専門サービスで家族も安心
段非平=文
安心は「老後を楽しむ」ための前提条件だ。高齢者にとって、在宅生活で日常的に世話をされるにしても、病院でさまざまな問題に直面するにしても、専門的な付き添いサービスがあれば不安は取り除かれ、老後の暮らしにより大きな安心感を持つことができる。近年、中国の高齢者福祉サービスは、よりきめ細かく、人に寄り添い、専門性の高い方向へと発展しており、より多くの高齢者が落ち着きと尊厳、そしてぬくもりのある老後を過ごせるようになりつつある。
病院での「一時的な家族」
朝6時半、受診サポーターの王梅さんは、リュックに保温ボトル、折りたたみ椅子、ティッシュなどを入れると、急いで家を出た。今日は張さん(78)の心臓の再検査に付き添う予定で、今回が3回目の同行だ。
王さんは慣れた手つきで病院の自動受付機を使って診察の予約と支払いを済ませると、張さんを支えながら循環器内科の待合室へ向かった。検査が終わると、医師の指示を丁寧に書き留め、薬局で薬を受け取り、それぞれの飲み方と量を大きな字でメモに書いて薬の箱に貼り付けた。「年を取って、子どももそばにいないことが多いから、王さんがいてくださり本当に安心できます」と張さんは語った。

王さんは、上海市楊浦区殷行街道(「街道」は都市部の「区」の下にある行政区画)の「99陪診」サービスチームのメンバーだ。このサービスは、同街道の在宅高齢者サービスセンターが提供するもので、受付の案内、診察同行、薬の受け取り、検査結果の代理受領、救急時のサポートなど、受診の各段階をカバーしており、1回99元。サービス開始から1年余りで数百人の高齢者が利用し、その半数以上が複数回利用している。
「自動受付機やオンライン予約、電子検査結果などのデジタルサービスは若い人には便利ですが、スマートフォンや機械操作に慣れていない高齢者にはハードルが高いです。私たちのサービスは、独居や高齢の方が安心して受診できるようにすることを目的としています。『あなたがいてくれて助かった』と言っていただけると、この仕事にやりがいを感じます」と王さんは話す。
中国社会福祉・介護サービス協会など複数の部門が共同発表した「受診付き添いサービス発展研究報告(2025)」によると、高齢者の同サービスへの需要は非常に高い。統計では、コミュニティーで暮らす高齢者の88・54%が受診時に家族が付き添えない状況を経験しており、介護施設ではその割合が98・30%に達している。
需要の高まりはサービスの標準化も後押ししている。昨年5月、中国社会福祉・介護サービス協会が発表した「高齢者受診付き添いサービス基準」は、中国で初めて高齢者の受診付き添いサービスを体系的に定めた基準であり、サービスの流れ、安全ルール、スタッフ研修、苦情対応制度などを定めている。「受診付き添いは、その場でのみ手伝う仕事ではなく、信頼関係を築きながら長く続くサービスです。こうした基準が整備されることで、より専門的で安全、そして心のこもったサービスとなり、高齢者の医療利用の権利を守ることにつながります」と同協会執行会長の徐建中氏は語る。
現在、北京・上海・広州などでは、高齢者の受診付き添いを「基本介護サービス」(政府が保障する基礎的高齢者福祉サービス)の項目に組み込み、一部地域では費用を「長期介護保険」によって一部補助する試みも進んでいる。多くの受診サポーターが、高齢者にとっての「一時的な家族」となり、安心して受診できる環境を支えている。
病室での専門的介護
入院した高齢者とその家族にとって、「一人が病気になると、家族全員がバタバタする」という状況は長年の悩みだった。昨年6月、中国国家衛生健康委員会、国家中医薬管理局、国家疾病予防制御局などは「入院付き添い不要看護サービス」の試行を開始した。看護師や病院が雇用する医療ケアスタッフが入院患者の生活をケアする取り組みは、この長年の課題を解決する現実的な道筋を示している。
常津文さん(60)はこのサービスの利用者の一人だ。脾臓の多発性嚢胞のため天津市第三中心病院で手術を受け、十数日間の入院が必要となった。自宅では90歳の義父と85歳の義母の世話があり、息子夫婦も仕事が忙しく、4歳の孫の面倒も見なければならない。長期入院と聞き、家族は困ってしまった。
事情を知った担当医から「入院付き添い不要看護サービス」を紹介された常さんは考慮の末に利用を決めた。「子どもたちに負担をかけたくなかったですし、医療スタッフの方が私たち素人よりもずっと専門的だと思いました」
17日間の入院生活の中で、常さんは専門的な介護がもたらす安心感を実感した。朝の洗面やバイタルチェックから、食事の配膳、日常の看護、検査への付き添いまで、全て専門スタッフがつき、家族は決められた面会時間に見舞いに来るだけでよく、仕事や生活への影響はほとんどなかった。
入院期間中のきめ細かな看護は、「治療3割、看護7割」という言葉を裏付けるものでもあった。常さんを担当した看護師の田麗さんによると、入院患者、特に行動が不自由でベッド上で療養している人に対しては、介護には厳密な基準が設けられているという。毎日足を清拭する際、看護師は足部の肌の温かさを確かめ、足背動脈の拍動の状態を観察し、もし異常なサインを見つけた場合は、直ちに医師に報告して下肢の血栓などの合併症のリスクを確認する。「こうした変化は、ご家族にはなかなか気付きにくく、判断も難しいものです。私たちは専門的な訓練を受けているので、どのようなサインがリスクを意味するか分かっているのです」
