[第14回東京ー北京フォーラム] 信頼深め、協力分野を開拓

2018-11-23 10:10:04

中日平和友好条約締結40周年の今年、条約の今日的な意味を考え、両国関係の未来を展望することが、政治外交分科会でパネリストたちが話し合う主な議題となった。

条約振り返り、基礎を強固に

中日両国のパネリストが条約に盛り込まれている平和友好の精神を認め、守るべきだという基本的な姿勢を示した一方、反覇権条項に関する内容について論争が起きた。

現在の世界情勢における深刻な変化と中国の台頭に対し、日本側のパネリストたちは次のような意見を述べた。中国の国民は日本が米国と共に中国を取り囲もうとしていると疑っているが、日本社会も中日の海上安全保障の摩擦で中国の脅威を感じている。そのため、覇権とは何か、覇権にどう反対するかという課題を改めて認識することは中日関係の発展に重要な意味を持つ。

東京大学公共政策大学院院長の高原明生氏は次のように述べた。「覇権」とは、自国の実力で他国を支配するということ。隣国である日中は、争いを避けることが難しい。肝心なのは争いを解決する時、実力行使ではなく、平和的手段で解決しなければならないことだ。この内容は条約ではっきり定められている。国民民主党代表の玉木雄一郎氏は次のように指摘した。日本側は中国が覇権を求めていると感じており、中国が自制することを望んでいる。

日本側の疑問の声に対し中国側のパネリストは、絶対に覇権主義の道を歩まない中国の発展戦略を詳しく説明し、条約の精神に基づいて、中日両国には国際社会に存在する覇権主義勢力に共に反対し、アジアと世界の安定と繁栄を守る責任があると指摘した。

12期全国人民代表大会外事委員会副主任委員の曹衛洲氏は次のように強調した。中日はいずれも覇権を求めるべきではなく、他国が覇権を確立しようとすることにも反対すると条約は定めている。これを双方とも揺るぐことなく(4)守らなければならない。

中国人民政治協商会議第13期全国委員会外事委員会副主任の韓方明氏がさらに次のように述べた。中日平和友好条約は両国の長期にわたる友好に重要な意味を持っているばかりか、アジア地域の平和の構築と維持、ひいては世界の平和に重要な意味を持っている。われわれは平和友好の原則の下で、両国関係の未来を展望していくべきだ。

それに対し、衆議院議員の加藤鮎子氏は次のように述べた。日中が相互理解を深めることは非常に重要であり、双方は両国の共通点から出発して関係の発展を考えるべきだ。

議論を経て、平和友好関係をしっかりと発展させ、中日双方が小異を残して大同を求め(5)、人の往来と意思疎通対話の強化によって両国の政治的相互信頼をより強固なものにすることが、パネリストたちの共通認識になった。

両国の実務協力を拡大

時代の変化について、中国国際交流協会副会長の劉洪才氏は次のように強調した。条約精神の今日的な意味には、中日双方が平和友好の原則をしっかりと守ることだけでなく、協力ウインウインという時代的な意味も盛り込まれるべきだ。例えば、「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」イニシアチブの下で両国が第三国協力を展開することは非常に良いきっかけになる。

元外務大臣の川口順子氏はそれに同意し、次のように述べた。地域の経済発展を目標とする「一帯一路」はとても良いイニシアチブだ。日本が参加できたら、地域の発展にきっとプラスになる。

衆議院議員で元外務副大臣の山口壯氏は次のように述べた。両国の地方政府間の交流にもしっかりした土台が必要だ。両国関係に波風が立っても、地方交流が影響を受けないことを望む。また、高齢化や少子化は現在、両国が共に直面している課題なので、協力の余地が大きい。

中国社会科学院日本研究所副所長の楊伯江氏は次のように述べた。中日協力は、まず協力分野を拡大し、次に協力の度合いを深めなければならない。例えば、テロリズムは中日が直面している共通の脅威なので、両国が共同で対応できる。領事保護協定の締結や、在外国民輸送の共同展開などで協力できる。

パネリストたちは協力について多くの意見交換をし、一般参加者からは幾度も拍手が起こった。北京大学国際関係学院院長の賈慶国氏の言葉通り、中国は他国と共に互恵ウインウインの世界を構築することを望んでおり、その中には当然日本もなくてはならない。協力は中日関係が穏やかに遠くまで進むことの有力な保障だ。  東京大学に留学している中国人学生の滕子君さんは、4時間にわたる分科会を聞いた後、次のような感想を語った。相互信頼と協力の深化は中日両国にとっての課題であり、両国民の個人的な往来の課題でもある。滕さんの友人で、東京成徳大学に通う田中歩佳さんは次のような感想を語った。私たちは両国関係の未来を背負っている。このフォーラムが中日関係をより良い方向へ導くことを期待している。(文=沈暁寧/人民中国)

 

人民中国インターネット版 201811

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