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スピーチコンテスト開催にあたって

ジャスロン代表 笈川幸司

今年、4回目を迎えた北京市大学二年生日本語スピーチ大会。

参加申し込み者は過去最高の120名(北京理工大学を含む)、参加校20大学だった。午前中に行われた予選を勝ち抜いた21名は揃ってレベルが高く、午後の決勝戦はたいへん見ごたえがあった。

この大会は、ちょうど4年前のこの時期、北京理工大学の譚立群院長、郭玉傑主任、周晨亮副主任から「いっしょに頑張りましょう!」と声をかけていただき、小規模で始まった大会だ。

4年前は、申し込みをした12名が予選もなく全員決勝に進んだ。

けっしてレベルの高い大会ではなかったが、この大会に出場し、自信をつけた学生たちが、翌年、毎年五月に開催される中華杯(日経新聞者主催)北京市大会で優勝し、北京市代表として全国大会に進むようになった。

今年は、去年に続いて北京語言大学と北京科技大学の学生が優勝した。

北京では、スピーチ大会の他にさまざまな大会が行われていて、大会のたびに優勝校も違うが、少なくとも、この二校がいま北京をひっぱっていることは間違いない。また、一等賞が二人いるのはおかしいと思う人がいるかもしれないが、どの大会も一位、二位はたいてい甲乙つけ難いもの。わたしは、個人的に理工大学の考え方に賛成する。そして、今年も良い成績を挙げた数名の学生が、近い将来北京のコンテスト界を引っ張ってくれることを期待したいと思う。

さて、コンテストを主催するのは、骨が折れることだ。実際、手軽にできるはずはないが、周晨亮先生の言葉を借りれば、「学生たちの能力を伸ばすためには非常に意義のあること」だ。

そこで、興味のある方だけのために、コンテストを主催するにあたって必要なことをここにまとめておきたいと思う。したがって、この章のテーマは、「コンテスト開催にあたって」としたい。

まずは、学生募集。

四年前、北京市20大学に通知を出したが、結局3、4名の応募しかなかった。そこで、班長と呼ばれる各大学のクラスの代表に声をかけ、何とか12名集めることができた。

途中、「何だ、誰も相手にしてくれない。やっても無駄だ」と言って、やめてしまうのはよくない。なぜなら、目的は大会を主催し、自分がすごいことしたと示し、自慢するためではなく、あくまでも、「学生たちの能力を伸ばすため」だからだ。その理念を変えずにつづけていけば、出場者、出場校が増え、注目される大会になる。それを、理工大学が身を持って証明した。

次に、審査員。

午前中は、清華大学日本人留学生会会長の福安さんに北京中から六名の日本人留学生を集めてもらい、予選の審査をしていただいた。日本人の中には、このような仕事を喜んで引き受けてくれる人が少なくないことを、中国の皆さんにも知っていただきたい。

そして、午後の決勝戦では、大会に理解を示してくださった日本大使館からは、柳澤一等書記官が、日本国際交流基金からは杉田所長が、そして、東京大学北京事務所からは、宮内所長がおいでになった。

もちろん、はじめからVIP級の方がいらっしゃるとは限らないので、まずは他校に呼びかけ、数名の日本語教師に協力を仰ぐのがいちばんだと思う。

最後に会場。

大学で開催する場合、はやめに予約をしておけば問題ないはずだ。学校によっては費用がかからないことがあると言う。とにかく、大切なのは、人と場所だ。

そして、最後の最後になるが、成績の良かった学生たちに贈る賞品について話す必要がある。

まずは、地元の企業に声をかけてほしい。そして、必要最低限の賞品を提供してもらえるよう交渉してほしい。なぜなら、「日本行き」などという立派な賞品がなくても、学生たちはちゃんと喜んでくれるからだ。

ものは壊れたり、なくなってしまうが、舞台に立つという貴重な経験、そしてその思い出は、何十年経っても色あせることなく残る。わたしたち大人が若者たちに残すべきもの、それは、永遠に残るものではないだろうか。

 

笈川幸司

1970年埼玉県所沢市生まれ。元衆議院議員公設秘書。元漫才師。

2001年に北京に来て、10年間清華大学、北京大学で教鞭を取る。10年間、中国人学生のため、朝6時に学生とのジョギングから始まり、夜中までスピーチ指導を無償で行い、自ら日本語コンテストを開催、中国全土の日本語学習者に学ぶ機会を提供している。また、社会貢献をすることで、日本大使館、日本国際交流基金、マスコミ各社、企業、日本語界から高い評価を得ている。2011年8月から2012年7月までの一年間、中国540大学で11万人の日本語学習者を相手に「日本語の発音、スピーチの秘訣」についての講演を実施する予定。「ジャスロン日语学习沙龙」のホームページ:http://neo-acg.org/supesite/

 

人民中国インターネット版 2011年11月22日

 

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