声を聞くことができた今大会では、自分を成長させてくれる企業、福利厚生がしっかりしている企業、社会に貢献している企業など、若者らが企業に給料の他に何を求めているのかを知ることができ、中国にいる日系企業が中国の若者を理解する上での助けになった。

 

 

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