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湖北省・十堰市 武当山の古建築物群

 

明代建築の特徴を留める

 

紫霄殿の棟には、鳳凰の模様が施された瑠璃瓦が飾られている
 北宋の宣和年間(11191125年)に建造が始まった「紫霄宮」は、明の永楽11年と嘉靖31年(1552年)の再建・増築によって現在の様子となった。今日の武当山の中で、規模がもっとも大きく、保存状態がもっとも良い建築群だ。29の建造物が現存し、敷地面積は6854平方。中軸線上は五段になっており、下から竜虎殿、碑亭、十方堂、紫霄殿、三清閣が建設されている。

 

 宮殿の主な建造物である「紫霄殿」は、武当山の代表的な木造建築。本殿は北京の紫禁城の正殿のように、三段の青石の台座の上に鎮座する。ひさしが幾重にも段をなした屋根、柱頭、斗拱、梁架(中国の伝統木造建築の骨組み)の構造、殿内の天井板はどれも、明代建築の特徴を顕著に留めたものである。

 

 屋根は青い瑠璃瓦に覆われ、棟には黄色や緑色の透かし彫りの瑠璃瓦が飾られている。前部の装飾は孔雀、道士、魚頭の模様で、このような建築様式は、ほかにはあまり見られない。

 

回音壁と一柱十二梁

 

 太子坡とも呼ばれる「復真観」は、天柱峰の東北にあり、頂上まで登るときに必ず経由する。明初に建造が始まった復真観は、「九曲黄河壁」と「一柱十二梁」という二つの独特な建築で有名だ。

 

 九曲黄河壁は復真観の参道にある。参道の両側にうねうねと延びているこの壁は、曲がりくねった黄河を連想させることからその名が付いた。壁の曲がり具合は、科学的かつ効果的に音を反響させることができる。北京の天壇公園にある「回音壁」と同じだ。

 

 一柱十二梁とは、絶壁に造られた5階建ての楼の建築のことで、天井に向かってまっすぐにそびえた一本の柱に12本の梁が交差し、建物全体を支えている。独特な構造、すぐれた技術によって建造されたこの楼は、600年以上の歳月を経ても、依然として気高くそびえ立っている。

 

木造建築を模した石殿

 

太子坡の独特な建築である「一柱十二梁」
 南岩は、武当山でもっとも美しく、もっとも険しく、もっとも珍しいといわれる峰だ。唐の時代から、人々はここに道観を建設した。特にすばらしいのは、「天乙真慶宮石殿」である。断崖絶壁に築かれたこの石殿は、木造建築を模したもので、梁、柱、桁、斗拱などすべての部材が石で造られている。そのため、現在に至るまで完全な形を留めているのだ。石彫芸術の希少な傑作といえる。

 

 天乙真慶宮には絶壁の中を空に突き出た石の梁がある。長さ2.9、幅0.3のこの梁には竜の模様が彫られ、最端の竜の頭の部分には香炉があり、「竜頭香」と呼ばれる。かつては、自分の敬虔さを示すために、命がけで竜頭に線香を立てる人がいた。しかし幾度となく悲劇が起きたため、今ではその危険な行為は禁止されている。

 

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