「娘娘廟」が「水立方」を動かす 新旧のコントラスト鮮やかに


 

「北頂の娘娘廟」は、「鳥の巣」と絶妙のコントラストを見せている

 「鳥の巣」や「水立方」など、北京オリンピックのスタジアムが次々と巨大な姿を現し、北京の街は刻々とその姿を変えている。しかし、建設ラッシュの中では、消え去って行く古い町並みや悠久の歴史を秘めた建造物があるものだ。北京オリンピックでは、できるだけこうした文化財や建物を残そうと努力している。これによって北京は、近代的なものと歴史的なものとが共存する首都に変貌し、新たな魅力を備えようとしている。

 

北にずれた「水立方」

 

水泳競技の会場となる「水立方」は、その珍しい形から、すでに北京の新名所の一つとなっている。しかしもともと「水立方」が建てられるはずだった地点は、現在よりも南に100メートル離れたところであった。なぜ建設地点を動かしたのか。そこには小さな廟があったからである。

 

その廟は「娘娘廟」といい、女神の碧霞元君が祭られている。明代に建造が始まり、当時は皇室から下賜された資金によって建てられた。

 

史料の記載によると、明・清時代、北京には多くの寺社があった。人々は、北京城内の寺社には参詣に、城外の寺社には野遊びや縁日の市に行ったものだ。

 北京城外の郊外には、もともと5つの「娘娘廟」があり、「五頂」と呼ばれていた。「水立方」が建てられようとした地点には、「北頂の娘娘廟」があった。しかし、度重なる戦乱で、かなり破壊されてしまっていた。

 

2001年に、北京オリンピックの招致が決まり、ここに「水立方」を建設することになったが、実地調査の中で「北頂の娘娘廟」の存在が浮かび上がった。検討の結果、政府は最終的に、「水立方」の建設地点を北に100メートルずらし、資金を投入してこの廟を修復すること決めた。

 

現在、「北頂の娘娘廟」はすっかり新しく再建され、近くにそびえる「水立方」や「鳥の巣」と、新旧の美しいコントラストを見せている。

 

 故宮や天壇も大改修

 

ライトアップされた北京・故宮の角楼(写真・田亜非)
オリンピックの開催を契機に、北京の都市改造が大規模に進むと同時に、文化財の保護にも多くの資金が投入された。2003年から今までに、政府は毎年、1億2000万元を北京の文化財保護に当てた。この額と修復地点の数は新中国建国以来、最大である。

 

2003年、明・清時代の北京を象徴する故宮で大規模な修復が始まった。今回の修復は、その範囲の広さ、規模の大きさ、時間の長さ、費用の大きさは、1420年の故宮完成後、かつてないものであった。修復はすでに終了し、かつて清朝の出版センターであった武英殿が、昨年9月から初めて開放された。

 

天壇の祈年殿も1971年の大改修後、2007年にまた大きな改修が行われた。もとの姿を保つために、北京市文物園林部門は、祈年殿を囲む祈穀壇の床に、皇室専用の黒みを帯びた灰色のレンガ2万個を敷き詰め、祈年殿内のセメントのレンガを45万個の城壁用レンガに取り替えた。また、歴史的な写真に基づいて、絵を塗り直し、天井に描かれた金色の竜が再びその姿を現した。工事には4700万元が費やされた。

 

このほか、頤和園の仏香閣、明の十三陵、北海、国子監などの文化財や遺跡にも、程度の差はあれ修理が行われた。その過程で、今まで知られなかった貴重な文物が発見された。

 

2004年、故宮の最北端にある宮殿の欽安殿が修復されたとき、この建物の天井裏から3000巻以上の仏教経典が発見された。経典は数百年前のもので、すべてチベット文字で書かれていた。

 

欽安殿は故宮の中にある重要な道教の宮殿であり、そこにどうして仏教経典が納められていたのだろうか。専門家の推論によると、この仏教経典は清朝時代にここに置かれたらしく、明・清時代の儒教文化と仏教、道教の融合を示しているという。

 

後にこの仏教経典は、「もとの通りに」という原則に基づいて、研究用の一部のほかはすべて天井裏に戻された。

 

周口店の北京原人遺跡でも、遺跡保護の作業中、洞内から古代シカの骨が発見された。こうした事例は枚挙にいとまがない。

 

掛けられた「四合院」の看板

 

什刹海地区の煙袋斜街は修復され、古い商店が並ぶ町並みがよみがえった(写真・頼向東)

 北京の伝統的な民居である四合院も、保存の対象になった。

 

現存する四合院の多くは清末から民国時代にかけて建てられたが、長年、修理もされず、ひどく改造されている。北京の街の「顔」のような存在の四合院なのだが、その多くは文化財としては扱われてこなかった。そこで古都の「風貌」を保護するため、政府は四合院を文化財保護の重点に入れた。

 

北京の旧城内にある四合院を詳しく調べた結果、保護する四合院の審査基準が制定された。その基準は「保存の現状が比較的よく、建物の配置が基本的に整っていて、建物の風格がなお残っている、一定の規模の、保存する価値のある」である。現在、北京市には、この基準をクリアし、「四合院」の看板を掛けた建物が658軒ある。

 

市街区改造の中で、政府は「大規模に取り壊し、建設する」というやり方を捨て、局部的に小規模な改修を行った。路地を拡張せずに、昔日の北京の姿を残すことができた。

 

このほか、北京の前門大街や什刹海の煙袋斜街など、古い北京の味わいを持つ、特色ある町並みも次々に修理されている。古都、北京の魅力が再び、よみがえってきた。(王浩=文 )

 

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