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♯季節の味♯ 北京でも人気の「上海ガニ」

毎年中秋節が近づくと、カニの季節になります。伝統的には中秋節には月餅を食べる習わしですが、現在では月餅が好きだという人はどんどん少なくなっています。これに対して、カニ好きは絶対に毎年この季節を逃すことはありません。なぜなら、中秋節前後の「大閘蟹」(いわゆる上海ガニ)は最も身がぎっしり入り美味しいからです。蘇州には「秋風起、蟹脚痒。菊花開、聞蟹来」という有名な古い言葉があります。上海ガニの最も有名な産地の陽澄湖の湖面を秋風がゆっくりと渡って来る頃になると、菊の花が咲き、上海ガニはちょうどカニ味噌もたっぷりで脂が乗る時期になるという意味です。菊の花を愛で、上海ガニを食し、紹興酒を一杯、想像しただけでよだれが……。というわけで、私にとってカニを食べることは秋の最も重要で盛大な楽しみなのです。

中国南方で取れる上海ガニですが、現在では北京のスーパーでも売られ、この時期に北方の人たちの食卓にも上るようになりました。でも、北方の人たちがだれでも南方のカニ食文化を理解しているわけではありません。例えば「蟹八件」。これは蘇州人が発明したもので、全部で八つの上海ガニを食べるための専門の道具です。台、金づち、斧、フォーク、はさみ、ピンセット、たがね、スプーンなどそれぞれに用途が決っている道具がそろっています。一般的には銅で作られていますが、いいものになると銀です。デザインも美しく、輝きがあり、精巧で、使い勝手も良くできていて、本当のグルメはこれらの道具を巧みに用い、切り、ほじり、たたき……一杯のカニを食べるのに少なくとも30分をかけて少しの身も残さず食べます。聞くところによると、清代末期に蟹八件は蘇州では嫁入り道具として欠かせないものになっていたそうです。

上海ガニにはさまざまな食べ方があります。普通は蒸して食べますが、「酔蟹」(酔っ払いガニ)もとても有名な食べ方です。酔っ払いガニには20以上の工程があり、とても面倒です。ほかにもカニ味噌を使った「炒蟹粉」(カニ肉とカニ味噌の炒め)や、「蟹黄豆腐」(カニみそ入り豆腐煮込み.)、「蟹黄灌湯包」(カニ味噌スープ入りパオズ)、「蟹肉餛飩」(カニ肉ワンタン)などなど美味しいカニ料理は枚挙にいとまがありません。ちなみに、わが家でカニを蒸す時には鍋にシソの葉を数枚入れます。シソがカニの生臭さを取ってくれるからです。

ネットでは、上海ガニとアイスワインが絶妙にマッチすると勧める書き込みがありました。「甜」と「鮮」の組み合わせは、きっと素晴らしい味わいでしょう!

 

人民中国インターネット版 2014年12月1日

 

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