ホーム ニュース 最新動画 トピックス コメン ト 記者メモ スケジュール 「両会」とは
 
海洋権益を守る揺るぎない中枢を築く

 

国家海洋委員会は各機関の調整機能を果たす委員会であり、具体的活動は再編後の国家海洋局が担う。このため解体される鉄道部(鉄道省)、合併される衛生部(衛生省)と計画出産委員会のように幅広い注目を集めてはいない。(文:葉海林・中国社会科学院グローバル戦略院『南亜研究』編集部主任。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

だがこの「ひっそりとやって来た」機関は将来、数頭の「竜」を整理統合した新国家海洋局よりも注目される可能性が高い。なぜなら国家海洋委員会こそが中国の海洋権益維持の真の中枢であり、中国の海洋戦略に果たす役割は、その執行機関である国家海洋局よりも明らかに大きいからだ。

かつて人々は中国の海洋法執行機関の乱立ぶりを「五頭の竜」さらには「九頭の竜」が海を騒がすと形容するのが常だった。海監、漁政、海関、海警といった各機関間の役割分担は不明瞭で、重複の問題もあった。海上法執行部隊は指を伸ばした掌のようなもので、握り締めたこぶしのような強い力を形成できなかった。問題は各機関という「指」にあるのではなく、中国が各機関の行動を中長期的に指導できる国家海洋戦略をこれまで発表せず、実際にもまとめたことがなかったことにある。海洋問題に対する統一的な認識と調整の欠如こそが、「5頭の竜」の乱立を招いた真の原因だ。もし政策と戦略のレベルで統一的な国家意志を形成できなければ、海上法執行部隊だけでは、政府機関に技術的案を提供するのがせいぜいだ。

今まさに海洋大国へと成長しつつある中国にとって、海洋問題は海上取締りだけには決して止まらない。中国は海洋権利を守る必要があり、海洋利益を守る必要がある。中国は領海の安全を守る必要があるし、さらに大規模に、さらに高い技術で海洋資源を開発する必要がある。遠洋の海上輸送路の安全も守る必要がある。国家のどんな海洋の夢の実現にも、効率的な海事機関、強大な海上武装力、そして活発な海洋経済力の間の緊密な連携が必要であり、社会全体の強い賛同も必要だ。パキスタンのグワダルから中国の釣魚島(日本名・尖閣諸島)まで、そして日に日に縮小する北極海の氷から強風の吹き荒れる南半球の暴風圏まで、中国の海洋権益はとうにこの惑星の海のほとんどの隅々にまで及 んでいる。海洋主権は確かに海洋大国という中国の夢の礎だが、その全てではない。同様に、海洋権益の維持と法執行も中国の海洋任務の全てではない。

海洋法執行分野についてのみ言っても、政府の海事機関だけに頼るのは事実上不可能だ。特に周辺国と領有権争いを抱える中国にとって、海上権益の維持はたとえ従来の複数の法執行機関を整理統合してもなお、海軍を含む他の海上部隊の協力、支持、さらには保護を必要とする。そして全ての海上部隊について統合的に計画を立て、国の海洋戦略の策定と推進に尽力する海洋委員会は、間違いなく国の海洋戦略を調整する真の中枢となる。

中国国家海洋委員会の設立という知らせを受けた今、人々は長く待ち望んだ初の国家海洋戦略の正式な発表に期待するに十分な理由を得た。

 

「人民網日本語版」 2013年3月15日

 

 
人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850