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現在位置: 連載笈川講演マラソン

さあ、出発だ

文=ジャスロン代表 笈川幸司

全国講演マラソンを前に、西安外国語大学で最後の特訓を行いました。

受け入れ担当は西安外大の高建斌先生。出会いは2005年12月、日本国際交流基金の計らいで、わたしは西安日本語教師会主催の講演会に招かれました。その日、わたしは授業中に撮影したビデオを会場の先生方に見せながら、独自の発音指導とスピーチ指導について話しました。が、「そんなわけがない。そりゃウソだ」と、ほぼ100%の先生がわたしの指導と教え子の日本語力を疑う中、高先生だけが、こんなことを言ってくれました。

授業の様子

「わたしは笈川先生を信じます。西安の日本語界を変えてください。わたしは全面的に協力します。そして、ここで種を播きますから、わたしのことも信じてください」

出会いから三年後の12月、湖南省で行われた作文コンクール授賞式で高先生と再会しました。その日、高先生は「三年間、ほんとうにすみませんでした。来年必ず西安で笈川特訓班を実施します」と約束してくれました。

2009年8月。約束通り、西安で特訓クラスが開かれました。

特訓クラスには、毎日かかさず、高先生と木村行幸先生がいらっしゃいます。そして、授業の最初と最後には、必ずお二人が「笈川先生を信じて頑張れば、絶対に大丈夫!」と学生たちに言っくださるお陰で、毎回成功裏に終えることができます。

また、今年で三年目になりますが、お二人がわたしを高く買ってくださるので、わたしもお二人のため、授業の内容と形式を毎回変え、新しいわたしをお見せできるよう工夫しています。こういう努力も、個人的には大事なことだと思っています。

木村先生(左)と学生

さて、今回は学生ボランティアが四人いました(ちなみに去年は二人、おととしはゼロ)。彼らは、参加者を募るため、授業と授業の合間にいくつもの教室へ行き、宣伝活動をしてくれました。また、特訓クラスが始まるまで、応募した後輩からの質問に誠意を持って答え、励ましていました。それから、空港⇔大学の送り迎えをしてくれましたし、ホテルの予約、荷物持ち、買い物、クリーニング、何から何までしてくれました。更に、授業中では大声で笑い、朗読し、参加者全員を引っ張ってくれました。

六年前の高先生がしてくれた約束「全面的な協力と種」は、いま、しっかりと芽を出しています。わたしは、「他人を変えることはできない」ことぐらいわかっています。しかし、自分を変えることはできます。ですから、約束を守ってくださる高先生の期待に応えるべく、これからも、出会う学生全員に、「アツイ気持ち」そして「魂」をぶつけていこうと思っています。

さあ、出発です。気合いを入れなおし、精一杯頑張ってきます!

 

参考: http://v.youku.com/v_show/id_XMjMxMDUyNTI0.html

(去年12月の映像「北京市日本語朗読大会」より:日本語学習歴3ヶ月の学生9名にそれぞれ1~2週間の指導を施し、大会に出場してもらいました)

 

笈川幸司

1970年埼玉県所沢市生まれ。元衆議院議員公設秘書。元漫才師。

2001年に北京に来て、10年間清華大学、北京大学で教鞭を取る。10年間、中国人学生のため、朝6時に学生とのジョギングから始まり、夜中までスピーチ指導を無償で行い、自ら日本語コンテストを開催、中国全土の日本語学習者に学ぶ機会を提供している。また、社会貢献をすることで、日本大使館、日本国際交流基金、マスコミ各社、企業、日本語界から高い評価を得ている。2011年8月から2012年7月までの一年間、中国540大学で11万人の日本語学習者を相手に「日本語の発音、スピーチの秘訣」についての講演を実施する予定。「ジャスロン日语学习沙龙」のホームページ:http://neo-acg.org/supesite/

 

人民中国インターネット版 2011年9月5日

 

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