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就職にたちはだかる壁

 

「雇われない」という選択

 

年配の人たちは、機関や会社、工場などの「単位」に属してこそ真の就職であると考え、損益について自分で責任を負う個人経営などの仕事はあまり信用できないと思っている。しかし今の若い人たちにしてみれば、「単位」での仕事は決まりきったもので味気ない。そこで、SOHOやフリーター、自ら起業といった新しい仕事スタイルを試みている。

 

SOHOとフリーター

 

ゼネラルモーターズ、エレクトロニック・データ・システムズ、サン・マイクロシステムズ、UGSの世界的な大企業4社は、巨額の資金を投じて、上海同済大学に「教育推進パートナー計画センター」を設立した。同センターは、中国の大学と海外の企業が人材育成や科学技術の研究開発などでの協力を目指す(NEWSPHOTO
 SOHOで仕事をする人は、ジャーナリスト、コラムニスト、翻訳家、プログラマー、アーティストなど多岐にわたる。毎日決まった時間に会社へ行く必要はなく、仕事の時間や量、方法を自分で決めることができるので、自由を好む若い人たちには歓迎されている。

 

しかし収入は不安定だ。しかも各種の社会保険を自分で払わなければならないため、プレッシャーは大きい。中国はまだ社会保障が完全に整っていないので、SOHOで仕事をしていくには、相当の実力がないと難しいだろう。

 

一方、フリーターたちの生活は、もっと気ままでもっとルーズだ。呂凌燕さんは、自分は一生懸命仕事をしているから、フリーターではなくSOHOだと何度も強調した。

 

フリーターは定期的に仕事をするわけではなく、お金がなくなるとアルバイトをし、ある程度お金を稼いだら休むという生活を繰り返す。最近増え続けているSOHOに比べ、フリーターの道を選ぶ人は非常に少ない。スーパーやレストランなどでの短期アルバイトで生活を維持するのは、中国では現実的に難しいからだ。

 

自ら起業

 

曹暁竜さん

 「自分を必要とするボスがいないのなら、自らボスになる」。このような考えを抱いて、大学卒業後、すぐに起業する人も多い。

 

曹暁竜さん(二十五歳)は就職活動がうまくいかず、最終的に人に紹介されてインターネット会社に就職したが、すぐに会社の再編に直面した。そこで、それをきっかけに数人の同僚といっしょに起業した。最近会社は苦境に陥っているが、自ら起業したのは悪くない選択だったと思っている。「今の私の年齢や家庭環境は、起業するのに適しています。経済面や精神面のプレッシャーがあまり大きくないですから」と話す。

 

ドイツ・ハノーバー大学に在籍する張嘯さん(二十六歳)は、卒業後は帰国して起業しようと決めている。「中国国内で仕事を見つけるのはとても難しいと聞きました。多くの『海帰(帰国留学生)』が『海待(就職待ちの帰国留学生)』になっていると。そこで私は、誰かに雇用されることは考えず、自分で自分が活躍するステージを作りたい」

 

各地の政府は、新卒生の起業を支援するため、さまざまな優遇措置をもうけている。

 

たとえば、重慶市は新卒生の起業に対して、抵当や担保をとらずに五万元以下の融資を提供している。個人経営者に対しては、一年間は行政事業性費用を徴収しないとしている。上海市も、無料で起業のしかたをレクチャーしたり、リスク評価を行ったりし、納税面でも優遇するとしている。(図表は英才網聯「2007年度大学卒業生就職意向調査」より)

 

呂凌燕(28歳)

 2003年、浙江工業大学修士課程修了。専攻はコンピューター応用技術

 

修士課程を修了しましたが、自分の専攻はあまり好きではなく、翻訳会社に就職しました。翻訳の仕事が好きだったからです。しばらく働いたら自分の固定客ができたので、SOHO(在宅ワーク)生活を始めることにしました。

 

SOHOの仕事スタイルを選んだのは、自由を好む性格のためです。いつもお昼ごろ起床し、午後は買い物や洗濯、掃除などをする。そして夕食をとってから、ブログを書いたり、ほかのことをしたりして、深夜になってようやく仕事を始めます。翻訳の仕事に携わるのはせいぜい数時間です。もちろん、納期の前は朝から晩までずっと仕事をし、ほかのことは何もしません。

 

Q 仕事を探すのは難しいと思いますか。

A そうでもありません。

Q あなたの理想の職業は何ですか。現在の仕事は希望通りですか。

A 働く時間が短くてもかなりの報酬をもらえ、毎日出勤する必要がない仕事です。今の自分の仕事には満足しています。人と交流するのが好きな人にしてみたら、一日中家にこもって、パソコンに向って仕事をするのは耐えられないでしょうが、私にとっては問題ありません。

Q 現在、大学生が就職難に直面している主な原因は何だと思いますか。

A 中等教育の失敗に関係していると思います。大学進学だけを重視した詰め込み教育のため、中高生たちは勉強に興味を持てないし、自分の興味や長所を見つけ、それを伸ばすことは奨励されません。私のようにしっかりと考慮せずに専攻を選んだら、大学で何も身につけることができず、自分に合った仕事を見つけるのは難しいでしょう。

 



 

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