PART4 中日エコ技術提携と課題

2021-12-23 17:05:25

陳言=文

ここ数年、省エネや排出削減は中日企業の協力の重要な内容だった。昨年と今年、中日はそれぞれカーボンニュートラルの目標を打ち出した。達成期限が異なる(中国は2060年、日本は2050年)が、最終の目標の一致は両国企業に新たな協力の可能性をもたらした。省エネ排出削減事業で、中日企業の協力がより高いレベルに発展するのは必至だ。

注目すべきは、多くの分野で中日企業の技術発展は異なる段階にあり、市場シェアが異なり、企業の取り組みもそれぞれ異なるということだ。反グローバル化の流れが引き起こした経済の「デカップリング(切り離し)」は、中日の協力にさまざまな支障をきたした。

「3060」目標は最終的に地球環境の改善にあり、これまでの企業の協力競争とは大きく異なっている。引き離しやけん制、技術封鎖、技術上の差別化などが「3060」目標の実現過程において主流になることはないが、中日企業はこの共通の目標があるからといって無条件で協力するわけでもない。「3060」目標の下で中日企業の協力を実現するには、依然としてさまざまな課題がある。

「3060」産業の規模

11回エコ文明貴陽国際フォーラムが今年7月12日、貴州省の省都貴陽市で開催された。これまでの数回と違って、今回のテーマはより絞り、「低炭素型へのモデル転換、グリーン成長――人類と自然の生命共同体を共に築く」に焦点を当てた。 フォーラムで全国人民代表大会常務委員会委員長の栗戦書氏は、中国の新エネルギー分野における最新の成果を紹介した。中国はすでに世界最大のクリーンエネルギー供給システムを作り上げており、太陽光と風力の発電設備容量と発電量はいずれも世界一で、新エネルギー車の生産販売台数、保有台数は世界の半分を占めている。「エコ文明建設の道のりで、中国の大地では発展理念と発展方式の深い変革が起こっていると、われわれは誇りを持って言える」。栗氏がこう述べると、会場の内外から大きな拍手が沸き起こった。

2030年までに中国のGDP単位当たりのCO2排出量は05年より65%以上減少し、非化石エネルギーの一次エネルギーに占める割合は25%前後に達し、森林蓄積量は05年より60億立方増え、風力発電と太陽光発電の総設備容量は12㌔㍗以上になる――。

中国が打ち出したこれらの目標数値を見て、フォーラム参加者もはっきり理解した――「十四五」計画期に入ってから、中国のエコ文明建設は低炭素化を重点戦略の方向とし、汚染削減と低炭素化の相乗効果を推し進め、経済社会の発展の全面的なグリーン成長へのモデル転換を促し、生態環境の改善の量から質への変化を実現する大事な時期に入ったということを。

栗氏はまた、「3060」目標を順調に実現するために、中国はさらに「南南協力や周辺諸国との協力を強化していく」と強調した。

低炭素化で戦略的提携

三菱重工空調系統有限公司(三菱重工空調社)と成都ハイテク投資集団有限公司(成都ハイテク投資社)の戦略的協力合意書の調印式が今年7月13日、四川省成都で行われた。三菱重工空調社は総合エネルギー事業で設備製造や建設工事の一括請負、施設運営などの能力を持っており、今回の協力は、成都ハイテク区におけるエネルギー産業の集積や技術のレベルアップを効果的に促し、また成都や重慶などのスマートシティーと低炭素未来に向けた取り組みに深く関わる。

「将来、当社はカーボンニュートラルや低炭素化、エネルギーの総合管理など省エネ環境保護の分野で中国市場の開拓に重点を置く」と三菱重工空調社の広報担当者は紹介した。

今回の戦略的提携の前にも、同社の空調システムは四川石油化学工業ビルやネット企業の競技世界、成都天府国際空港などの建物施設では、すでに使用されている。その人に優しいデザインや細部にまで行き届いた環境保護の理念は、クライアントから厚い信頼を受けていた。成都ハイテク投資社と戦略的提携を結んだ後、より多くの低炭素で環境に優しい空調設備が成都などで導入されるだろう。

リコーソフトウエア研究所の董事長兼総経理の于浩氏は両国企業の今後の協力について、次のように語った。「中国は人類運命共同体の構築を積極的に推し進めています。当研究所は中国のカーボンニュートラルへの取り組みや国連の持続可能な開発目標(SDGs)を常に注視しています。オープンな姿勢と革新的な方式によって、中国企業と新たな協力を模索していきたいです」

同研究所は、北京中科利豊科学技術有限公司と提携し、再生可能エネルギー分野における人工知能(AI)技術の応用について共同研究を行っている。双方が共同開発し、すでに商用化されている「太陽光発電所ドローンAI巡回点検システム」は、太陽光発電所の手作業による巡回点検の非効率性や低い精度、高コストといった問題を解消した。こうしたことから、「3060」目標に向けた中国の持続的な推進に伴い、日系企業が持つ低炭素環境技術や中国企業と共同開発した技術は、中国市場でますます重要な役割を果たすことが予想される。

有望な水素エネルギー協力

上海の民間建築物向け省エネモデル事業やセメントキルン排熱発電事業……。日本の国立研究開発法人の新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の北京事務所では、会議室に過去二十数年にわたって中国で推進してきたこうした主な事業を展示紹介している。そこからも容易に分かるように、日本から中国への関連技術の移転は、現在の両国の省エネ排出削減における協力の重要な特徴だ。  今後、低炭素に向けた取り組みで中日の協力はどのような方法で進められるのだろうか。日中経済協会北京事務所の川合現所長は水素エネルギーを有望視している。日本は水素エネルギーの貯蔵、輸送、利用の面で長年の研究開発の経験があり、多くの技術を蓄積してきた。この分野における中日企業の協力をどのように実現するか。双方には新たな方法で模索することが求められている。

太陽光発電と風力発電で世界最大規模を誇る国として、中国の関連技術を日本に輸出するチャンスはあるだろうか。もし日本市場が中国の技術や資本を導入する気があれば、多くの中国企業は日本に投資して工場を建てようとする、と私は思う。 「3060」目標達成に向けた中日企業の協力は大きな将来性があり、経済協力には新たなモデルの検討が必要だ。両国政府間の共通認識は今日、これまでよりいっそう重要性を増してきている。

人民中国インターネット版

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