ポスト・コロナでさらに協力を
2020-04-09 12:07:25
中国社会科学院日本研究所所長 楊伯江=文
新型肺炎に共同で対抗する今回の闘いで、中国と日本は互いを積極的に応援、支援した。両国は同じ目的のために結束し、見守り助け合い、国際社会が団結して新型肺炎に対抗し協力して勝利するための手本を示した。世界的な公衆衛生危機の勃発は、痛ましい形によって中日関係のさらなる改善に条件を整え、その発展の方向性、深さ、広さにも啓発を与えた。
相互支援でさらなる関係強化へ
武漢で新型肺炎が感染拡大してから、多くの国々が中国を支援したが、最も対応が早かったのが隣国の日本だ。日本の政府と与党は積極的に支援を表明し、社会の各界はさまざまな手段を通じて新型肺炎に立ち向かう中国を支援した。SNSでは多くの日本人が駐日中国大使館アカウントのコメント欄で武漢を応援し、中国を元気付けた。日本側の厚意に中国の政府と国民は心から感謝した。中国外交部(日本の省に相当)報道官は2月5日、新型肺炎の防疫物資を中国に寄贈した21カ国を挙げた際、日本の名を筆頭に挙げ、日本人の同情、理解、支援に対し心から謝意を表明し、心に深く刻むと述べた。
パンデミック(世界的大流行)に伴い日本などで新たな感染確定例が増加し続けている中、中国は感染が拡大する国々に援助の手を差し伸べ始めた。3月20日までに中国政府は82カ国と世界保健機関(WHO)、アフリカ連合(AU)への支援を発表し、多くの支援物資を送り届けた。また、世界各国と診療方法を共有し、公衆衛生専門家のビデオ会議を開催し、医療専門家グループを派遣した。日本には核酸検出キットや防護服、マスクなどを緊急援助した。
「豈曰無衣,與子同裳!(着る物がないと言うのであれば、同じ服を着よう。同じ目的のために共闘するという意味)」。日本湖北総商会とNPO法人仁心会が送った支援物資にはこの詩句が添えられていた。古典『詩経』に由来するこの言葉は、新型肺炎の脅威に直面する中日関係をリアルに描写している。中日関係は{うよ}紆余曲折を経て2017年に正常な発展の軌道に戻った。今回のパンデミック後、両国が協力を深める環境はより整い、雰囲気はより打ち解けるものになるだろう。
「ポスト・コロナ」の課題解決を
新型肺炎は全世界に広がり、その影響は公衆衛生分野を超え、世界的で多面的な衝撃を引き起こしている。歴史上、世界的な流行病はしばしば歴史そのものを変えてきた。「ポスト・コロナ」段階の世界は多くの課題に直面することになり、世界的な不確実性、景気後退のリスク、地域情勢と国際情勢の緊張、反グローバリゼーションと脱グローバリゼーションの風潮が強まることが予想される。 「中米デカップリング(分断)論」が非常に騒々しく語られるかもしれない。新型肺炎の感染拡大により、米国株式市場では取引を中断するサーキットブレーカーが2週間に4回発動された。その背後にあるのは、米国経済史上最長の景気拡大サイクルの終了に対する国際社会の不安だ。日本の場合も同様で、経済への影響は11年の「3・11」東日本大震災を上回る可能性がある。昨年にすでに息切れ状態だった景気循環が終わるのは間違いない。野村証券の専門家によると、新型肺炎まん延によって日本の今年の国内総生産(GDP)は0・5%減少する可能性がある。東京オリンピックが中止になった場合、年間の下げ幅は1・0%に拡大するという。
