PART2 平和秩序分科会 国連憲章順守で秩序を強化

2023-01-09 19:37:35

呉文欽=文

  

現在、過去百年間なかった大変動と新型コロナウイルスのパンデミックが重なり合い、局地的な衝突が激化し、大国間の駆け引きが白熱している。世界の平和が厳しい試練に直面している中、中日両国が国連の枠組みの下でいかに協力し、共に世界の平和を守るかは、今年の「北京_東京フォーラム」のパネリストたちが注目する議題の一つとなった。 

今年新たに設置された平和秩序分科会では、中日のパネリストが「国連憲章の今日的意味と世界の平和秩序の再建」というテーマを巡って踏み込んだ対話を繰り広げた。 

中国国際問題研究院院長の徐歩氏は次のように述べた。国連憲章の中核的内容は、各国が世界の平和と安全の維持に力を入れ、各国の主権平等と領土保全を尊重し、他国の内政に干渉しないことなどを含む。現在、一部の国は自国の利益のために、価値観やイデオロギーによって世界を分断しようと企み、陣営間の対立をあおろうとしている。国際社会は歴史をかがみとし、冷戦という古い道に戻るのを回避し、国連憲章を尊重し、互恵協力を強化すべきだ。 

これに対し、日本の元国連大使である神余隆博氏はこう語った。来年日本が国連安保理の非常任理事国になると、日中両国は国連の枠組みの下で協力を深め、関連改革を推し進めることができる。両国は日中平和友好条約締結45周年という重要な節目を捉え、互いに覇権を求めないという共通認識を振り返り、手本として国際条約を順守し、核軍縮プロセスを推し進め、世界の平和に貢献すべきだ。 

緊迫した状態が続いているロシアウクライナ情勢について、中日のパネリストも率直な意見交換を行った。 

日本総研国際戦略研究所特別顧問の田中均氏は次のような考えを示した。ロシアによるウクライナへの軍事行動は、国際平和秩序を破壊し、国連の安全保障体制を弱めた。日中両国はロシアウクライナ衝突による破壊を直視すべきで、国連の関連協調体制の修復は両国の利益に合致している。 

これに対し、中国人民大学重陽金融研究院執行院長の王文氏は次のように述べた。ロシアウクライナ衝突の大きなきっかけとなったのは、米国をはじめとするNATO(北大西洋条約機構)が東方への拡大をいっそう進め、ロシアの安全を脅かしたことだ。同時に、2022年に入ってから、米国は台湾海峡問題に手を出し続けており、東アジア地域で紛争を引き起こし、戦争を起こそうとしている。中日は域外国家が地域の平和を破壊する動きを警戒し、共に地域の繁栄と安定を守るべきだ。 

中国社会科学院世界経済政治研究所研究員の李東燕氏は、ロシアウクライナ衝突の発生は国連の安全保障体制が機能しなくなったことを意味するわけではないと語った。また、今後国際社会は大国間の安定した安全保障協力関係の構築にいっそう取り組み、改革を通じて国連の役割を強化し、さらに発揮させるべきだという考えを述べた。 

元国連事務次長の明石康氏は次のように述べた。1990年代、日中は国連の要請に基づきカンボジアの平和事業に取り組み、現地で良い連携を行った。国連の関連体制には欠陥があるが、今まで国連が果たしてきた積極的な役割を全面否定してはならない。ロシアウクライナ問題では、日中は意見の食い違いを乗り越え、共にロシアとウクライナの和解平和のために力を注ぐべきだ。 

元中国駐国連ジュネーブ代表団大使の何亜非氏はさらにこう指摘した。ロシアウクライナ衝突の背景は複雑で、「黒でなければ白」という思考で画一的に判断してはならない。中日はアジアの大国として、ロシアウクライナ衝突に関する意見の相違に固執してはならず、取り組むべきなのはまず東アジア地域の平和のために尽力し、そして連携して世界の平和秩序の再構築に力を入れることだ。 

  

協力の土台を強固に 

対話の中で、双方のパネリストは、両国が国際平和秩序の再建に向けて協力を強化することで高度に一致した。 

慶應義塾大学総合政策学部教授の神保謙氏は次のような考えを示した。目下、経済のデカップリング論が盛んになっているが、21年の日中の二国間貿易額は過去最高を記録した。両国は経済的相互依存という客観的な事実を重んじるべきで、安全保障面での食い違いに真摯に向き合い、それを適切に処理すると同時に、経済分野で互いに信頼し合う協力関係を構築すべきだ。 

これに対し、王文氏は、中日が対話を深め、共通認識を求め、価値観の違いを誇張せず、また両国関係の未来に関わる青年交流にいっそう力を入れるべきだと述べた。 

元国務院新聞弁公室主任の趙啓正氏は、日米が同盟関係を強化しても、中日友好平和関係の大局を損なってはならないと強調した。さらに趙氏は、両国は小さなところから取り掛かり、まず中日間の平和と協力の実現に努め、そして東北アジア地域の安全と平和を巡って十分な意見交換を行い、効果的な安全保障体制の確立について話し合い、最後に太平洋地域まで拡大し、中日米3カ国の平和実現に向けた道筋を探るべきだと指摘した。 

2時間にわたる交流対話の中で、意見のぶつかり合いもあれば、協力の未来図も描かれた。最後のまとめでは、中国社会科学院日本研究所所長の楊伯江氏が同分科会の成果を高く評価するとともに、日本は一部の国が国連憲章、国際秩序ひいては世界経済に与えたダメージを客観的かつ理性的に捉えるべきだと指摘し、両国の有識者が連携を深め、世界の公平と正義のために意見や考えをしっかりと伝えようと呼び掛けた。


 

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