公衆衛生分科会 感染症収束と経済再建模索

2021-01-28 11:50:25

今回新設された公衆衛生分科会では、中日のパネリストが「中日両国やアジアでコロナ収束と経済再開をどう進めるか」をテーマに建設的な議論を展開した。

感染対策は経済再建の前提

昨年12月時点で、日本は新型コロナの第3波に見舞われており、中国の一部の地域にも感染再発の兆しが見られている。感染症の予防抑制にしっかりと取り組むと同時に、正常な社経済生活をどう取り戻すか――双方のパネリストは、まずこの課題を巡って討論を繰り広げた。

世界保健機関(WHO)名誉事務局長の陳馮富珍(マーガレットチャン)氏は、新型コロナの有効な予防抑制は経済の再開と成長につながる重要な前提であり、中日は公衆衛生分野の協力をより強め、ワクチン開発の成果を共有し、感染症の予防抑制と経済貿易協力をより深めるべきだと指摘した。

日本の東北大学大学院医学系研究科の押谷仁教授は、中国が感染を食い止める中で採った力強い措置を評価した。また、両国は体制が異なるため、日本の予防抑制対策が中国と違うところもあると指摘した。

中国国家発展改革委員会の蘇偉副秘書長は、中国の企業が操業生産再開の経験を共有する(6)際、市場参入者(企業個人事業主など)の支援、内需市場の優位性の発揮、改革開放の推進などの重要な措置によって自国経済の力強い回復を実現したと指摘した。また、新たな情勢の下で中国側は日本側と共に責任を負い、防疫や各分野の協力を深め、手を携えてリスクや課題に対応し、新時代の要求に合致する中日関係を着実に構築していきたいと強調した。

中日は連絡対策の強化を

中国は現在、「全員PCR検査で全面的症例ゼロ」措置を採っているが、日本は「新型コロナウイルスとの共存」という理念を掲げて感染症対策に取り組んでいる。分科会では、日本のパネリストから中国の全員を対象にしたPCR検査のコストと必要性に疑問が示された。

これに対して、中国疾病予防管理センターの疫学首席専門家の呉尊友氏は、症例ゼロにするという中国の措置はコストが高そうに見えるが、実際にはコストパフォーマンスが最も良い感染症対策モデルだと答えた。10億元をかけても徹底的にPCR検査を行えば、社会全体の生産操業再開への自信を高めることによって生み出される価値は、100億元をはるかに上回るとした。また呉氏は、中国の感染症対策はいったん作られたら不変というわけではなく、ワクチンの登場に伴い、中国は科学的で合理的に対策を調整するだろうと指摘した。

ポストコロナ時代の中日協力を見据え、双方のパネリストは、連絡メカニズムを強化し、完全な地域的感染症対策の仕組みを早急に確立すべきだという認識で一致した。

中国疾病予防管理センターの高福センター長は、今後も世界には未知のウイルスの感染爆発が起こる可能性があり、中日はデータ共有や技術交流などの分野において協力を強化し、相応の協力メカニズムを構築すべきだと述べた。

東京都立大学の詫摩佳代教授はさらに、日中が以下の3分野で協力を展開するよう提言した。それは、新型コロナウイルスワクチンを世界中へ公平に分配すること、WHO改革を推進すること、アジア太平洋地域で効果的な感染症対策の枠組みの構築をけん引することだ。

北京大学主任教授で国際保健医療学部の鄭志傑部長は、中日は公衆衛生や社会の安全、自然災害、事故や災害などの分野において、国際的で大規模な緊急事態に協力して対応するための具体的な仕組みを速やかに確立し、連携しての危機対処を常態化する必要があると指摘した。

また双方のパネリストは、WHO改革や国際協力の強化などについて意見を交わした。陳馮富珍氏は、国連が依然として国際協力や世界的に重大な問題に対応するための重要な場であり、中日はこれまで通り多国間主義の協力を支持し、国連の役割を重視しなければならないと強調した。

2時間にわたる活発な討論の後、両国のパネリストは、中日が引き続いて新型コロナ対策での協力や経験交流をさらに強化し、新型コロナ対策での地域協力と国際協力を進めることなどについて共通認識に達した。

日本側の司会を務めた言論NPO代表の工藤泰志氏はまとめの発言で、中国側のパネリストの話を聞いて、中国の新型コロナ対策が厳密なロジックを踏まえて確立され、論理性秩序性に富むものだと感じたと述べた。また工藤氏は、日中が新型コロナ対策で引き続き交流を深め、より豊かな成果を収めるよう期待した。(呉文欽=文)

人民中国インターネット版 20211

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