『琵琶記』

 

山西の民間刺繍の巾着袋 『琵琶記』

  古典的名作である戯曲『琵琶記』は、漢代の書生蔡ヨン(字は伯カイ)と趙五娘の常ならぬ人生の悲哀の物語。元代(12061368年)の高明(字は則誠)の作品である。

 後漢(25220年)の時代、陳留県の秀才・蔡伯カイは、結婚したばかりの妻・趙五娘と両親を残して単身で上京し、科挙の試験を受けた。合格して状元となった伯カイは牛丞相に見込まれ、強引に入り婿にさせられてしまう。

 一方、陳留県では何年も続く災害や凶作にあえいでいた。五娘は苦労をいとうことなく、怨み言をいわれてもくじけず、心を尽くして伯カイの両親に仕え、二人には米を食べさせ、自分はひそかに糠を飲み込んで飢えをしのいだ。その事実を知った姑は感動し、一緒に糠を食べると言い張り、飲み込んだ糠をのどにつまらせて死んでしまった。やがて、舅も貧しさのあまり病気になって死んでしまう。五娘は髪を売って二人の葬儀を執り行ったあと、夫を探すために一人琵琶を背負い、歌をうたって物乞いをしながら上京した。

 牛丞相の邸にたどりつくと、蔡伯カイ夫人の牛氏に歌を披露するよう邸の中に招かれた。五娘は牛氏が善良で優しい人であるのを見て、わが身の境遇を打ち明ける。牛氏はあれこれと思案をめぐらせ、五娘と伯カイが一緒になれるよう骨を折った。思わぬ家の不幸を知った伯カイは、ひどく悲しみ、喪に服するため田舎に帰りたいと辞表を提出する。牛丞相の同意を得て、伯カイは五娘と牛氏をつれて帰郷し、父母のお墓の傍らにいおりを建ててそこで寝起きし、3年間墓守をして喪に服したのだった。(写真・文=魯忠民)

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