[第14回東京―北京フォーラム] エコ視察で協力の具体化へ

2018-11-23 11:10:37

今回のフォーラムの新たな試みとして、会議閉幕後、中国側ゲストは東京都内にあるスーパーエコタウンと豊島清掃工場を見学した。この活動を通して、中国側ゲストは日本の技術レベルを知り、中日協力の機会を模索することができた。

豊島清掃工場で汚水浄化工程を見学するパネリスト(写真段非平) 

「ごみを宝に変える」新技術

スーパーエコタウンという名前を聞くと、美しい景色、人と自然が共生するイメージを思い浮かべる人が多いかもしれない。東京都のスーパーエコタウンには、環境保護分野の企業9社と6種類の処理施設が集まっている。1015日午後、ゲストはそこで、廃電子電気機器から金属をリサイクルしている株式会社リーテムの施設と、食品廃棄物から発電ガス供給を行っているバイオエナジー株式会社の施設を見学した。

ゲストは廃棄物の回収処理プロセスについてのほか、政府からの補助、企業の経営状況など、全面的かつ踏み込んだ質問を次々と投げ掛けた。一方、日本企業も中国の環境保護事業に高い関心を持っているようだ。バイオエナジーの担当者は説明の最後に、近頃研究開発された分散型小型メタン発酵槽を特に紹介し、今後、中国企業と協力し、中国で自社の技術と処理施設を広めたいとの意向を示した。

廃電子電気機器から金や銀などの金属を精錬したり、食べ残しから電力とガスを生み出したりする「ごみを宝に変える(9)」技術は、ゲストに深い印象を残した。見学中、解説に当たったスタッフは、日本人が古い携帯電話を寄付し、企業がそこから金、銀、銅を取り出してオリンピックのメダル製造に使うことや、電気代を多めに支払っても、再生可能エネルギーによる発電を支持しているエピソードを紹介した。日本人の環境保護に対する意識にゲストは感心した様子だった。

吉林大学経済学院兼金融学院院長の李暁教授は、「日本の人々は国が調印した気候変動枠組条約『京都議定書』と『パリ協定』を進んで支持し守っている。このような政府から民間まで一貫した環境保護理念は、大きく言えば、一国の環境保護事業の計画にとって、細かく言えば、個人のごみ分別の習慣形成にとって、大変重要であり、私たちが反省し、学ぶべきところでもある」と述べた。

 

バイオエナジー株式会社を見学し、責任者から生ごみをバイオマスエネルギーに変換する施設の説明を受けるパネリスト(写真王朝陽) 

「ニンビー問題」に解決策

豊島清掃工場は都内でも、人口が密集する、にぎやかな地下鉄池袋駅近くに位置する。佐々木工場長が一行を迎えた。処理場に入ると、北京冬季オリンピック組織委員会秘書長の韓子栄氏はすぐに、「なぜごみ処理場を繁華街に建てたのか。なぜ異臭がしないのか」と質問した。北京は都市生活ごみの排出量が全国で最も多いが、「NIMBY(ニンビー)問題(10)」(ごみ処理場などの必要性は認めるが、居住地の近くに建てられるのは困るという考え方)があり、政府は解決に悩んでいる。佐々木工場長は、汚染物質や異臭を取り除く方法、住民への迷惑を回避する方法などについて、細かく説明した。ゲストは、豊島清掃工場が「ニンビー問題」の解決において、北京などの大都市に良い手本を示していると口をそろえた。

ごみの量が多いこと以外に、効果的に分類されていないことも中国が直面している喫緊の課題である。中国軍備管理軍縮協会理事の朱成虎氏は、「中国はまずごみの分別について日本から学ぶべきだ。これは根本的な問題であり、また核心的な問題でもある。中国の一部の地域でごみの分別が始まったが、その分別方法はまだ粗末なものだ。先程、日本のごみ分類表を見て、細かく3040種類にも分けられていることに大変驚いた。ごみの分別は資源のリサイクルや環境保護に利するだけでなく、国民の環境保護意識の向上や社会文明の促進にもつながる。日本という良い手本が近くにあるのだから、われわれは真剣に学ぶべきだ」と述べた。

これまで何度も「東京―北京フォーラム」に参加している元商務部副部長の魏建国氏は、「フォーラムの開催目的の一つは、中日両国の協力の新分野を開拓することだ。今回新たに設けられた見学活動はフォーラムのテーマに合致している。中日はクリーンシティーの建設において、大きな協力の余地がある。これは皆の共通認識だ。しかし、われわれは認識にとどまっていてはいけない。実際の見学を通じて、双方が直接交流し、いかに実質的に協力を進めるかを共に検討すべきだ」と今回の活動を高く評価した。(段非平 王朝陽=文)

人民中国インターネット版 2018年11月

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