中日両国のメディア16社が3月19~20日、日本向け輸出食品の安全問題を取材するため、山東省の青島市と安丘市を訪れた。
山東省は中国東部の沿海部に位置する省で、広大な土地、良好な気候、便利な交通のため、中国の輸出農産品の重要な生産・加工基地となっている。輸出食品企業は2700社あまりあり、そのうち1057社が対日輸出に携わっている。同省の食品輸出量は中国全体の25%、対日輸出量は全国の対日輸出総量の40%を占める。
厳格な検査制度を実施
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山東省輸出入検査検疫技術センターを取材する日本のメディア |
山東省輸出入検査検疫局の姜宗亮・副局長 |
記者たちはまず、山東省輸出入検査検疫技術センターを訪問した。各国の検査検疫機関は通常、対外開放はしないものだが、今回は現地の食品の安全をより理解してもらうため、例外的に開放した。
同省輸出入検査検疫局の姜宗亮・副局長は、「食品の安全は消費者の利益と密接にかかわっています。私たちは消費者に対して大きな責任を持っていますので、食品輸出企業に対してはこれまで一貫して厳格な検査制度を実施してきました。輸出先国の要求に合わない輸出製品に輸出許可を与えることはありません」と話した。
日本の厚生労働省が2006年にポジティブリスト制度を導入すると、同局は直ちにこれを省内の食品生産企業に通知し、この規制に合わせて食品を生産・加工するよう要求した。また、技術センターは世界一流の検査設備を設置すると同時に、日本や米国などと共同で実験室を設立し、重要項目の検査検疫作業も担当。毎日、ここで検査される項目は6、700種にのぼるという。
厳格な農薬管理
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厳格な規準に沿って春巻きを生産する作業員たち |
作業場に入る前に、念入りに消毒される作業員 |
次は安丘市の農薬獣薬配送センターを訪問した。ちょうど、現地の農民の刑さんが農薬を買いにやってきた。刑さんは80ムー(1ムーは6.667アール)の畑でニンジンを栽培しているという。
配送センターの棚には各種農薬がぎっしりと詰まれていた。管理者によると、中国の農業部門は農薬の使用について厳格な規制を設けており、農作物によって使える農薬は異なるという。
農薬使用の監督・管理を強化するため、安丘市は農薬専売制度を実施し、農薬の販売は同センターのみに制限している。同センターの各販売所には、農民に農薬の選択や使用量について指導する専門技術員もいる。
刑さんは、「ここの管理は非常に厳しい。農薬を購入するときは、身分証明書を提示し、登録しなければならない。もし農産物に何か問題が生じたら、この登録によって使用した農薬をすぐに調べることができます」と語った。
食品安全の保証は、農業や品質検査、工商、衛生など多くの部門にかかわるため、山東省は「輸出食品安全地域化管理モデル」を実行している。安丘市もその管理モデルにのっとり、輸出食品の生産から販売まですべての段階において厳格な管理システムを確立した。
「輸出食品安全地域化管理モデル」とは、地方政府が先頭に立って現地の食品安全に責任を持つというシステムだ。最初の責任者となる生産企業は、社内に独自の検査機関を設ける。関連部門は品質の監督・管理を強化し、原材料の栽培地を逐一記録して、食品生産の源から厳しく検査を行う。検査の過程で何か問題が発生したら、この管理モデルによって、その食品の生産企業や原材料の栽培基地を直接調査できるという仕組みだ。
これにより、輸出食品の安全は大いに保証される。姜副局長によると、この管理モデルはすでに山東省の多くの地区に広がっているという。
中国の輸出食品は安全
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青島市九聯集団の鶏肉加工場 |
青島市九聯集団の生産監視センター。モニターを通じて、生産過程を監督することができる |
青島市九聯集団と安丘市外貿食品有限公司は、山東省の大手食品生産・加工企業だ。九聯集団は鶏肉製品を、安丘市外貿食品公司は麺製品を主に生産している。両社の製品はすべて、欧米や東南アジアなどに輸出され、対日輸出業務にも携わっている。
両社の食品安全に対する管理は非常に厳格である。安丘市外貿食品公司は自社の栽培基地を保有し、各基地に農業技術員を配置して、栽培から買い付け、運送までをすべて厳しい基準の下で行っている。食品の生産にかかわる作業員たちは、念入りな消毒作業をしてからでないと、作業場に入ることができない。
九聯集団の楊経理は、「ここ数年、当社の対日輸出業務は良好な状態を維持しています。中日の間では最近、食品の安全問題が生じましたが、大きな影響は受けていません」と語った。
九聯集団のような大型の食品生産企業は山東省にはたくさんある。同省の輸出入検査検疫局は、企業の規模に関わらず、同じ基準で食品の安全性を検査しているという。
中日間の食品安全問題について、姜副局長は次のように語った。
「近年、中国の対日輸出食品の安全検査合格率は99.4%以上に達しています。これは欧米諸国よりもはるかに高い。しかし一般の人々は食品の安全問題に対する理解が足りなく、それに加えて一部のメディアが大げさに報道したため、日本国民は中国の食品に対して不信感を抱くようになりました。いかなる国でも、食品の安全検査合格率が100%に達することはありません。しかし食品生産大国として、中国の輸出食品は非常に安全です。日本の皆さんには、安全で値段も安い中国食品を信頼していただきたい」(文・写真=王浩)
人民中国インターネット版
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