PART3 中日は開発と接種で提携を

2021-12-23 11:44:39

中華日本学会会長 高洪=文

 

新型コロナウイルス不活化ワクチンの臨床研究と応用に関する国際シンポジウムが322日、北京で開かれ、国内外から政府関係者や専門家、学者など計2000人余りがオンライン形式で会議に参加、ワクチン協力を巡って交流と検討を行った(新華社)

ワクチン援助の初心忘れず

世界の新型コロナウイルスと人類との闘いは、今やワクチン接種がウイルスに打ち勝つ最も直接的で効果的な手段となっている。新型コロナワクチンの研究開発接種援助において、中国は一貫して積極的に取り組んできた。今年2月初め、中国はWHOが主導するCOVAXへの正式参加を表明、1000万回分のワクチンを提供すると公約した。また3月中旬、国連平和維持軍に30万回分のワクチンを寄贈すると発表した。中国はこれまでに80の国と三つの国際機関にワクチンを援助すると同時に、40余りの国にワクチンを輸出している。

新型コロナの下で運命共同体となった人類は、この共通の危機に共同で対応すべきだ。これは国際社会の普遍的な共通認識である。中国はこの認識を踏まえ、援助や輸出などを通して中国製ワクチンを世界の感染防止行動を支持する公共財とし、発展途上国におけるワクチンの入手可能性と費用負担可能性の実現に取り組んでいる。その目的は、人類の健康を深刻に脅かすこの世界的な危機を、皆が力を合わせて一日も早く解決することにある。その中に含まれる生命至上、人民至上の理念は、中華民族の優れた精神を反映しているだけでなく、中国の価値観と世界観をはっきりと示しており、さらに中国が打ち出した人類運命共同体の構築という理念の具現化でもある。

しかし、一部の国の政治組織や個人は、私的な政治目的を満たすために中国によるワクチンの対外援助を「ワクチン外交」と歪曲し、中国の純粋な人道主義的行動を政治や外交での利益を図るための手段だと中傷している。このような人類の感染症対策の活動を政治化するやり口は、感染症の予防抑制に何も役立たないだけでなく、一連の連鎖反応を引き起こし、防疫活動を誤った道に導いてしまう。  これは服を着る時と同じで、一つ目のボタンを掛け違えると、残りのボタンも次々にズレて間違えるようなものだ。国際社会は、こうした極端に誤った卑劣な行為に共に反対し、事実の経緯を明らかにし、解決策を積極的に模索し、世界の防疫活動が正しい方向に進むようにすべきだ。

また私たちは、たとえ中国が「汚名」を着せられても、世界の防疫活動に貢献しようという初心に変わりはないことを知っている。ワクチンの援助とともに、中国は十数カ国とワクチンの研究開発生産協力を行っており、60余りの国に中国ワクチンの使用ライセンスを与えている。こうしたことから、感染症対策において中国と国際社会との連携が深まり、レベルも上がっていることがうかがえる。

世界の感染拡大状況から見れば、中国の感染症対策はかなりうまく行っている方だ。だが、全世界の感染拡大が効果的に抑制されなければ新型コロナウイルスの人類に対する脅威が和らいだとは言えない、と中国ははっきりと認識している。 このような考えに基づき、中国は常に国際的な感染症対策協力に積極的に取り組み、より大きく、より良い役割を発揮するよう努力している。その過程において、各国の感染の拡大状況や公衆衛生レベル、医療技術の条件が異なり、さらに文化背景と国民が受け入れる程度が一致しないため、各国の防疫政策と需要もそれぞれ異なっている。従って、国際的な感染症対策協力を実現するには、各国政府と国民の相互理解や支持、協力が欠かせない。

コロナ対応で世界の手本に

中国政府と人々が多大な努力を払っている中、深く考えさせられることがあった。  今年3月、中国は国際オリンピック委員会(IOC)と協力し、オリンピックパラリンピック選手にワクチンを提供したいと表明した。IOCのバッハ会長は賛同し、「とても友好的な提案だ」と評価した。だが残念なことに、東京オリンピックパラリンピック大会組織委員会は、「ワクチンについては日本政府がどう考えるかだ」としている。日本で中国製ワクチンの使用は承認されておらず、政府は東京オリンピックパラリンピックの日本選手への中国製ワクチン接種を受け入れていない。

オリンピックは人類社会の重要なスポーツの祭典として、「いかなる種類の差別も受けることなく、友情、連帯、フェアプレーの精神をもって相互に理解し合うオリンピック精神を体現する」ことを伝えている。東京オリンピックの準備は、新型コロナの影響を受けてたびたび試練に見舞われたが、中国は常に東京オリンピックを積極的に支持、協力している。オリンピック選手へのワクチン提供もその一つだ。中国は、東京オリンピックがオリンピック精神の光で全世界を照らし、新型コロナが覆う人類社会に光と希望をもたらすよう望んでいる。

昨年開かれた「北京-東京フォーラム」では、中国と日本のパネリストは期待を込め、両国がワクチンの研究開発接種の協力を行うことで共通認識に達した。しかし、日本政府は中国製ワクチンの受け入れを事実上拒否しており、こうしたやり方には失望を禁じえない。

この理由は二つあると思う。一つは、日本政府は米国ファイザー社が開発したワクチンを採用しているので、選択の正しさを証明するために中国のワクチンを承認しなかったこと。もう一つは、日本は政治的な観点から米国依存を選び、中国を封じ込めるために中国製ワクチンを拒んでいることだ。この消極的な姿勢と近視眼的なやり方を変えなければ、東京オリンピックの開催やオリンピックのために日本が講じてきた感染症対策は、引き続いて挫折する可能性がある。日本が直ちに目覚め、正しい選択をするよう望んでいる。

実際、中日両国とも東アジアの国であり、文化面の基本的な思考法はかなり近い。生命を尊重し民衆の幸せな生活を望む上で、中日は共通の東方文化の伝統がある。また、両国は地理的に隣り合い、同じアジア人種に属するなど、多くの自然の要素から考えると中日双方がワクチンで協力できる余地はかなり広い。

もし両国が感染症の予防抑制や、ワクチンの研究開発接種において互いに支援し合うことができれば、関連分野の医学研究と技術の応用はより速く発展するだろう。また、中日はアジアおよび世界の重要な国として、双方の協力と関連成果は両国やアジア、世界に利益をもたらすとともに、共同で感染症を予防抑制する良いモデルを国際社会に打ち立てることもできる。私は、一日も早くこの日が訪れるよう期待している。

 

人民中国インターネット版

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