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中国古典詩学者 葉嘉瑩氏に聞く

 

詩詞の唱和で出会った友

 

 北米の大学で教えている間、葉氏は西洋の理論の中に中国の伝統的な詩論との接点を見つけて研究することを得意とし、交流の道を開き、豊かな成果を挙げ、北米ひいては国際的な中国研究の世界で新しい局面を切り開いた。1970年代、世界の中国研究者と交流する中で、葉氏は日本の中国研究者で漢詩の大家である吉川幸次郎氏と知り合った。

「吉川先生は杜甫についての造詣が深い方です。早くから私のことを知ってくださっていて、私が台湾で出版した杜甫に関する本を学生に読むように勧めてくれました。教え子たちは先生の指導の下で漢詩を作ることができました。米国領ヴァージン諸島で国際会議があった時、吉川先生から何か新しい作品はないかと聞かれたので、新作の七言律詩3編をお渡ししました。先生はその3編に和して詩を詠んでくれました。その中に、私が「浮生可嘆浮家客,却羡浮槎有定期(時に流され漂うようなわが人生を嘆きながら、定期的に行き来するいかだに乗るように自由に往来できる先生をうらやむ)」と詠み、先生が「曹姑応有東征賦、我欲賞音鐘子期(現代の班昭は新たな『東征賦』を著して日本を訪れるべきで、私は知己を理解する鐘子期のようにそれを楽しみにしている)」と返してくださったものがあります。日本で再会したいという気持ちが込められています。残念ながら、先生がこの世を去られたため、日本で再会することはできませんでした」

葉氏個人の運命は中日関係の影響を強く受けていると言える。現在の日本および中日関係をどのように見ているかと伺うと、次のような答えが返ってきた。

 

 

1984年、九州大学の岡村繁教授と撮影した記念写真

 

「不幸な戦争は終わりました。両国は平和を大切にし、仲良く付き合うべきです。日本と中国は文化が近く、交流も頻繁です。私のおいは改革開放後に日本の九州地方に留学してそのまま教職に就きました。民間の青少年の文化交流活動に熱心に携わっています。

 文化面において、日本に対する中国の影響は至るところで見られます。各国の数多くの中国学の学者と知り合いましたが、詩を和すことができるのはやはり日本人が多い。1984年に岡村繁先生のお招きで福岡の九州大学で詩の講義をしたことがあり、中国学の学者の東英寿先生は私の著書を翻訳してくれました。本当に親しい友人同

 

士になりました。詩詞は私たちを結ぶ絆になっています。

 日本の漢詩や詩吟の伝統は素晴らしい文化遺産です。詩の教育に関して、日本の短歌は『百人一首』などの遊びを通じて子どもたちに受け継がれていますね。このような方法はわれわれ中国の詩詞教育にも大変参考になります。以前、春の日本で、先生が子どもたちを連れて花が咲いた木の下で詩を朗読している光景を目にして、大変啓発を受けました」

 

 

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