専門的な介護に加え、常さんの心の負担も大きく軽減された。「入院が怖かったのは、病気そのものだけでなく、家族に負担をかけてしまうと感じていたからです。今回は、本当に安心できました」。入院付き添い不要看護サービスのおかげで、彼女は心理的な重荷を下ろし、余計な心配をせずに療養に専念できるようになった。
「近年、子どもと親が別々の地域に暮らす家庭が増え、従来の家族による介護は、大きな負担がかかる上に、非専門的な介護では入院中の高齢者の回復ニーズを十分に満たせなくなっています。病院による『入院付き添い不要看護サービス』の導入は、一般家庭の負担を大幅に軽減すると同時に、標準化され、きめ細やかな専門介護によって、入院高齢者の健康と尊厳を守る取り組みでもあります」と、国家衛生健康委員会衛生発展研究センター研究員の郝暁寧氏は述べる。
自宅での心の寄り添い
中国の人口高齢化が一段と進行する中で、在宅介護サービスの需要も急速に高まっている。第5回中国の都市・農村部の高齢者の生活実態調査によると、現在中国の要介護高齢者(4)は約3500万人に達し、専門的な生活支援を早急に必要としている。一方で、身体は健康で自立した生活を送る多くの独居高齢者が、生活に大きな不自由はないものの、日々の付き添いやコミュニケーションを強く求めている。こうした多様化する高齢者のニーズをどのように満たしていくかが、社会全体の課題となっている。
「要介護状態にある高齢者にとって、付き添い介護は単に食事を口に運んだり体位を変えたりするだけではなく、専門的な知識と長年の経験が求められます。一方、比較的健康な独居高齢者にとっては、生活上の世話よりもむしろ『そばにいてくれること』の方が重要であり、耳を傾けてくれる人、語り合える人がいてこそ、一人暮らしの孤独感を和らげることができます」と、中国家庭サービス業協会会長の王淑霞氏は述べる。

多様なニーズに応えるため、一部の専門的な介護サービス機関がすでに新たな取り組みを進めている。北京では、慈愛嘉介護サービス会社が、受診準備から介護後のフィードバックまでを一貫してカバーするサービス基準を構築している。全ての付き添いスタッフは体系的な理論学習と十分な実地研修を受け、試験に合格してはじめて現場に出ることができる。こうした仕組みにより、サービスの専門性と標準化を確保している。会社はさらにデジタルプラットフォームを構築し、サービス品質を全行程で追跡・評価する。家族はスマホアプリを通じて、毎日の介護記録や食事・生活の様子を確認でき、サービス終了後にはオンラインで評価や採点を行える。その評価結果は、介護スタッフの受注件数や給与ランクに直接反映される。「以前は介護ヘルパーを頼むとき、きちんとサービスしてくれているのか、親がちゃんと過ごせているのか、いつも不安でした。今はスマホでいつでも様子が見られるので、全てがはっきり分かり、私たち子ども世代は外で働いていても本当に安心できます」とある利用者の家族は話す。
専門的な介護機関だけでなく、さまざまな公益プロジェクトも大きな役割を果たしている。杭州では「我愛飯米粒(I love family)」という高齢者付き添いプロジェクトが、研修を受けたボランティアを募集し、週に一度、独居高齢者の自宅を訪れ、一緒におしゃべりをしたり、新聞を読んだり、スマホの使い方を教えたりしている。「ときに高齢者が必要としているのは、何かをしてくれる人ではなく、自分の話を聞いてくれる人なのです」と同プロジェクトの担当者は話す。80代のある独居高齢者は、このプロジェクトに参加してから精神状態がはっきりと改善したという。「以前は家で一人きりで、一日ほとんど誰とも話さない生活でした。今は毎週話し相手が来てくれるので、平凡な毎日が充実して楽しいものになりました」と語っている。
各地のコミュニティーもサービスの潜在力を掘り起こし続け、高齢者へのケアを日常の中に溶け込ませている。「マンション管理会社(5)+介護・高齢者ケア」というモデルは、まさにそのような有益な取り組みであり、在宅介護サービスの最後のピースを効果的につないでいる。蘇州工業パーク斜塘街道の海徳コミュニティーでは、マンション管理会社のスタッフである張さんが、毎週決まった時間に団地内の数人の独居高齢者の自宅を訪ねている。ある時、陳さん(75)の家を約束通り訪ねたがインターホンにも電話にも応答がなかった。張さんはすぐにコミュニティー担当者と鍵開け業者に連絡し、室内に入ってみると、高血圧の発作でリビングに倒れている陳さんを発見した。幸い発見が早く、病院に搬送された後、危険な状態を脱することができた。「マンション管理会社のスタッフは毎日団地の中を回っていて、高齢者のことを一番よく知っています。彼らの一言の声掛けや一度の訪問こそが、高齢者にとって最も必要な安心感になるのです」と街道の関係責任者は話す。
通院時の心温まる付き添い、入院中の専門的介護、そして自宅での生活支援や精神的な寄り添い、こうした多様で専門性の高い付き添い・介護サービス体制によって、より多くの高齢者が、温かな見守りの中で、安心して充実した穏やかな老後を過ごすことができるようになった。
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