PART2 衛生健康共同体の構築推進

2021-12-23 11:40:09

段非平=文

中国は、新型コロナウイルスワクチンを国際公共財(5)とすると、世界で最も早く約束した。その後、新型コロナワクチンの世界的な共同購入供給計画(COVAX)に参加。さらに実際の行動によって発展途上国を支援し、ワクチンの世界での公平な分配の実現を推進している。この間、中国は一貫して人類の衛生健康共同体の構築に力を尽くし、ワクチンの入手可能性(6)と費用負担可能性(7)の実現のため、できる限りの貢献をしている。

 

中国が援助した新型コロナワクチンは330日、エチオピアの首都アディスアベバの空港に到着した(新華社) 

中国製ワクチンへの「信任票」

中国が製造した新型コロナウイルスワクチンは、現地時間の今年3月1日、世界で最も標高の高い首都――ボリビアのラパスに到着し、ラテンアメリカ地域に新たな足跡をしるした。「中国のワクチンは感染症に苦しんでいるボリビアの人々に希望をもたらした。これは単に患者のためだけでなく、患者の家族にも最大の安全保障となる」。同国の最初のワクチン接種者を前に、ボリビアのアルセ大統領は興奮してこう語った。

ボリビアは南米の高原の国だ。西部の高原は平均標高が3000以上あり、行政首都のラパスは標高3600を超える。酸素が希薄という高地の環境も、ボリビアの感染症対策に困難をもたらしていた。

「医療物資の寄贈感染症抑制の経験の伝授から、今回の新型コロナワクチンの提供まで、感染症の拡大以来、中国はボリビアに多くの援助を提供してきた。今回のワクチン協力もまさしくそうしたものだ。中国側はさまざまな困難を克服し、安全で有効なワクチンを一番速くわが国に運んでくれ、より多くの生命の貴重な時間を救ってくれた」。ボリビア外務省のベンハミンブランコ外務次官は感慨深げに話した。  中欧のハンガリーから南米西部のペルーへ、さらにアフリカ南部のジンバブエまで。中国は昼夜を継ぎ海や山を越え、新型コロナウイルスワクチンを世界の多くの国に次々と運んでいる。各国の要人は自ら空港に出迎え、率先してワクチンを接種し、中国製ワクチンに厚い「信任票」を投じた。

「私が皆に言いたいのは、これは安全で有効なワクチンであり、(中国製ワクチンは)正常な暮らしに戻れる希望だということだ」。チリのピニェラ大統領は中国製ワクチンを接種後、こう言った。

セルビアのブチッチ大統領は、母親の実体験から中国製ワクチンの安全性と有効性を説明した。ブチッチ大統領の母親はしばらく前、新型コロナウイルス感染症を発症した。高齢で多くの基礎疾患があったため、医師のアドバイスを受けて中国製ワクチンを打った。9日後、母親から抗体が確認され病状も大きく好転した。ブチッチ大統領は感激し、中国製ワクチンが母親の命を救ってくれたと話した。

中国に駐在するイラン大使館の外交官たちは、ユーモアある方法で中国製ワクチンに「いいね」を送った。彼らは大使館の微博(ウェイボー、中国版ツイッター)にこう書き込んだ――「一部の人は中国製ワクチンには『副反応』があると言う。接種後、私たちにも『副反応』が出ました。その最も顕著な症状とは、人に会うと中国製ワクチンを打ったことを自慢する、ということです。中国製ワクチンを接種した人は、国内外ですでに億を超えており、これほど膨大な接種規模は、中国製ワクチンの安全性と有効性を証明するだけでなく、ワクチンを世界の公共財とする中国の度量の広さを表しています」 アルゼンチンの研究機関が発表した分析報告によると、重症の新型コロナウイルス感染症に対する中国製ワクチンの保護効果は100%、全体の保護効果は748%で、しかもワクチンに関連した重度の副反応はまだ何も発生していない。

英国の権威ある医学雑誌『ランセット』の記事も、中国の新型コロナワクチンは安全性と有効性を備え、耐容性が良く、抗体を作ることもできると報じた。中国製ワクチンの効果はデータが物語っており、しっかりとした品質により国際社会で幅広く認められている。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は5月7日、中国医薬集団(シノファーム)製の新型コロナウイルスワクチンの緊急使用がWHOに承認されたと発表した。これは、中国の新型コロナワクチンが同機関に正式に認められ、世界の感染症との闘いにおいてより大きな役割を果たすことを意味している。