新型肺炎の流行は世界に苦しみだけでなく、新しい認識、反省、理解ももたらした。そこには手を取り合って協力し、各分野のガバナンスを強化する差し迫ったニーズも含まれている。08年に世界金融危機が発生し、世界的な不確実性が高まった時には、翌年の20カ国・地域(G20)サミットと中米の協調的な行動が世界に調和と協力の強いシグナルを発した。米国の経済学者でノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンが次のように述べている通りだ。「新型肺炎の流行が中国にもたらしたトラブルは他国にとってチャンスであり、米国を含む各国の製造業は利益を受けるだろうとあなたが考えているなら、21世紀の世界経済について全く理解が欠けている」「新型肺炎の流行が中国の製造業に深刻な打撃を与えた場合、その時に米国経済が受けるマイナスの影響はトランプ大統領の引き起こした貿易戦争の最悪の影響に匹敵するだろう」。新型肺炎の流行は、全世界がすでに一体化しており、各国の利益が互いに結び付いているという現実を極端な形で示した。これは「ポスト・コロナ」段階で中日協力が備えるべき深さと広さも暗示している。
共に地域発展をけん引する責任
新型肺炎の流行がもたらした衝撃は世界的なものであり、対応を二国間に限定してはならず、世界的、地域的な視点で見なければならない。自身の発展を実現するとともに地域の発展をけん引することは、中日両国が地域大国として共有する責任だ。特に北東アジアでは、中日韓3カ国が隣り合って暮らし、一つの地域的な生態系の中にあり、各分野の協力ニーズが非常に大きい。しかし、伝統的に北東アジアは大国の権力関係や地政学的な駆け引きでいっそう知られており、地域内の国家関係は時に変動する。さらに朝鮮半島は「冷戦の生きた化石」と呼ばれている。幸いなことに、新型肺炎の流行が逆に呼び起こした協力の原動力は、中日韓3カ国の関係にも同じように存在する。3月20日のテレビ会議で、中日韓の外相は3カ国協力を強化し、新型肺炎の感染拡大を共同で抑制することで重要なコンセンサスに達しただけでなく、次の2点にも同意した。第一に、各国が受け入れられる方法を模索し、経済貿易協力の維持に関わる人員の往来を維持するよう努力し、3カ国の産業チェーンとサプライチェーンを安定させることだ。第二に、共同の新型肺炎対策を契機とし、国民間の友好感情を絶え間なく強化することだ。
新型肺炎の世界的なまん延とともに、この状況に関する世界的な反省も同時に広がっており、一部は思想や文化にも深く踏み込んでいる。ベストセラー『フラット化する世界』で知られる米国人ジャーナリストのトーマス・フリードマンは、新型肺炎が歴史の新たな時代区分の起点になると考える。共通の脅威に直面し、手を取り合って対処する必要があるという観点から見ると、確かに今年は「人類運命共同体元年」と呼べる。米国の学会もまた、「タイト型社会」は「ルーズ型社会」と比べて公衆衛生危機に効果的に対処できると提示している。米メリーランド大学のミシェル・ゲルファンド教授は「ウイルス感染拡大の軌跡はコロナウイルスの性質だけでなく、文化とも関係している。近い将来、私たちのルーズ文化は大転換が必要になる」と強調する。14世紀のペストは少なくとも欧州の3分の1の人命を奪った。しかし、思想解放を突き動かし、人類の反省を促し、そこからルネサンスが本格的に始まった。北東アジア諸国の新型肺炎の感染拡大に関する反省や今後の交流と協力もまた、文化と文明のレベルにまで上がるべきだ。
人民中国インターネット版 2020年4月9日
チャイナネット | 北京週報 | 中国画報 | 人民網日本語版 | 新華網日本語版 | 中国国際放送局 |
駐日本中国大使館 | 日中友好協会 | 東方書店 | 全国翻訳専門資格レベル試験ネット | ||
CCTV大富 | Searchina | 大連中日文化交流協会 | 中国湖南 | 中国山東網 | 故宮博物院 |
東方ネット | 沪江日語 | 中日之窓 | 博看网 |
人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号 TEL: (010)6831-3990 FAX: (010)6831-3850
京ICP備14043293号-1