People's China
現在位置: 連載笈川講演マラソン

挨拶

文=笈川幸司

『人民中国』をご覧の皆さん。

始めまして。笈川幸司と申します。

2001年夏、私は北京にやってきました。それから10年、大学で日本語を教えながら教え子たちを巻き込んで、ともに苦労し、苦労を楽しんできました。細かいことは、おいおい話していきますが、その過程で日本と中国の違いを痛いほど感じました。

10年もいれば、誰でも失敗することがあるでしょう。ただ、大きな失敗をしたときに、中国の方々が私を一度も責めませんでした。それどころか、「笈川先生は悪くない。悪いのは誰誰だ!」って、代わりに怒ってくれたり、文句を言ってくれたりしました。そうなると、人は冷静になれるものですね…。私が悪かったと、すぐに反省できました。

もし日本で同じ失敗をしたら、きっと上司にこっぴどく叱られ⇒凹み⇒やる気をなくし⇒すべてをあきらめてしまう…という悪循環に陥ってしまったに違いありません。少なくとも、私が過ごしてきた日本での31年間は、まさに悪循環の繰り返しでした。

ですから、お世辞抜きで、中国の皆さんにはかなわないと思っていますし、心から感謝しています。本当に有難うございました。

さて、今回から来年七月までの一年あまり、このページをお借りして、連載をすることになりました。読者の皆さんをがっかりさせないよう、心をこめ、命を削って書き綴って行きたいと思っています。では、いったいどんなことを書くのかと言えば、テーマはズバリ、「日中国交正常化四十周年記念全国日本語マラソン」です。そして、何をやるのかと言えば、今年八月から一年かけて500以上の大学へ行き、「日本語の発音とスピーチの秘訣」について講演をしてくる予定です。そこで、「アツイ想い」を若者たちに、ストレートにぶつけてきます。

講演は一日平均3回。有名人でも年300講演を超えることは稀だそうですから、私の体を心配し、「それは無謀だからやめろ」とおっしゃられる方も少なくありません。しかし、これまで10年間、ほんとうに多くの方に助けていただき、幸運なことに『楽譜』を発明して、教え子たちの発音を劇的に変えることがでるようになりました。このノウハウを、一人でも多くの方に知ってもらい、お世話になった中国に恩返しをしたいのです。

「恩返し」。これが私のモチベーションです。

10年の恩をたった1年で返すなんて虫が良すぎるとお考えの方がいらっしゃるかもしれませんが、この1年を、本気で、死ぬ気で、突き進みますから、どうかその点だけはお許しください。

これから週1回のペースで、皆さんに「アツイ」メッセージをお送りしますので、どおうぞよろしくお願いします。

 

笈川幸司

1970年埼玉県所沢市生まれ。元衆議院議員公設秘書。元漫才師。

2001年に北京に来て、10年間清華大学、北京大学で教鞭を取る。10年間、中国人学生のため、朝6時に学生とのジョギングから始まり、夜中までスピーチ指導を無償で行い、自ら日本語コンテストを開催、中国全土の日本語学習者に学ぶ機会を提供している。また、社会貢献をすることで、日本大使館、日本国際交流基金、マスコミ各社、企業、日本語界から高い評価を得ている。2011年8月から2012年7月までの一年間、中国540大学で11万人の日本語学習者を相手に「日本語の発音、スピーチの秘訣」についての講演を実施する予定。「ジャスロン日语学习沙龙」のホームページ:http://neo-acg.org/supesite/

 

人民中国インターネット版 2011年5月20日

 

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