政治・外交分科会 実務協力が関係安定化の鍵

2023-01-09 19:38:39

沈暁寧=文

2022年は中日国交正常化50周年だった。中日両国はどのように国交正常化時の初心と使命に立ち返り、過去半世紀にわたる両国関係の発展の経験を取り入れ、不安定で刻一刻と変化する世界情勢の中で中日関係を明るい未来へ向けて発展させるかが、政治外交分科会における双方のパネリストの討論の重点となった。 

  

50年前の初心に立ち返る 

50年前の中日国交正常化交渉に携わった元駐仏日本大使の小倉和夫氏は当時を振り返り、両国の政治体制や価値観に相違があっても、50年前には双方が今より大きな障害を乗り越えて国交正常化を実現できたので、きっと当面の課題を克服し、日中関係のためにより多くの共通の利益を見いだすことができると指摘した。 

中日友好協会常務副会長で前駐日本大使の程永華氏は次のように述べた。中日国交正常化後の50年間に各分野で達成した多くの成果を大切にすべきだ。中日関係の現在の問題を解決し、両国関係の将来の発展を展望するために、両国はまず信義を守り、約束を実行に移すべきだ。次に、国民感情を増進し、特に両国の青少年の交流を奨励支援し、平和、友好、協力が両国で引き続き発展できるようにしなければならない。 

元駐中国大使の木寺昌人氏は、「この前、岸田首相と習近平国家主席が中日国交正常化50周年について祝電を交換した。11月に両首脳はまたバンコクで重要な合意に達した。これらは日中関係の発展にとって期待されるメッセージを発信していると思う。両国関係にはまだいくつかの困難が存在しているが、双方が友好的で実務的な姿勢を持ち、着実に取り組んでいれば、全ての問題が適切に解決されると信じている」と述べた。 

中国国際交流協会副会長の劉洪才氏は、両首脳がバンコクで行った会談で得られた重要な合意を実行に移すために、中日両国の各界に四つの提言を行った。第一に、歴史や台湾などの敏感な問題を適切に処理し、両国関係の正しい発展方向を把握し、互いに協力のパートナーとなり、互いに脅威とならないことを具体的な政策と実際な行動に真に反映させること。第二に、経済貿易協力を深化させ、より高いレベルの互恵ウインウインを実現すること。第三に、潮流や大勢に順応することを堅持し、地域ひいては世界の安定と繁栄を維持するために建設的な役割を果たすこと。第四に、民間友好を促すことを堅持し、できるだけ早く二国間の人的交流を回復し、両国民の積極的な交流を拡大すること。 

  

より良い未来のために提言 

中華日本学会会長の高洪氏は、「中日両国は政治面の約束を守り、実務的な協力を行うことが最も重要だ。実務的な協力を実現するには、両国政府と関連分野が手を携えて推進することが必要だ。双方が行動の中で協力を実現してこそ、中日関係を安定と成熟へ向けて、困難を越えた平坦な道へと推し進めることができる」と述べた。 

衆議院議員で自由民主党副幹事長の薗浦健太郎氏は、日中関係における意見の相違や矛盾に対して、両国間の円滑な交流と深いコミュニケーションを保つことが非常に重要で、感情的に問題を扱ってはならないという考えを述べた。さらに、日中は引っ越すことのできない隣人で、双方が共通認識を求め、歩み寄り、協力戦略を構築することこそが、両国関係の唯一の進路だと述べた。 

参議院議員で公明党参議院会長の西田実仁氏は、今回の世論調査の結果で日中平和共存を選ぶ人の割合が増えたことを喜ばしく思うと述べた。世界情勢が緊迫化する中、このような民間の声を大きくして日中平和の雰囲気を作る必要があると述べるとともに、日中両国は安全保障上の連絡メカニズムを強化し、外交的平和的手段による問題の解決を堅持しなければならないと指摘した。 

グローバル化シンクタンク(CCG) 理事長の王輝耀氏は次のように提言した。△人的文化交流を強化して、中日の歴史の新しい物語をつくる△経済貿易の交流を強化して、アジア太平洋経済の一体化を構築する△気候変動への対応、感染症の予防抑制における協力、デジタル経済の発展を共に推進して、両国の協力基盤を固めて、新しい協力分野を開く△ハイレベルの交流を促進して、全方位の民間交流、セカンドトラック外交を発展させる。 

元外務大臣の川口順子氏は、両国の国民感情を改善するために三つの具体的行動について提案した。一つ目は相手国が嫌がることをしないこと。二つ目は民間友好の種を広くまき、両国の友好関係を深く根付かせること。三つ目は両国が共に直面している高齢化、感染症、自然災害などの問題について協力し、共に努力すること。 

衆議院議員で国民民主党代表の玉木雄一郎氏は次のような意見を出した。安全保障の分野では、日中両国はどんな意見の相違があっても、軍事衝突を避けなければならない。経済分野では、現在の両国の経済発展目標には貧富の差を縮小する要素が含まれており、経済貿易協力の余地は十分にある。人的交流の分野では、映画、テレビ、アニメ、ゲームなどの分野で、両国の若者の交流がますます活発化しており、両国政府はこれを推進する必要がある。 

復旦大学日本研究センター主任の胡令遠氏は、中日両国は時代の発展の変化をいかなるときも把握し、異なる歴史時期における両国関係の均衡点と戦略的利益の最大公約数を共に探し、これによって両国関係の発展を促進し、両国民の幸福を最大化し、地域と世界の平和的発展に貢献すべきだという考えを述べた。 

討論の中で、双方のパネリストは、中日関係の健全で安定した発展について、示唆に富む多くの意見を発表した。2時間の分科会では全ての問題に触れることはできなかったが、双方は中日関係の明るい未来を切り開くために協力したいと一致した考えを示した。 

 

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