People's China
現在位置: 2010年 上海万博パビリオン巡り

莫高窟からクリーン・エネルギーまで
際立つ豊かな歴史と文化

 

孫玲=文

甘粛館は、甘粛の豊かな歴史や文化資源に立脚し、光り輝く文化の蓄積で人々のこの歴史都市に対する記憶を呼び覚ます。この記憶は、人々を魅了する歴史趣味の色彩を帯びているだけでなく、人類の文明の進歩における過程で、多くの共通の、美しい追求を含んでいることがより重要なのである。

「甘粛は美しい、ぜひ見に行きたいものだね」甘粛館内の三六〇度スクリーンの前に立ち、観客の張さんは興奮した口調でそう話した。画面の中の甘粛の空は紺碧で、高架橋下の現代都市には夜のネオンがきらめいている。{とんこうばっこうくつ}敦煌莫高窟は歴史の痕跡をとどめ、この古くからの都市は記憶の記号に満ちている。

甘粛省は内陸に位置し、東から西へとシルクロードが貫いている。広く深い中華文明はこの地の河西回廊を経由し、敦煌を通り抜け、世界へ広まった。同時に、西洋を源とする文明も、同じようにこのルートから絶えることなく中原に流入し続けた。この、前漢に始まり、ユーラシア大陸を横断するシルクロードは長い歴史の中、一種独特の方法で絹織物文化の輝きを記録している。

甘粛館全体は、シルクロード上の都市の盛衰と再生を主要な筋に、「シルクロード・都市の歌」を展示テーマにしている。スタッフの趙濱冬さんは、甘粛館は、甘粛の豊かな歴史や文化資源に立脚し、光り輝く文化の蓄積で人々の甘粛の歴史都市に対する記憶を呼び覚ますと話してくれた。「この記憶は、人々を魅了する歴史趣味の色彩を帯びているだけでなく、人類の文明の進歩における過程で、多くの共通の、美しい追求を含んでいることがより重要なのです。それは甘粛の経済、社会の発展に引き続き大きな影響を与えることでしょう」

数多くの都市の勃興、衰微、再生もみなこれとかかわり持つ。シルクロードは甘粛の都市に、運命の変遷や、都市の特徴と理念を授けたのである。

甘粛館は、「都市の曲――開放と融合」「勇壮な歌――環境と発展」「新しい韻――創造と未来」という三部分から成る。そして、甘粛の開放的都市精神と多様な都市文化の融合、甘粛の都市が人の居住環境過程で直面する問題と得られる結果に積極的に責任を果たすこと、そして都市の創造において生活品質を高める試みと未来への期待、という三点を重点的に展示している。

俗称を「小方盤城」ともいう玉門関。

敦煌市の西北にある(CFP)

甘粛館の外観(写真=魏尭)

開放的シルクロード文化

甘粛は中華民族と中華文明の重要な発祥地の一つである。黄河文化、シルクロード文化、万里の長城文化、仏教文化、道教文化、イスラム文化、隴東黄土文化が一体となっており、多民族、多文化共生の地域である。同時に、中国の古い文明が最も輝きを放った、古代最も開放的だった地域の一つでもある。

七千八百年以上前から二千年前にかけての古代遺跡である秦安大地湾、臨洮馬家窯、広河斉家、酒泉四壩、臨洮辛店、臨洮寺洼、民勤沙井などが相次いで発掘されてきた。特に秦安大地湾の会堂(ホール)式建築遺跡は、中華都市文明の最も早い時期の原形と言われる。万里の長城、彩陶(彩文土器)、漢代の{かんどく}簡牘(竹簡や木簡の総称)、{せっくつ}石窟など、多くの古代建築や文化的遺物は、甘粛の奥深い文化の蓄積を実証している。知るところによれば、甘粛省内の石窟は東西を結ぶルートのなかでも最も数が多く、保存状態も良いとされる。甘粛館内で、観客は実物大の敦煌莫高窟第45窟の複製を見ることができ、身近に敦煌文化を味わえる。甘粛は古くから「簡牘の郷」の美称を持ち、発掘中に出土した漢代の簡牘は中国全体の八二%を占める。甘粛館内にはガラスで作られた簡牘が置かれており、観客に文明の伝承を感じさせてくれる。

パビリオン内の壁には、隋の煬帝の時代に開催された「万国博覧会」の壁画もある。また、甘粛で発行されている全国的有名雑誌『読者』をめくって、中国語と英語で甘粛の歴史と未来を読むこともできる。さらに、中央ホールにある甘粛の地図は、観客が指を指すと、その都市の紹介が出現するようになっている。ある観客は「甘粛館には、見るべきものが本当に多い!」と、感嘆の声をもらしていた。

未来都市発展の道

百万年前の甘粛の大地は、生物が生息・繁栄するのに適した場所だった。しかし、この千年来の過度な開発によって甘粛の都市の生態環境は次第に悪化した。「治砂還緑」(砂を治め緑をもどす)、民勤オアシスの砂漠化防止、他都市の生態への影響削減は、民勤県の責任であり甘粛の責任ともなっている。ここ数年の樹木や草本による緑化造林、砂漠化防止、環境保護によって、生態環境は絶えず回復に向かっており、都市住民の居住環境は次第に改善している。

都市の未来に関して、甘粛は「河西に風力発電の回廊を建設し、西部地区陸上の三峡ダムにする」という目標を掲げている。クリーン・エネルギー利用は、人類の未来都市発展のため必ず通る道である。この道の上では、甘粛はすでに先頭を走っている。クリーン・エネルギー――風力や太陽エネルギー利用のショーケースの前に、観客はただガラスのスクリーン前で時計回りに腕を振るだけで、風力発電機の羽根が腕を振る頻度に連れて回り、壁の模様(パターン)も変化が起こる。趙さんは「ここでは、人々は未来の都市生活を展望することができます。未来の都市生活は、私たちの精神のふるさとです。このふるさとでは、人々は豊富な物質生活を享受できるだけでなく、理想的な精神世界に住むことができるのです」と話す。

歴史、現実、未来、というのが甘粛の都市発展の描写である。古代の都市原形の遺跡、{はんぺい}藩屏と呼ばれる国の守りとなる国境都市、開放の前線基地から、生態保護の第一線まで、いずれも甘粛の開かれた胸襟、自ら努力する精神と協調(調和)の理念を表している。

 

人民中国インターネット版 2010年9月14日

 

 

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