PART4 民間企業に安心与える体制

2023-03-13 10:29:00

徐豪=文

昨年の中央経済活動会議では、「『二つのいささかも揺るがせにしない』を着実に実施する」ことが打ち出されたとともに、「プラットフォーム企業が発展をけん引し、雇用を創出し、国際競争で力を発揮するよう支援」しなければいけないと指摘された。 

「中国式現代化は、民間経済の質の高い発展なくしては達成できません。近年、一部の企業は確かに発展の過程で多くの困難に直面しましたが、ここ2年間の対策とすり合わせを経て、主な問題は基本的に解決されました。次は民間経済の発展をさらに促し、民間経営者を安心させることです」と国家行政学院マルクス主義学院の張占斌院長は述べる。 


昨年9月にドイツのベルリンで開催された世界最大級のコンシューマーエレクトロニクスショーで、中国のスマートフォンブランド「オナー」が出展したスマホを体験する来場者(新華社)

 

「内在的要素」と 「味方」 

中国の民間経済は、昔から「56789」という言い方がされている。すなわち民間企業が「税収の50%以上、GDPの60%以上、技術革新成果の70%以上、都市労働者雇用の80%以上、企業数と新規雇用の90%以上」の成果に貢献しているということだ。2021年に民間企業数は4700万社以上に達し、企業数全体に占める割合は933%に増加した。 

習近平経済思想研究センターの黄衛挺副主任は、「二つのいささかも揺るがせにしない」は、民間経済が生まれて継続的に発展成長するための基本的な制度的保障だと指摘した。習近平総書記はかつて、「民間経済は中国の経済制度の内在的要素であり、民間企業、民間経営者はわれわれの味方である」と述べた。「内在的要素」と「味方」という位置付けは、社会主義の基本経済制度の重要な革新であり、中国の特色と時代の特徴を極めて強く備えた習近平経済思想の理論的成果だ。 

張氏は、中央経済活動会議が再び「二つのいささかも揺るがせにしない」を強調したのは、第11期中央委員会第3回全体会議(1978年)から中国の路線に変化がなく、社会主義市場経済の発展の方向性も変化がないことを示す意味が込められていると指摘する。「新型コロナや市場の低迷などが原因で、この2年間、一部の民間企業が困難に陥り、民間資本の投資も歴史的な低水準にあります。われわれは一刻も早く民間企業の積極性を引き出し、市場の期待を高め、市場の自信を強化する必要があります」と張氏は語る。 

乳製品大手の伊利グループの張一鵬副総裁は次のように語った。「『二つのいささかも揺るがせにしない』は、党中央の民間企業に対する高度な重視、強い支持と熱烈な期待を十分反映しています。国は政策の奨励を通じて民間経済のさらなる発展を支援し、世論の誘導を通じて民間企業の社会的地位をさらに高め、財産権の保護を通じて民間企業を安心させています」 


資本を不安にさせない 

今回の会議で初めて提起された「社会上で交わされる『二つのいささかも揺るがせにしない』を堅持するかどうかという正しくない議論に対して、態度を明確にし、曖昧さを残してはならない」というはっきりした表明は、中国の各界から注目を集めた。 

「ここしばらくの間、一部の誤った見解や話し合いによって、『二つのいささかも揺るがせにしない』が世間で少し『動揺している』ように見え、民間資本に不安を与えている」と張氏は述べる。また民間経営者と交流する中で懸念を示されたこともあり、プラットフォーム企業の中にはどのように発展すればいいのかと戸惑っている企業もあると語る。「国は資本を適時指導規制し、秩序正しく発展できるようにし、資本を不安にさせないようにすべきです。監督しなければリスクを招き、発展しなければより大きなリスクが発生します。民間企業が雇用を創出し、発展モデルをけん引し、国際競争に参加するよう奨励すべきです」 

この点について、中国国際経済交流センターの王一鳴副理事長も、政府の監督と企業の発展の関係を把握することが重要だと主張する。「監督強化の目的は、企業のより規範的で健全な発展を促すことであり、発展を止めることではありません。企業の規範的かつ健全な発展を促進する観点から監督方法を改善し、監督水準を高め、現代化産業体系を構築する上であらゆる企業がその能力を発揮できるような状況をつくり出すべきです」と王氏は指摘する。 


民間企業の革新的活力を喚起 

今回の会議に前後して、多くの省が経営者座談会を開催し、一部の省は民間企業座談会も開いた。 

「民間経済の発展を奨励し、民間経営者を応援することは、非常に良い現象です。経済建設を中心に、現代化の発展を推し進めるには、社会全体が民間経済を重視する必要があります」と張氏は指摘する。また、第20回党大会の精神と中央経済活動会議の配置をさらに徹底し、各級政府も民間企業のために問題を解決し実務を行い、財産権保護制度をさらに改善し、民間企業が国の重要プロジェクトと科学技術イノベーションに参加するように奨励しなければいけないと述べる。 

物流大手の伝化(トランスファー)グループの徐冠巨理事長は次のように指摘する。科学技術の発展が新たな産業革命をもたらし、企業のアップグレードモデル技術製品に新たな要求と課題を突きつけ、モデルチェンジアップグレードと自発的な変革がより必要になってきている。伝化グループは、研究開発への投資を増やす一方で、新製品の発表、顧客構造の調整、グローバルサプライチェーンネットワークの事前形成により、海外市場の開拓を進めている。「われわれはチャンスをつかみ、新エネルギー、新素材、バイオテクノロジーなどの重点産業に的を絞り、投資の配置を実行し、発展の主導権を握れるように努力する必要があります」 

 

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