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食の安全を支える 「オリンピック野菜」

 

オリンピックの開催期間、北京は国内外から750万人もの人々を受け入れると予想されている。大会に参加する選手やコーチをはじめ、各国の政府関係者やメディア関係者、そして観客や観光客たちだ。彼らの食を満たすために、野菜の需要量は1日あたり約5000トンに達する。

 

快適な環境で育つ

 

紫キャベツ、レタス、ガイラン、セロリ、ブロッコリーなどが二重になった温室の中で気持ちよさそうに日光浴をしている。ここは野菜たちにとって、温度、湿度、光の照射、灌漑などがすべてオートメーション化された、現代的で居心地のよい「部屋」なのだ。

 

北京近郊にある「北京天安農業発展有限公司」は、北京オリンピック組織委員会と北京市農業局が共同で設立したオリンピック農産品供給基地のひとつ。1997年に農業部から国家A級の「緑色食品(有機食品)」生産基地に認定された。

 

劉燕飛社長は、「ここの野菜ハウスはフランスから導入したものです。保湿効果が高く、外の悪天候の影響を受けることもありません。ハウス内の基本設備はすべてコンピューターによってコントロールされていて、天井や側面の窓、日よけの網などは自動で開閉します。野菜は最適な環境の中で育つことができるのです」と紹介する。

 

薄暗い早朝、ハウスの中では野菜の収穫が始まっていた。まだ気温が低いため、この時間に収穫すると新鮮さを保つことができるのだという。

 

朝露にぬれた野菜は、検査を通ったあと、2000平米以上もある作業場に運ばれる。作業場では40人あまりの作業員が整然と、野菜の選別や箱詰め、トレーサビリティー(履歴追跡)ラベル貼りなどを行い、最後に貯蔵庫に送られる。レタスやガイランなどの葉物は摂氏4度で保存され、キュウリやヘチマなどの瓜類は摂氏10度の貯蔵庫に入る。

 

種類豊富な「オリンピック食品」の安全性を保証するため、北京市はオリンピック食品安全専門家委員会を設立し、『2008年北京オリンピック食品安全行動綱要』を制定した。同綱要によると、北京市は世界保健機関 (WHO)の食品安全基準をもとに、EUや米国の安全基準を参考にして、北京オリンピック食品の安全基準を決定。また、2年前には、生産基地の候補地の空気や土壌、水の様子を調査し、そこで栽培している農産物に対しても定期的なサンプル検査を行った。

 

同委員会の要求に基づき、生産基地の候補地は「オリンピック野菜」を栽培する際、農薬や化学肥料などを一切使用することができない。そのため、物理的・生物的な方法で病気や虫害を防ぐ。各ハウスには専属の管理者がいて、毎日定刻に野菜を収穫し、規定どおりに輸送する。

 

オリンピックの開催は、ちょうど高温多雨の季節にあたる。また、野菜があまり出回らない時期でもあり、病気や虫害が多発する時期でもある。そこで専門家は、野菜の安全性や品質、供給を保証するため、北京の地理的条件や気候に合わせ、郊外の延慶、懐柔、密雲などの区や県の農村に野菜生産基地を設立して、農民たちを指導している。

 

また、北京オリンピック組織委員会と飲食業界は、世界各地からやってくる選手と観光客のために「オリンピックメニュー」を作成した。このメニューは西洋料理が70%を占める。このため、ヨーロッパの国々でよく使われているミントやバジル、ローズマリーなどのハーブ類が北京郊外でも栽培されるようになった。

 

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