コロナ下で成長続く「一帯一路」(三)

北京師範大学一帯一路学院執行院長 胡必亮=文

「双循環」が新たな力注入

中国は、新たな成長段階に直面した新たな環境新たな特徴に基づいて、「双循環」という新たな発展の枠組みの構築を打ち出した。いわゆる「双循環」とは、まず中国国内の経済循環を指す。もう一つは中国経済と世界経済の循環を指す。中国は「双循環」という新たな成長の枠組みの構築によって、経済成長をさらに促進するとともに、世界経済の成長に新たなエネルギーを提供しようとしている。

現在、中国は14億人の人口があり、中所得者層は4億人を超え、13000万の市場参入者がある。消費面であろうが投資面であろうが、市場が受け入れる空間は大きい。中国の対外開放のさらなる増強につれ、中国の輸入と対外直接投資は引き続き安定した増加のする勢いを保っている。また、中国の輸出と外国人投資家の国内への直接投資は引き続き急速な伸びを続けている。

世界貿易は昨年、感染症の深刻な打撃を受けたにもかかわらず、中国の対外貿易額は464625700と過去最高に達し、前年より1.5%増えた。中国の対外直接投資は13294000で、前年比3.3%増加した。また、年間の中国への外国人投資家による直接投資は前年比4.5%増えの14437000で、昨年は世界で最も外国からの直接投資を受け入れた国となった。

これは現在、中国と世界の経済発展の結びつきがますます強くなっていることを物語っている。また、中国の対外開放の扉がますます大きく開かれるのに伴い、こうした結びつきも一層強くなるだろう。

「一帯一路」は中国が「双循環」発展を促進する重要なプラットフォームだ。この国際協力プラットフォームをよりどころに、中国と「一帯一路」沿線諸国は、貿易や投資、国際製造協力などの各分野で大きな発展を遂げた。昨年、中国と「一帯一路」沿線諸国間の輸出入は1%増加した。そのうち、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN10カ国間の輸出入は7%増加した。また、中国から「一帯一路」沿線諸国に対する非金融分野の直接投資は、さらに大きく18.3%増加した。

中国とASEAN諸国の貿易投資関係のさらなる向上を踏まえ、ASEAN10カ国と中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドが昨年、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に正式に調印したことは、地域全体および関連諸国の経済発展を促進する上で非常に大きな意義があり、「一帯一路」の共同建設が当該地域の発展をさらに推進する面でも積極的な影響をもたらすだろう。

 

 

 

山東省青島港の「一帯一路」とRCEP航路が今年1月19日、正式に就航した。これは昨年1115日のRCEP協定の正式調印後、山東省の港と日本や韓国、東南アジア諸国などの国地域が協力を深め、共同で進めるRCEP協定の成果である

デジタルで「一帯一路」強化

情報化時代においてインターネット技術に基づくデジタル化が急速に発展し、多くの形式の異なる新たな業態が生まれた。中でもオンラインショッピングやネット教育、オンラインゲーム、遠隔医療などデジタルサービス業界が創り出したデジタル経済は世界各国から重視されている。

「一帯一路」の国際的な協力プラットフォームを共同で構築する上で、中国はすでに16カ国とデジタル経済協力の覚書に調印し、22カ国と共同で「シルクロード電子商取引」の協力プラットフォームを打ち立てている。「一帯一路」関連諸国の感染症の予防抑制に協力するため、中国の医療の専門家は昨年、ビデオ会議形式で多くの国と新型コロナウイルスの予防治療の経験を交流、共有した。

中国は、デジタル産業化と産業のデジタル化の発展を推進することにより、デジタル経済の国内総生産(GDP)への寄与率が67%を上回り、「一帯一路」関連諸国に有益な参考を提供している。中でも最も重要なヒントは、発展途上国がデジタル化へのモデルチェンジと発展を効果的に促進できれば、新たに飛躍的発展の道を歩む可能性が高くなり、現代化への発展の道を大幅に短縮するだけでなく、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が示す要求にも十分に応え、気候変動にもより効果的に対応し、持続可能な発展をより効果的に促進できる、という点だ。

このデジタル化のモデルチェンジと発展という巨大な歴史的チャンスを勝ち取り、「一帯一路」国際協力プラットフォームの積極的な役割を十分に発揮するため、われわれは現在、以下の四つの分野の活動をしっかり行うよう心掛けるべきだと考える。

第一に、デジタル技術をしっかり活用し、防疫効果が一層上がるよう支援する。例えば、健康コードをスキャンして人々の感染状況を効果的に識別する中国のデジタル技術は、広範な「一帯一路」関連諸国が参考にし、運用する価値がある。

第二に、新たなインフラ建設を強化する。5G(第5世代移動通信システム)などの先進的な電気通信インフラの建設を通して、発展途上国のデジタル化への移行プロセスを加速し、インテリジェント農業やスマート製造、スマートシティー、情報産業などのデジタル化経済と社会の発展を促進する。

第三に、公正正義と多国間主義を堅持し、データの安全を共同して守る。中国は昨年すでに『グローバルデータ安全イニシアチブ』を打ち出し、以下の点を提唱した▼各国がグローバルサプライチェーンの開放安全安定の維持に共に努力する▼情報テクノロジーを利用して他国の重要なインフラ施設の重要なデータを破壊窃取したり、個人情報を侵害したり、他国に対する大規模な監視活動を行うことに反対する▼自国の企業に対して、国外のデータを国内に保存するよう強制したり、直接国外データを収集するよう強制してはならない▼企業が製品とサービスに裏口などを設けてはならない。

第四に、デジタル化時代で、「デジタルデバイド(格差)」問題により一部の国と国民が新たな貧困に陥るのを防ぐため、多方面に効果的な措置を取ることに特に注意しなければならない。 

 

 

黒龍江省哈爾濱(ハルビン)市で開かれた中国とロシア語圏諸国による「シルクロード電子商取引」政府企業対話会(19615日)

 

プロフィール 
胡必亮
北京師範大学一帯一路学院執行院長、教授(経済学)、博士課程指導教員、「一帯一路」国際シンクタンク協力委員会理事。 

 

関連リンク: http://www.peoplechina.com.cn/tjk/ncp/tt/202103/t20210324_800241303.html

 

人民中国インターネット版 2021324

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