[第14回東京ー北京フォーラム] 平和に向けメカニズム構築

2018-11-23 10:36:24

安全保障分科会は、主に中日両国の防衛部門に勤めた元官僚や退役将校、専門家や学者が参加しており、以前から最も白熱した意見が交わされた場だ。今年の安全保障分科会は、北東アジアの安全情勢の新たな変化と、それが両国にもたらした試練やチャンスについて議論した。両国のパネリストはそれぞれの意見を述べつつ、多くの共通認識を得た。

安全保障分科会では、中日のパネリストが活発な議論を行った

今年の安全情勢の大変化

安全保障分科会の前半、中日のパネリストは主に現在の北東アジアの安全情勢について意見を交換した。

双方のパネリストは次のような考えを述べた。朝鮮半島の情勢が昨年に比べて大きく緩和されており、南北双方が戦争状態を終結させる明確な意向を示したことは、中日両国にとって歓迎すべきことだ。また、中米貿易摩擦が経済分野から政治や安全保障分野に波及していることにも注目している。これに対し、元中米防務関係研究センター主任の姚雲竹氏は、中日関係に大きな不確実性をもたらす可能性がある、と憂慮を示した。

今年に起きた最も積極的な変化は、中日関係が正常な軌道に戻ったことだ。6月には海空連絡メカニズムが正式に運用され、双方の海上摩擦が緩和され、危機管理メカニズムが強化され、双方の防衛交流も回復した。しかし、パネリストからは次のような指摘も出た。中日の安全保障関係は極めて脆弱なままで、海上摩擦が依然として存在し、互いの戦略に対する疑念は主に安全保障分野に存在している。その疑念は今回の世論調査にも反映された。

「安全」の脆弱部分をどう補強

会議の後半、双方は中日両国が当面の安全保障情勢の下で、どのように北東アジアの平和のために役割を果たすか、どのように「安全保障」という脆弱部分を補強し、地域の安全における協力を強化するかなどを巡って、多くの建設的な意見を出した。

双方は朝鮮半島問題において、中日が共同で朝鮮に安全と経済的な保証を提供することや6カ国協議の再開を含め、協力を強化し、平和メカニズムを構築することを望んだ。上海市日本学会会長の呉寄南氏は次のように述べた。東アジアサミット(EAS)の枠組みの中で、「欧州安全保障協力機構(OSCE)」のような安全に関する多角的な対話と協力メカニズムの構築を検討できる。

中米の貿易摩擦について、双方のパネリストは中米関係が対立の方向に向かわないことを望んだ。日本側のパネリストは、中米の対話に積極的に参加したいという意向を見せ、中日米3カ国の安全保障対話を行うことを提案し、中米関係の安定に向けて努力したいと考えていると述べた。中国側のパネリストはこれに歓迎の意を表した。元駐中国大使の宮本雄二氏は、中米対立が深まっているが、日本と中国の間のことはできる限りすべきだ、と述べた。

双方のパネリストから、両国の関係改善の機会を捉えて、両国間の危機管理メカニズムをさらに整備すべきだとの意見が出された。中国国際戦略研究基金会学術委員会主任の張沱生氏は次のように主張した。中日海空行動基準と重大な軍事行動に関する通報メカニズムを一刻も早く制定し、多層的なホットラインを確立し、両国の海上法執行機関の連絡メカニズムを構築すべきだ。

また、双方のパネリストは中日の防衛安全保障対話を強化し、特に従来とは違う安全保障分野で協力を展開する意向を持っていた。安全で円滑で自由な国際海上航路の維持においても、両国は大きな共通の利益がある。元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は、国際海洋法の解釈の相違について、中日は専門家会議を行うことができる、と述べた。

相違を認め率直な交流

今回の安全保障分科会で、双方には日米軍事協力に対する意見の相違があった。日本側は日米同盟に必要性があるという考えだったが、中国側の考えは、日米同盟は今後も長期的に存在するだろうが、それがもたらす対抗的な意味合いを減らし、東アジア地域の安全に建設的な役割を果たすようにすべきだというものだった。また、中国側のパネリストは日本の国家安全保障戦略の見直しに関心を示し、日本側も中国の軍事力の発展と南中国海政策に関心を示した。これらの問題について、双方の専門家が真剣に回答し、相互理解を増進したことは、客観的に相手を認識し、誤解や見誤りを減らすことにつながった。

全体的に見て、今年の安全保障分科会の対話は、より率直で、理性的で、建設的だった。一部で激しい論争があり、依然として安全保障問題においてある程度の意見の相違があったが、多くの討論には双方が相違を管理コントロールし、対話と協力を強化し、地域の安全に貢献したいという強い願いが体現されていた。会場にいた聴衆の1人は、パネリストたちが口論を始めるのではと心配していたが、意外にも休憩時間には一緒に記念写真を撮っていて、とても友好的な雰囲気だった、と感想を語った。(王焱=文・写真)

人民中国インターネット版 2018年11月

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