「品質」だけでなく、中国製ワクチンの「気質」もまた他とは違う。それは「生命第一」という理念を実際に生かしたものであり、中国のモラルと責任感の力強い具現化でもある。「孤立や紛争、陰謀論と科学への攻撃を優位にさせるか、それとも危機の最終コーナーを共に歩み、ワクチンを公平に分け合うか」――テドロス事務局長は、かつてこのように問いただしたことがある。

これに対し、中国は実際の行動で回答した――ワクチンを世界の公共財とすることをいち早く約束し、「COVAXファシリティー」(新型コロナワクチンの購入供給の国際的な枠組み)とWHOが発動した「グローバルな協力による開発と製造の加速と、新型コロナウイルスを予防管理する新たなツールの公平な獲得」の提唱に積極的に参加し、これによって絶えず全世界の感染症対策に自信と希望を注ぎ込んだ。

「2021年を傷が癒えた一年にしよう」。国連のグテーレス事務総長は、新年のあいさつで人類への美しい願いを込めた。だが、どうやって傷を治すのか。世界は安全で効果的なワクチンを必要としている。さらに、団結して感染症に対処する責任と行動を呼び掛けている。まさにこれこそ中国製ワクチンが広く歓迎され信頼を得ている理由である。

 

シノファームの新型コロナワクチンを接種するセルビアのブチッチ大統領(4月6日、新華社) 

途上国の「生命線」支える

「中国製ワクチンは新たな生活を切り開いてくれました」。67歳のメキシコ人レオカディアさんはこう話した。中国が製造した新型コロナワクチンは今年220日、彼女が暮らすイダルゴ州アカクソチトラン市にやって来た。レオカディアさんは興奮して、「私たちの村はこんな辺ぴなところで、普通の薬でもほとんどが必要な時に間に合いません。中国のワクチンが海を越えてわが家に現れるなんて思いもしませんでした」と言った。

アカクソチトラン市のロペス市長代理によれば、現地の住民がワクチン接種の機会を得たのは「ラッキー」だったという。「中国が製造したワクチンは複雑な冷蔵や保存の必要がなく、辺境地域で暮らす人々にも接種を受ける機会をもたらした。中国のワクチンは私たちに感染症と闘う勇気を与えてくれた」

ちょうど同じ頃、中国がジンバブエに送った新型コロナワクチンも、無事に首都ハラレに到着した。これは、アフリカ南部に位置する世界最貧国の一つである同国が獲得した最初の新型コロナワクチンだった。ジンバブエのムナンガグワ大統領は、政府と国民を代表して中国に深く感謝の意を表した。「中国は自国でもワクチンを必要している中、ジンバブエなどの発展途上国へのワクチン提供を忘れなかった。このワクチンは、感染症と闘っている人々に『暗闇に差し込む一筋の光』のような希望をもたらした」 「中国のワクチンはアフリカの人々の命を救った」。赤道ギニアのオビアンンゲマ大統領がこう語ったように、ワクチンが不足する多くの発展途上国にすれば、中国製ワクチンはまるで「恵みの雨(8)」であり、現地の感染症と闘う灼熱の「戦場」に希望という「慈雨」をもたらした。

習近平国家主席は昨年5月18日、WHOの年次総会の世界保健総会で、「新型コロナワクチンの研究開発が完了し使用を開始した後は、世界の公共財として、発展途上国でのワクチンの利用しやすさと購入しやすさを実現するために中国は貢献する」といち早く表明した。

また習主席は同年9月22日、第75回国連総会の一般討論演説で、「中国が研究開発したいくつかのワクチンは発展途上国に優先的に提供する」と再び強調した。これまで中国は80カ国にワクチンの援助を行っており、そのほとんどが発展途上国である。「雪中に炭を送る」(困っている人を援助する)ワクチンは、まさしく中国が約束を果たしたことの有力な証明である。

