【貧困脱却 決着に加速】ネットで増収 若者が率先

2019-08-08 10:04:27

武陵山脈に位置する重慶市豊都県興義鎮天水村は、経済的基盤の乏しい小さな山村だ。張源さん(33)は電子商取引マネジャーを始める前、北京でウエーターやコック、電話セールスの仕事をしたほか、事業に3度失敗した経験もあった。笑顔を終始浮かべ、「連戦連敗で、何度敗れても立ち上がる」と話す張さん。農村の若者らしく粘り強さを頼りに懸命に事業に挑戦し、貧困を脱却した天水村大衆のリーダーとなった。

 

畑で農作物の生育状況を見て、どの農産品をネットショップで売るか検討している張源さん(写真韓歆昊)

 

「淘宝」でカボチャがヒット

2015年、「論語」で言えば「而立の年」を迎えた張さんは、青春と夢の舞台だった北京を離れ、ふるさとで事業を始めることを選んだ。彼と姉の夫は豊都県双龍鎮でジャガイモを80ムー植えた。「苦労して育てたジャガイモが、もうすぐ収穫という時に、疫病が発生し、全滅してしまいました。全く思ってもみませんでした。栽培と管理の技術を知らなかったためでした。事業の損失はとても深刻でした」と張さんは振り返った。

 失敗しても張さんは尻込みせず、再起の機会を探っていた。17年に彼は運命と事業の新たなチャンスを迎えた。アリババグループのネットショッピングサイト「淘宝網」に、農村が参加する「農村淘宝」というのがあり、村がその研修を実施した。張さんは姉の夫に代わって参加し、電子商取引に触れる機会を得た。

 県政府の援助を受けて淘宝の小さな店を開いたが、張さんは何を売るのか途方に暮れた。最初に思い付いたのはトウモロコシだった。「すぐに10ムーの土地にトウモロコシを植え、大々的にやろうと準備しました。でも、半月売っただけで売れなくなるとは思いませんでした」。冷蔵施設がなかったため、畑から収穫したトウモロコシは半月後には全て古くなってしまった。「運命にまたもて遊ばれたのだと思いました」

 この時、周りの親戚や友人、村民たちは皆、張さんは頭がおかしくなり、若いのに外で働かず、家にこもって「まともではないこと」をしていると思っていた。

 しかし、そうした皆の嘲笑と皮肉にも、張さんの事業への情熱は全く動じなかった。「トウモロコシがうまく売れなかったので、カボチャや緑豆を売りました」。彼は村民たちの栽培したカボチャを受け取り、ネット上で1個169元で販売した。意外にもこのカボチャは淘宝網の彼の店でヒット商品となり、皆は「まともではないこと」に対する見方をはっきりと改めた。

収入雇用増加の突破口に

昨年カボチャを売った経験から、今年の春に張さんはカボチャの種を買い、自ら村民たちに手渡し、栽培を依頼し激励した。

多くの村民が張さんに会いに来て、カボチャを植えたいと話すようになった。「カボチャ栽培は150ムーに達しました。私と栽培販売契約を結んだ農家のうち、貧困世帯は20世帯余りいます」と張さんは説明する。彼の見積もりによると、これまでのところ村内のカボチャの生育は順調で、生産高は問題なく100に達する。昨年の市況に照らせば、カボチャ販売だけで20万元に達し、各農家は平均2000元余りの増収となる。70歳を超える村のお年寄りは「張君の電子商取引(7)のおかげで、私たちは少しも販路を心配していません」と話す。

この電子商取引プラットフォームの長期的な需要を満たすため、張さんは他にも同村のナシやスモモ、ベーコン、ササゲの日干し、地鶏の卵、サツマイモ粉末などの特産品をネットショップで販売している。「農村の電子商取引を発展させることで、村民たちの生活はますますよくなりました」。張さんは自分と村民たちの未来に自信を持っている。

豊都県商務委員会の黄宏副主任によると、17年から県は相次いで141の農村電子商取引サービスステーションを開設した。その責任者の多くは、技術と知識のある若者だという。彼らの努力により、売れ行きの悪かった一部の農産物が全国各地に向けて売られるようになり、農村の貧困家庭の収入は大幅に増えた。こうした「農村電子商取引マネジャー+貧困世帯」という発展モデルにより、昨年の豊都県の農産物ネット販売額は1000万元以上になり、全県の貧困世帯2000人余りの貧困脱却と増収を直接促進した。

「農村電子商取引マネジャー+貧困世帯」は、今ではもうはっきりと豊都県の電子商取引の的確な貧困扶助モデルとなっている。これは全県の貧困脱却の難関攻略と農村振興の重要な突破口となった。また、電子商取引と的確な貧困扶助の深い融合を推進し、貧困人口の雇用増加と増収ルートの開拓を先導し、「宅配便の小包が玄関に届き、地元製品がお金に変わる」という発展の未来図を現実のものとした。豊都県では今年、宅配便の農村カバー率が100%となり、全ての貧困世帯が売れる農産物を全て売るようになり、電子商取引は農村が貧困を脱却して豊かになる新たな道筋となった。張さんを代表とする電子商取引マネジャーは現在、豊都県の農村経済発展の希望のリーダーとなっている。(馬力=文)

 

人民中国インターネット版 201987

 

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