PART6 「中国天眼」を人類共通の目に
第14期全人代代表、「中国天眼」チーフエンジニア姜鵬(談)
「中国天眼」の反射パネルの下で作業員とメンテンナンスについて話し合う姜鵬代表(左)(新華社)
「中国天眼」(500㍍球面電波望遠鏡、略称FAST)は、現時点で世界最大かつ感度が最も高い単一口径の電波望遠鏡で、100億光年離れた所からの微弱な電波信号でも捕捉できる。14年間、私はこの建設に関わってきたが、今でも初めて見たときの衝撃をはっきり覚えている。それは、伝説的なプロジェクトに対して私が持っていた全ての期待と想像をほぼ満たしたと言える。
FASTは、全く新しい望遠鏡の概念で、提案当初は不可能なプロジェクトと思われていたが、中国人の絶え間ない努力によって、ついに技術的な難関を乗り越えることに成功し、誕生した。
2020年、FASTは正式稼動した。今までに、計740個余りのパルサーを発見し、それは同時期に全世界の他の望遠鏡が発見したパルサーの総数の3倍以上であり、一連の国際的な影響力を持つ科学的成果を生み出した。FASTの世界への開放は、国際科学界と全面的に協力するという理念を示す。開放と協力の中で、この重要な観測装置はより良い効果を発揮し、人類が宇宙を探究・認識するために貢献している。
FASTは宇宙の秘密を探求しているが、貴州省のビッグデータ産業の発展にも新たな課題とチャンスをもたらしている。皆の努力によって、その成果を貴州省に根付かせ、そうして、人材を引き付け、貴州の天文学関連事業の発展を促進するプラットフォームを構築できることを願っている。
現在、FASTの多くの指標は世界のトップレベルにあるが、科学技術の急速な進歩を考えると、その技術も時代遅れになる可能性がある。従って、私たちは引き続き、着実に鍵となる技術的問題を解決し、望遠鏡の性能を絶えず向上させ、FASTが人類の宇宙探査の最先端で長く働けるようにしなければならない。
科学研究の最前線にいる代表として、光栄に思うとともに、責任の重さを痛感している。私は、科学技術イノベーション分野で打ち出した国の方針と政策に大きな関心を抱いている。科学研究の最前線は、科学的価値を生み出す最前線でもある。国が科学研究への投資をさらに増やし、優れた人材をより多く集め、科学研究グループの力を強化することを期待している。