[第14回東京ー北京フォーラム] 不安定な経済下で接点強化

2018-11-23 10:22:56

中米貿易摩擦が深刻化し、中日経済協力が好転する中で開かれた今回の経済分科会は、前より一層実務的で率直な議論が交わされた。特に、これまで何度も分科会の司会を務めた元中国商務部副部長の魏建国氏と元日本銀行副総裁の山口廣秀氏は、「新しい進展があり、成果に富んだ」という言葉を使って会議に参加した感想を述べた。

協力し自由貿易体制守る

分科会の前半、中日経済界の有識者はグローバルな視点から、両国がいかに世界の自由貿易体制を守るべきかについて、見解を分かち合い、提言を出した。

双方は、米国の保護貿易主義が世界の貿易体制を揺るがし、中米貿易摩擦による影響が世界に波及する恐れがあるが、中国と日本は経済大国として開かれた市場があるからこそ、今日の発展を遂げたのであり、両国には自由で開かれた貿易体制を守る責任があると考えた。

中国国際経済交流センター首席研究員の張燕生氏は次のように指摘した。現在、自由貿易体制を巡る三つの勢力がある。一つ目は自国優先の自由貿易体制を進める米国。二つ目は米国に頼らない新しい秩序を作り上げたい欧州。三つ目は開かれた包摂的な自由貿易を推進したいアジア。この三つの勢力は世界経済が今後、協力か対抗に向かう行方を左右する。中日は手を携えて、共に多国間自由貿易を推し進めるべきだ。

中国経済体制改革研究会副会長の樊綱氏は次のように具体的に提言した。地域内の多国間枠組みの推進において、中日韓自由貿易協定(FTA)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などで、中日は協力してリーダーシップを発揮すべきだ。そうすることで、世界規模で多国間経済の発展をけん引する。これを受けて、環日本海経済研究所代表理事の河合正弘氏は次のように補足した。RCEPの交渉を加速するには、各国の実情に沿って対応し、まだ準備ができていない国に準備期間を与える環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTTP)のやり方を参考にすることができる。すでに大筋合意した国が先に協定に調印し、それから新しいメンバーを少しずつ迎え入れるやり方がより現実的だ。

貿易摩擦は経済に悪影響を及ぼすが、全体的に分析すれば前半で議論したように、自由貿易体制が揺さぶられることでかえって多国間貿易体制の発展が促される。中国にとって、貿易摩擦は試練であるとともに、チャンスでもある。吉林大学経済学院兼金融学院院長の李暁氏は次のように述べた。歴史の観点から見ると、中米貿易摩擦は中国のより一層の改革開放促進に大きな役割を果たす。

交流が生む着実な成果

より全面的で深い改革開放は間違いなく中日経済にさらに多くの発展の余地を与える。後半、パネリストは両国で今後期待できる協力分野に焦点を当て、議論した。

IT企業の高偉達ソフトウェア株式有限公司董事長の于偉氏は次のように指摘した。現在、日本のIT投資が著しく不足している。デジタル経済は両国が次に協力する重要な分野になるだろう。中国ではモバイル決済の普及により、クレジットカード関連の業務が急速に成長している。日本の銀行業界もこれを参考にできる。株式会社三菱UFJ銀行顧問の守村卓氏はこの提言に賛同し、次のように述べた。中国の中小企業は技術革新において、急速に成長し、どんどん海外に進出し、事業を展開している。日本の金融機関は中国企業をサポートする用意があり、この分野で協力したい。元中国銀行業監督管理委員会副巡視員の方立明氏は次のように述べた。2011年から、中国は15条の金融改革措置を打ち出した。今は両国の銀行業が協力する良い時機だ。中日の銀行業界の情報共有と交流を着実に行えるよう尽力したい。

金融協力が今までにない進展を遂げた中で、元中国石油化工集団有限公司董事長の傅成玉氏は日本企業に次のような協力のシグナルを出した。日本側の環境分野における技術と経験は中国にとって大変良い参考になる。ただ、この理念をいかに企業レベルで実行に移すかが課題だ。私はけん引役になって、中国企業を日本企業にリンクさせ、協力を展開したい。三井不動産株式会社常務執行役員の船岡昭彦氏はこれに即座に反応し、スマートシティー建設などの分野で、中国と協力したいという意向を述べた。

「東京―北京フォーラム」の発足以来、経済分科会は中日経済界の革新協力を促進するプラットフォームとして、両国の経済貿易協力が新しい成果を得られるよう重要な役割を果たしてきた。(王朝陽=文)

 

人民中国インターネット版 2018年11月

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