新中国の反腐敗行動
 「打老虎(トラ狩り)」―腐敗撲滅のために使われる中国独特の意味を持つこの言葉は、生き生きと、「トラ」つまり腐敗高官が国家・社会に与える危害と、中国政府が彼らに対する懲罰に力の入れる決意をよく言い表している。
 新中国のこれまでの反腐敗行動において、「トラ狩り」は国民の関心を集め、中国社会の発展にも深く影響している。(沈暁寧=文)
全国民が参加
制度化への道
土壌をなくす
 
「新たな処方箋」に期待
 腐敗撲滅行動の一層の深化に伴って、これまでの一部システムやメカニズム、腐敗対策モデルにおける問題が次第に浮き彫りになり、効果を失ったものさえある。中国共産党第18回全国代表大会開催後に、一連の新たな措置や政策が矢継ぎ早に打ち出され、人々は政府の腐敗一掃に対する決意を感じ取り、これらの「新たな処方箋」による腐敗根治への期待がさらに高まっている。(段非平=文)
不動産を制限
市場に任せる
すべてを監督
 
法律で公正・正義実現を
 昨年8月、政治局は会議を招集し、「健全な処罰と腐敗予防体系を構築する2013~2017年工作計画」を審議通過させ、中国共産党が引き続き腐敗撲滅に対する力を強め、より科学的に、有効に腐敗を防止していく決意を示した。同時に、法体系の整備を加速し、法に基づいた腐敗一掃が中国の今後の基本手段となることを明らかにした。(張雪=文)

まず制度から
防止システム
法廷も公開へ
 
「中紀委」が先頭に立って
 中国共産党中央紀律検査委員会は、中華人民共和国監察部と合同で事に当たる、千人余りの人員と27の職能部門を持つ組織だ。主な任務は省・部級の高官を対象に腐敗した「トラ」を探し出すこと。  
 1927年、成立間もない中国共産党は党員隊伍の革命性と清廉性を守るため、武漢で開いた第5回党大会の席上、初めて選挙によって中央監察委員会を成立させ、主に党員の紀律違反問題調査・処置を受け持たせた。その後の数十年間にこの機関は何度も名称や組織変更を経たが、職能が変わることはなかった。1978年に行われた第11期3中全会において、「党中央紀律検査委員会」となり、党中央が等級の高い党員・幹部の腐敗問題を処理する「鋭利な剣」となった。
 
剛柔併せ持つ王岐山書記
 農村で生産隊に入隊した知識青年時代から、政治局常務委員、中紀委書記、国務院副総理になるまで、王岐山氏はこれまでの道のりにおいて、さまざまな役割に就いて注目される成績を収めた。広東省副省長を務めた時期には広東金融危機を防止・解消し、北京市市長代行を担当した時には重症急性呼吸器症候群(SARS)の制圧に成功した。また、国務院副総理として、国際金融危機と欧州債務危機に積極的に対応した。...
大臣級の18人を取り調べ
 中国社会の一部の地区、一部の部門で汚職腐敗現象が相変わらず多発し、腐敗撲滅、清廉推進はさまざまな問題に直面しているが、党の腐敗一掃に対する断固たる決意と鮮明な態度は終始一貫、微動だにしていない。一昨年11月の18大以後、習総書記が率いる党中央は党を厳格に治めることを堅持し、拳を固めて腐敗撲滅に立ち向かっている。
全文
各国が多様な取り組み
 腐敗現象は人類社会の持病であり、世界各国が直面している難題のひとつだ。多くの国々で腐敗制圧のためにたゆまざる努力を重ねており、長年にわたって試みてきた手法も千差万別だ。
日本
持病「金権政治」
 政治家、公務員と民間企業の間に形成されてきた利益共同体が「金権政治」と呼ばれる日本の政官界の持病だ。「戦後4大疑獄」と言われる1948年の昭和電工事件、54年の造船疑獄、88年のリクルート事件がその典型と言える...
米国
モラルと法と
 1820年代から80年代にかけて、米国は腐敗が極めて深刻な国で、政府高官の職権乱用による腐敗がまん延していた。19世紀末、30年に及ぶ闘いを経て、立法機関に新法制定を迫り、腐敗をある程度減らすことができた。...
フランス
無期限の追究
 フランスのシラク元大統領は温厚篤実、口調も穏やかで清廉な政治家として国民から愛されていた。2007年、フランス政府は彼の財産は100万ユーロ余で、フランスの中流家庭と同程度だ、と発表した...
フィンランド
教育を通じて
 北欧の国・フィンランドの国民は清廉な政治を尊び、汚職・収賄、公共財産の横領などの腐敗行為を窃盗や強盗と同じように軽蔑する。長年にわたる適切な教育が国民の清廉に対する意識を育んできた...
ロシア
プーチン方式
 ロシアでは近ごろ、8人の高官を含む多数の腐敗官僚を調査し、処分する反腐敗で成果をあげたが、ロシアは依然として腐敗状況が深刻な国家のひとつであり、政府の清廉度は世界で百位以下だ...

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