ワクチンはウイルスに立ち向かう利器であり、命を救う希望でもある。本来は全世界で役に立ち、全人類に幸福をもたらすべきものである。だが残念なことに、「ワクチンナショナリズム」の台頭により、世界的な新型コロナワクチンの公平な分配は試練に直面している。医学雑誌『ランセット』は、一部の先進国ではワクチンの発注量はすでにその国の人口の2~3倍以上となっているが、発展途上国の多くが深刻なワクチン不足に直面し、多くの国が一つさえ手に入れるのが難しい状況にある、と報じている。

COVAXコーディネーターのガンジー氏は、「私たちはこうした国々に余った薬剤のシェアを呼び掛けています。残念ながら今のところ、多くの高所得の国でワクチンをシェアしたいというところはありません」と明らかにした。 発展途上国がワクチンの供給圏から「締め出された」後、中国製ワクチンはこうした国々の確固とした支えとなった。中国のワクチン援助は、発展途上国が速やかにワクチンを獲得するために希望をもたらし、全世界協同の感染症との闘いに自信と力をもたらした。「中国製ワクチンは今や発展途上国の『生命線』になりつつある」。米紙ニューヨークタイムズはこう論じた。

 

南米のチリで中国製の新型コロナワクチンを接種するエルネスチナさん(93)(左)と声を掛ける同国の ピニュラ大統領(右)。中国製ワクチンはチリの全国的で大規模な接種を支援した(2月3日、新華社) 

「免疫格差」解消へ積極協力

需要のある国へワクチンの援助を提供するほかに、中国はまた各国とさまざまな形のワクチン協力も積極的に展開し、手を携えて感染症の克服を進めている。  ワクチンの国際協力に対し、中国は常にオープンな姿勢で、中国企業と海外の同業者が協力を展開することを積極的に支持している。中国企業はこれまで、臨床試験や共同生産などの形式を含め、十数カ国とワクチンの共同研究開発を展開している。

今年4月、ブラジルとシノバックが共同で新型コロナワクチンを研究開発したというニュースが伝えられた。実験報告によると、このワクチンは、ブラジルや英国、南アフリカで見つかった新型コロナウイルスの変異種に効果があると考えられている。 アラブ首長国連邦(UAE)の現地時間3月28日、中国製ワクチンの原液充填生産ラインプロジェクトが正式に始動した。首都アブダビに置かれた工場は三つの充填ラインを備え、ワクチンの年間生産量は2億本に達すると見込まれている。「UAEと中国の感染症対策協力は両国の建設的な外交の成果であり、その業績は両国の『個人プレー』ではなく、双方の『一致協力』によるものである」。アリザヒリ駐中国UAE大使はこう述べた。

さらにUAEは、生命科学とバイオテクノロジー、ワクチン生産を一体化した研究開発センターを立ち上げる予定だという。「私たちは、中国以外で最大の中国製ワクチン実験室の建設を期待しています。続いてUAEの地理的な位置と物流能力を生かし、中国製ワクチンが中東や北アフリカ地域、ひいては全世界の人々に恩恵をもたらすようにします」とザヒリ大使は紹介した。

しかし、中国はワクチンを「公共財」として世界各地に提供する過程で、いくつかの疑問に直面した。一部の国は、中国は新型コロナワクチンを利用して地政学的な影響力の拡大を図っていると考えている。これに対し、中国の王毅国務委員兼外交部長(外務大臣)は、こう答えた。「中国は独善よりも広く救済することを選んだ。中国が『新型コロナワクチン外交』を画策しているというより、中国は『人道主義的な行動』を実践していると言うべきだ。ワクチンが全面的に開発使用される時、私たちはワクチンの政治化やレッテル貼り(9)を警戒しなければならない。各国は手を携え、さまざまな『ワクチンナショナリズム』を防ぐべきで、本来あってはならない『免疫格差(10)』を埋めるよう共に努力し、各国のワクチン全てが公共財としての役割を発揮できるようにしなければならない」

人類と新型コロナウイルス感染症との闘いはまだ続いている。中国もこれまで通り国内外の新型コロナワクチンの接種活動を推進し、免疫という堅固なバリアを構築し、国際社会と共に感染症に打ち勝ち、全人類に健康と幸福をもたらしていく。

 

シノバックは41日、同社製の新型コロナワクチン「コロナバック」を全世界に累計2億回分提供したと発表した(新華社)

 

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