科学技術と人材が不可欠
李家祺=文
習近平中国共産党中央総書記・国家主席・中央軍事委員会主席による全人代代表団の審議への参加、全国政協の業界別合同グループ会議への参加は、毎年の全国両会における重要日程だ。習総書記は今年の両会期間中、江蘇省代表団の審議、中国民主同盟、中国民主促進会、教育界からの政協委員による合同グループ会議に参加するとともに解放軍・武装警察部隊代表団の全体会議に出席し、各業種および業界の代表・委員の意見と提言に耳を傾け、科学技術のイノベーションの推進や質の高い教育体系の構築などにまつわる重要講話を発表した。
新たな質の生産力の発展
習総書記は江蘇省代表団の審議に参加した際、第14次五カ年計画の成長目標を達成するためには、経済的に発展した省が支柱としての役割を担わなければならず、江蘇省は科学技術イノベーションと産業イノベーションの融合を促進する上で先陣を切り、深いレベルの改革と高水準な開放の推進において果敢に先頭に立ち、国家の重要な発展戦略の実行で先駆けとなり、人民全体の共同富裕の促進において模範を示さなければならないと強調した。
習総書記は、科学技術イノベーションと産業イノベーションは新たな質の生産力の発展における基本的な道筋であるとし、科学技術イノベーションに取り組む上では現代化産業体系の構築に着眼し、教育・科学技術・人材に共に力を入れる方針を堅持し、科学技術の成果を多く生み出すとともに、それらを確かな生産力へと転換する必要があると指摘した。また、産業イノベーションへの注力に当たっては、実体経済という基盤をしっかりと守り、従来型産業の改造およびアップグレードの促進に加え、戦略的新興産業・未来産業の新たな競争分野を切り開くことを並行して進めなければならないと語った。さらに、科学技術イノベーションと産業イノベーションの融合に力を入れる上では、プラットフォームを構築し、体制・メカニズムを整備し、イノベーション主体としての企業の位置付けを強化し、イノベーションチェーンと産業チェーンのシームレスな連携を実現しなければならないと強調した。
習総書記は、経済規模が大きいほど、前へと発展するにはより大きな推進力を必要とすると述べ、江蘇省は改革開放の深化によって絶えず障害を取り除き、原動力を増やさなければならないと強調した。また、新発展理念を完全・正確・全面的に貫徹し、生産力の配置を最適化し、質の高い発展の推進に力を注がなければならず、民営企業座談会の精神を全面的に実行に移し、各種所有制企業を平等に遇し、ビジネス環境を持続的に最適化しなければならず、制度型開放を安定的に拡大し、国際協力の余地を不断に広げなければならないと指摘した。
江蘇省代表団の審議は、真剣かつ活気に満ちた雰囲気の中で行われた。代表たちはグリーン・低炭素型のモデルチェンジと発展の加速、産業科学技術イノベーションセンターの立ち上げ、トランスレーショナル医療の推進、人々が仲睦まじく暮らすコミュニティーの構築、従来型産業の発展の後押し、伝統戯曲の保護と伝承などにまつわる発言を行った。
科学技術は質の高い発展の推進で要となるエンジンであり、人民の生命と健康を力強く守るものでもある。
全人代代表で南京市第一医院副院長の張俊傑氏は心血管病医療の専門家およびトランスレーショナル医療分野の科学技術従事者だ。張氏は習総書記にここ数年間、自主的な難関攻略の取り組みによって肺高血圧症の治療機器を研究開発したエピソードを語り、自身もチームを率いて毎年全国で低侵襲心臓弁膜症手術を300回以上行うとともに国外で手術指導プログラムを実施し、新たな技術によって患者の心臓を治している。
習総書記は、「あなたの発言を聞いて、感慨深さを覚える。現在、わが国の医療水準や医療機器の水準は世界の先進的なレベルに追い付いており、あなたが語った心血管の手術はその典型だ」と述べ、医療科学技術の進歩は一国のハイレベルな科学技術の自立自強推進の縮図であり、「われわれはこの面で大きく進歩しており、引き続き前に向かって進まなければならず、必ずやよりしっかりと行うことができる」と強調した。
科学技術を支える教育の強化
習総書記は中国民主同盟、中国民主促進会、教育界の合同グループ会議に参加した際、中国式現代化が教育、科学技術、人材に対して求めるものをしっかりと把握し、科学技術と人材を支える教育の役割を強化しなければならないと強調した。
習総書記は、科学技術の自主革新と人材の自主育成の良好な相互作用を実現するためには、先導的・基礎的な支えとして教育の役割をさらに発揮させなければならないと指摘した。さらに、基礎学科および学際的学科におけるブレークスルーの計画をしっかりと実施し、大学・企業・地方政府による共同革新プラットフォームを打ち立て、科学技術の成果を実用化する効率と能力を高めなければならず、人材育成と経済・社会の発展の必要に応じたメカニズムを整備し、人材の自主育成の質と効果を高めなければならないと強調した。
会議に参加した委員たちは職業教育および地域産業の協同発展の推進、基礎教育のリソース配置の最適化、国の教育におけるスマートインターネット構築の推進、科学技術人材教育の一体化発展の推進などについて発言を行った。
全国政協委員で四川省教育庁の蔡光潔氏は、近年の人口分布は都市に重点が移り、学齢人口が次第に減少することで、学位供給の過剰と不足の併存、教師陣の構造の不均衡といったいくつかの新たな問題が生じていると提起した。
習総書記はそれに対し、「現代化の求めに着眼し、人口構造の変化に適応して、基礎教育、高等教育、職業教育を統一的に計画し、政府と社会の投入を一体化させ、より合理的かつ高効率な教育リソース配置のメカニズムを打ち立て、整備しなければならない」と指摘した。
人工知能(AI)の飛躍的発展は教育に新たなチャンスと同時に、新たな試練と憂慮をもたらしている。
全国政協委員で北京郵電大学学長の徐坤氏は自身の実践から、「AIは教育大国から教育強国へとまい進していく上で要となる変数だ」との考えを述べた。
習総書記はAIがいかに教育を後押しするかということについて十分に関心を寄せており、「現在、インテリジェントインターネットやAIの発展によって教育の手段や方法、学生の能力育成に変化が生じているのは、まさしく時代の流れに即した改革を進める必要があるということだ。その一方、学生の知恵と精神、基本的な認識能力、問題解決能力の育成をおろそかにしてはならず、基礎的な修練はなおも重要である」と語った。
習総書記はさらに、「国の教育デジタル化戦略を実施し、学習型社会を構築し、さまざまなタイプの人材が各層で続々と生まれるよう後押ししなければならない」と強調した。