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飯嶋康弘日本政府観光局北京事務所所長インタビュー

                           

文=馬島由佳子 写真提供=JNTO北京事務所

プロフィール

飯嶋康弘 日本政府観光局北京事務所所長。1988年運輸省(現国土交通省)入省。在中国日本国大使館で政治部書記官として日中外交に携わる。2008年~2010年は国連世界観光機関アジア太平洋センター副代表を務め、2010年7月から現職。

2010年には日本が中国人の海外旅行先1位は日本に。2011年は、東日本大震災後、中国人訪日旅行者数は一時的に減少しました。しかし、日本の正確な現状の情報提供、風評被害対策を、いち早く活発に行った日本政府観光局北京事務所の努力により、現在は中国人が安心して日本旅行ができるまでに回復したと言っても過言ではないでしょう。「1人でも多くの中国の方に日本の魅力を味わってもらいたい」と観光客誘致に懸命に取り組む飯嶋康弘日本政府観光局北京事務所所長にお話を伺いました。

――現在まで中国人訪日旅行者数はどのように変化していったのでしょうか?

2000年9月に、一部地域(北京市、上海市、広東省)に限定して、中国人の訪日団体観光旅行が解禁され、その後、2005年に中国全土に解禁されました。訪日個人観光は、2009年7月に、まず一部地域(北京市、上海市、広東省)に限定して解禁、翌2010年7月に中国全土に日本への旅行が解禁となりました。

日本政府が、観光立国を国策と位置付け「ビジット・ジャパン・キャンペーン」と称し、日本への観光客誘致への取り組みを開始したのが2003年です。2003年の訪日外国人観光客数が521万人で、うち中国大陸からは45万人。2011年の中国人観光客数は104万人でしたが、この間の外国人観光客全体(622万人)の伸びが約2割増なのに対し、中国人観光客は2.3倍増と急拡大し、今や韓国人観光客に次ぐ規模です。近い将来最大になるのは確実とみられています。

――東日本大震災後、旅行者数は減少しましたか?

東日本大震災の影響は非常に大きく、震災後の中国人観光客数は対前年同月比で4割減が続きました。しかし、国慶節休暇のあった10月には、ほぼ例年並みに回復し、11月以降は3ヶ月連続して単月で過去最高値。但し、春節休暇が今年は1月にあった影響で、2月は対前年比で2割減となってしまいましたが、1、2月の合計では対前年比8%増です。訪日中国人観光客数は既に回復したと見ています。

外国人観光客総数では未だ例年の9割程度までしか回復していない中で、中国人観光客が昨年10月以降いち早く回復できたのは、多くの自治体が震災後の地域の現状と観光魅力の説明会を実施するなど、日本が関係者一丸となって風評被害対策に取り組んだために他なりません。

私ども日本政府観光局では、「夏休みを1つの目標として、夏休みにある程度の人数の中国人観光客が日本を訪問してくれれば、日本へ旅行をした中国人自身が、クチコミやネットユーザー5億人以上と言うWEBで、日本の安全な状況を他の中国人に伝えてくれるはずだ」という戦略の下、震災後から夏までは、風評被害対策に集中的に全力で対応してきた甲斐があり、早期回復ができて本当にうれしく思っています。

 

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