PART4 法治強化で環境破壊を防止
2021-12-24 13:37:02
李家祺=文
中国は世界でも生物の種類が豊富な国の一つだ。近年、中国は法的手段の健全化・整備を加速することで、生物多様性の保全を力強く保障している。
加速する法体系の整備
2012年の18大以来、中国はかつてないほどの力強さで生態環境の保護を強化し、生物多様性に関する法体系を日々整備し続けている。
中国の立法機関である全国人民代表大会(全人代)とその常務委員会は、ここ3年で、生態環境分野における12の特別法の制定や改正作業を完了した。また、バイオセキュリティー(9)や遺伝資源の獲得・共有、現地での生物種の保護・育成などの問題について規定し、生物多様性の保全の強化のために強力な法律という武器を提供した。
今年4月、バイオセキュリティーのリスクの防止・対応や生物資源と生態環境の保護などの内容が盛り込まれた『中華人民共和国生物安全法』が正式に施行された。これにより、国家レベルの戦略・法律・政策の「三位一体」によるバイオセキュリティーのリスク予防・抑制・管理体制が立ち上げられた。
全人代常務委員会はまた、動物防疫法や野生動物保護法、漁業法などの法律・法規の改正を行い、『野生動物の違法取引の全面的禁止、野生動物の乱食という悪習の一掃、人民大衆の生命・健康・安全の着実な保障に関する決定』を打ち出した。今年3月、中国初の流域関連法となる『中華人民共和国長江保護法』が施行され、水生生物の生息地の保護が最優先に強調され、水生生物の種の保全が強化された。
現在、中国には生物多様性の保全に関する法律・法規は50以上あり、生物多様性の保全に必要な支援と保障を提供している。
破壊阻止へ法執行も強化
祁連山は中国西部の生態系を守る重要なバリアー(10)だ。かつては行き過ぎた開発により、同地域の凍土が崩され植生がまばらになり、生物多様性が損なわれていた。
「緑の盾」自然保護区監督強化特別活動が17年に始まり、祁連山自然保護区を含む全国446カ所の国家レベルの自然保護区に対して監督・検査を行い、保護区に関わる法律・法規違反の行為を取り締まった。
現在、同保護区内にあった144件の鉱業権(試掘・採掘)は全てなくなり、42の水力発電所は状況ごとに維持・改善・閉鎖などの「分類処理」が完了し、25の観光施設プロジェクトは全面的に整理された。一時期「傷だらけ」となった山はかつての静けさを取り戻し、ユキヒョウやクチジロジカなどの希少動物がよく姿を見せるようになった。
賀蘭山では、保護区内の全ての炭鉱やほかの鉱山、洗炭・貯炭施設などが完全に閉鎖され、生態環境が深刻に破壊された状況は一変した。
秦嶺の北麓では、一連の環境回復への取り組みにより、以前に違法に建設された多くの別荘が消え、澄んだ水と緑の山は地元民が共有する景色になった。
「緑の盾」活動が始まって4年間、検査対象は拡大し続けている。昨年末までに、国家レベルの自然保護区内で累計5503件の重大問題が発見されたが、その92%の5038件はすでに是正・解決された。
昨年、中国海警局は関係部門と共同で「碧海」海洋生態環境保護特別法執行活動を展開した。活動中、各レベルの海警機関は地方の海上法執行部門と密接に協力し、海上の工事プロジェクトや海洋保護区など累計3397カ所(回)を検査し、海洋への不法投棄や海洋保護区への破壊行為など59の案件を取り締まった。
今年、「碧海」活動は常態化・制度化という新たな段階に入り、島しょや典型的な海洋生態系、海洋野生動物の保護など八つの重点分野における重要任務を明確にし、重要地域での常態化した監督・管理を全面的に強化した。
この他、長江での10年間の禁漁措置も今年から実施された。さまざまな法執行・監督の強化措置によって、関連する違法・犯罪行為に対する抑止が図られ、生物多様性を保全するための強力なネットが張り巡らされた。
公益訴訟で保護を後押し
専門性が高いため、生物多様性に関連した事件を含む多くの環境問題の事件は、専門化した司法支援を必要とする。国務院新聞弁公室が発表した『国家人権行動計画(2021~25年)』は、環境公益訴訟をより踏み込んで展開し、同訴訟の受理範囲の拡大と、環境公益訴訟制度と生態環境損害賠償制度の改善を打ち出している。
『中国環境司法発展報告(2020)』によると、全国27の省レベルの人民検察院(地方検察庁に相当)で、単独の公益訴訟検察機関を設立し、環境・資源関係の専門裁判機関は1993に達し、環境事件の裁判や公益訴訟の検察組織体制はすでに築き上げられている。
生態環境の破壊行為を未然に防ぐことは生物多様性の保全の重点の一つだ。『環境民事公益訴訟事件の審理において適用される法律の若干の問題に関する最高人民法院(最高裁)の解釈』によると、法律が定めた機関や関係組織は、法律の規定に基づき、社会の公共利益を損なう重大なリスクのある環境汚染や生態破壊行為に対して訴訟を提起することができる。
予防的な公益訴訟は、生態環境保護の段階を「事態の進行中」や、「事前」まで引き上げ、生態環境の破壊の回避または破壊のさらなる拡大の防止に役立つ。 予防的な司法支援の運用に成功した実例に、雲南省で起きた「マクジャク事件」がある。昆明市中級人民法院(地裁)は昨年3月、戛洒江一級水力発電所のダム工事を巡る裁判で、同発電所が完成すれば、国際自然保護連合(IUCN)の世界絶滅危惧種レッドリストに登録されているマクジャクの生息地に大きな影響を及ぼすと認定。新たな環境アセスメントによって行政部門が判断するまで工事の停止を命じる判決を下した。この判決によって、同水力発電所の建設プロジェクトは、現在すでに停止している。
生物多様性の保全は決して一足飛びでできるものではない。中国は根気強く取り組み、努力を積み重ね、世界のために積極的に貢献していく。
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