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息苦しさに効く「膻中穴」

張北海=文・写真

 

最近、人が集まると「息苦しさ」が話題に上がる。混雑時の空気の流れの悪さや高速の乗り物の利用が原因で、息苦しさを感じたり息切れしたりすることがある。軽い症状であれば気に留めることもないが、症状が重い場合には気持ちが悪くなり、胸に重い石を乗せられたような感じがし、酷い酸欠や呼吸困難すら感じる。このような症状は通常、肉体的疲労、心臓の機能低下により生じる。また、曇りや雨天といった気圧が比較的低い日には、息苦しさをよりいっそう強く感じる。

真冬の寒さで、血管が縮まると、心拍数が速くなる。そのため心臓への負担が大きくなり、酸素消費量が多くなる。このような時に、心筋への血液供給不足から酸欠が生じ、狭心症や心筋梗塞による突然死が起こる可能性もある。

息苦しさを感じたらどう対処すべきだろうか。経絡を保養する歌に「息苦しい時膻中押せば楽になる」とある。つまり、「膻中穴」というツボを押すことで息苦しさを緩和することができる。

左の写真のように、膻中穴は正中線(頭頂から縦にまっすぐ通る線)と左右の乳首を結んだ線が交差する点にある。

中国の医学書『黄帝内経』(現存する中国最古の医学書とされている)には、膻中穴への刺激によって、全身の気の流れや乱れを正し、胸をすっきりさせ、上昇した気を下げ、経絡の気の流れをよくする効果があると記されている。このツボを押すことで、心臓血管中枢に影響をあたえ、全身の血液の再配分を促し、冠血流量(冠動脈に送られる血液量)を改善し、心臓や肺の機能を向上させる。

息苦しさ、呼吸困難、心拍の加速、めまいなどの症状がある場合、膻中穴をしばらく押すと、心臓機能の向上を促すために症状改善の効果がある。仕事や生活のストレスがたまると、いら立ったり憂鬱になることもあるが、膻中穴をしばらく押すと、気の流れをよくし、不快感を軽減できる。女性は常にこのツボを押していると、乳腺炎予防のほかに、バストアップの効果もある。産婦はこのツボにお灸を据えることで母乳の分泌が促される。

 

膻中穴の押し方

胸の前で両方の手のひらを合わせ、「大魚際」(親指の付け根から手首にかけての部分)で膻中穴を3~5分間叩く。その後、手のひらを合わせたまま、大魚際で膻中穴を1回叩いた後、そのまま両手を下げる動作を膻中穴のあたりが熱くなるまで続ける。

 

 

人民中国インターネット版 2015年3月

 

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