新時代を築いた井村コーチ
中国シンクロナイズドスイミングの井村雅代ヘッドコーチが離任する。これを残念に思っている人は少なくないだろうが、これは早くから予想されていたことで、オリンピックのために中国に来た外国人コーチが、オリンピックが終わって帰国するのはとても自然なことだ。しかし中国でコーチをした2年余りの間に、井村コーチが中国シンクロの新しい時代を築いたことは確かだろう。
就任直後に大きなプレッシャーを背負い、奮闘し続けた井村コーチは、中国のシンクロに歴史的な進展をもたらした。この点だけを見ても、中国シンクロ史に井村コーチの名前が、そして彼女の中日両国のスポーツ交流への貢献は、永遠に銘記されるだろう。
井村コーチがもたらした最も大きな進歩は、技術のレベルアップだ。井村コーチは厳しい練習でよく知られているが、選手の潜在力を引き出し、振り付けなどの面で肩を並べる人はないだろう。北京オリンピックでの演技、『剣の魂』や『黄河』などは観客の喝采を浴びた。井村コーチは中国選手特有のしなやかな美しさを演技の中に組み込み、すばらしい効果を出した。
井村コーチが離任したあと後任者は、彼女が残した練習システムや、よい発展のスペースをどのように利用するかを真剣に考えなければならない。

中国人コーチ:井村コーチ離任の影響はそれほど大きくない
井村コーチの離任は、中国チームにとってマイナスの影響を与えるのだろうか。この質問に対して鄭嘉コーチは次のように述べた。
「井村コーチはとても優れた技術をもっており、井村コーチが中国のコーチになってから、中国シンクロの進歩はとても大きかった。しかしこれは井村コーチ一人だけの功績ではない。中国のシンクロが進展したのは、半分は全ての選手やコーチ、スタッフたちの共同の努力のたまものであり、中国のシンクロはドーハアジア大会前に、すでに日本チームに勝つ実力があった。このような状況の中で井村コーチが就任し、技術のレベルアップのために大きな役割を果たした。井村コーチは契約満了で離任するが、中国チームの発展にとって、井村コーチの離任による影響は大きくないと思う。私たちの20年の努力はムダではない」
蒋氏姉妹:井村コーチとの別れを惜しむ
成都市出身の双子の蒋文文と蒋婷婷選手は、井村コーチが力を入れて育てた選手だ。コーチの離任が決まってから、蒋氏姉妹はとても悲しんだ。
蒋婷婷選手は、「井村コーチの練習はとても厳しく、私たちはいつも泣いていたが、今考えるとコーチの厳しさは全てメンバーのためだったのだと思う。北京オリンピックが終わった後、井村コーチは私たちと一緒に祝い、離任の話は全くなかった。もちろんコーチが残ってくれることが一番だが、コーチにもコーチの考えがあるのだろう」と未練の気持ちもあるが、「コーチの技術はここに残り、私たちは教えてくれたものを全て身につけた。それに中国のコーチのレベルも高いので、中国チームに影響はない」と話す。
コーチとの別れを惜しんでいる蒋文文選手は、「コーチに恩返しする唯一の道は、引き続き努力してよりすばらしい成績を取ること」と語った。
「チャイナネット」2008年9月3日
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