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四川省瀘州市 伝統地酒が4大名酒に古い酒蔵が醸し出す味

 

伝統的な酒造りの技法

瀘州老窖は数百年にわたる酒の生産を経て、名匠たちが一代一代、さまざまに模索しながら、豊富な生産の経験を蓄積してきた。材料の選択から麹造り、原料の配合、発酵、蒸留、貯蔵、ブレンドまで、いずれのプロセスも工夫や向上が求められ、最高の域に達した伝統技法となった。

職工たちは窖を開き、発酵したもろみを甑にのせて蒸す。窖の中は熱く湿度が高いので、伝統的な特製の扇子で冷やす
穀物と麹と水は、瀘州老窖を製造する「三つの欠かせない原料」である。穀物はこの地で生産される赤い穀の高粱、水は龍泉井の水、麹は「麹の父」と呼ばれる、元代の郭懐玉が創り出した「天下第一麹」を使う。瀘州老窖の伝統的な酒造りの技法は、麹造り、原酒造り、原酒貯蔵とブレンドという三つの技法からなる。

瀘州老窖の「国窖1573」の貯蔵基地である純陽洞は、長江と沱江が合流する瀘州の三華山の麓にあり、長江のほとりからわずか50メートルしか離れていない。言い伝えによると、純陽の道士、呂洞賓は、かつて鶴に乗って瀘州に来て美酒を飲み、酔ってここに眠っていたという。純陽洞内には、酒を入れた甕が見渡す限り並べられていて、その長さは約7キロにも及ぶという。外は6月の高温であっても、内は冷気を強く感じられる。

専門家の話によると、酒造りの過程で、酒かすは窖の中でしだいに「発熱」するので、「陽」に属する。もし「陰」をもって調和させなければ、出来上がった酒は強烈すぎて、柔和さに欠け、飲むと顔が赤くなり、酔って目が回りやすい。そこで長い間の貯蔵によって「陽」を減らし「陰」を加えることによってはじめて酒は柔らかくなり、口当たりが良くなる。だから宋の時代から、できたばかりの酒は地下に貯蔵してから飲むようになった。現在の「国窖1573」は、少なくともここに5年間寝かせたあと、ブレンドをするという。

蒸しあがったもろみをかきまぜ、一定量の新しい酒粕ともろみを加えて再び窖に入れる

お酒が出ると、甑の蓋を持ち上げる

生産工場の酒を出す管から流れ出た原酒は、基礎酒と呼ばれ、品質がどれほど良くても、異なる味や匂いが夾雑することは避けられない。「玉も磨かざれば器とならず」といわれるように、調和がとれて完璧な、品質が基準を超える酒になるには、利き酒とブレンドが必要である。「目で見、鼻でかぎ、口でなめる」ことを通じて、酒の色、香り、味と風格を判断する。さらに「酸っぱい、甘い、苦い、辛い、塩辛い、旨味」などの酒の味に基づいて「甕と甕との交互ブレンド」を実現する。こうして最終的に瀘州老窖の酒の特徴を形成するのだ。

1960年代の末ごろ、酒造工場の品質管理者である陳奇遇さんは、それぞれの甕の中に基礎酒の制作過程で残ったものを一つの甕に混ぜ、嘗めてみると、意外にもコクがあることに気づいた。ここから意識的に新機軸の模索を始め、会社の人を組織し、濃香型の「白酒」の利き酒とブレンドの技術の研究と応用を行った。

簡単な甕と甕とのブレンドから、注射器を用いた微量の滴定試験や現在のコンピューターによる味の調整まで、瀘州老窖は絶えず革新と飛躍を行っている。現在、工場はすでに「中国酒造り大師」二人と国家レベルの利き酒師五人および数名の省レベルの利き酒師を擁している。一流の技術人材がいてはじめて一流の品質ができるのである。

 

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