高齢者に寄り添うハイテク

2026-08-25 15:39:00

段非平=文 

介護ロボットが老人ホームに導入され、外骨格スーツが高齢者の快適な歩行を助け、スマートデバイスが高齢者の身近な生活アシスタントとなる。近年、科学技術がかつてない形で高齢者の生活に溶け込み、介護の質を高め、高齢者の安らかな老後に寄り添う心強い協力者となっている。 

家族になる介護ロボット 

小悉シャオシー、今日の天気は?」 

「はい、王さん。今日は晴れ、空気質指数は良好、散歩にピッタリです。でも紫外線指数はやや高めなので、帽子をお忘れなく」 

王さん(83)と会話しているのは、「小悉」と呼ばれるスマート介護ロボットだ。心強い付き添いサービスと全面的な健康管理能力によって、「小悉」は杭州千予和スマート介護センターで一番人気の特別な「スタッフ」だ。 

かわいらしい見た目の「小悉」は質問の受け答えや雑談はお手の物。ユーモアにあふれ親しみやすく、高齢者の日々に楽しみとぬくもりを添えている。このほかに健康モニタリング機能も備え、血圧、血中酸素濃度、心拍数など複数の身体データを収集し、専用の健康ファイルを自動的に生成、高齢者の家族のスマホに同期してそれを送信する。それにより、家族は高齢者の健康状態を遠くにいながらにして把握できる。「これまでは電話で父から具合を聞いても、『大丈夫だ』としか言われなかったので本当かどうか判断できなかったです。いまはスマホでさまざまなデータを見られるので、とても安心です」と王さんの娘は話す。 

「スマートパートナーのおかげで、高齢者の健康データがリアルタイムで更新され、異常が見つかれば直ちに家族やかかりつけ医に連絡できます」と杭州千予和スマート介護センター総経理の王義秋氏は語る。王氏によれば、センターは三甲病院(中国で最もレベルの高い病院)とグリーンチャンネルを確立し、緊急時の迅速な搬送を保証している。「科学技術のぬくもりで、『老後の頼り』の再定義をしたいです」と語った。 

現在、「小悉」は杭州の多くのコミュニティーの介護サービスセンターや一部の高齢者宅で試験的に導入されている。技術チームはユーザーのフィードバックに基づいて製品機能をアップデートしている。最近新たに導入した「服薬リマインダー繰り返し通知」機能は、ある家族の提案をもとに改善したものだ。高齢者が決められた時間内にロボットの前で薬を服用しなかった場合、ロボットが15分置きに通知し、3回の通知後に自動的に家族または介護スタッフに連絡する。これによって高齢者の薬の飲み忘れを最大限防ぎ、日常の服薬管理を徹底している。 

外骨格で歩行が楽に 

高齢者向け科学技術製品を一堂に集めた展示施設である杭州銀齢生活体験センターは昨年10月に一般開放されてから数千人の高齢者が「探検」に訪れている。館内で最も人気な展示物はスーツ型外骨格ロボットで、歩行不便な多くの高齢者がわざわざ訪れ、このスマートデバイスがもたらす変化を実体験する。 

趙さん(74)は変形性膝関節症に悩まされ、足に力が入らず、階段の上り下りが特に大変だった。スタッフに補助されて、わずか1の外骨格ロボットを装着すると、機器が軽量なサポートフレームのように両足の外側にフィットし、足を上げる瞬間に適切なアシスト力が加わった。「今まで階段を上がるときに感じていた足のだるさや痛みがなくなり、誰かが横で足を上げるのを手伝ってくれているようで、全く疲れなかった」とうれしそうに話した。 

「この外骨格ロボットは股関節部のセンサーで使用者の動作の意図を認識し、足を上げたり歩いたりする過程で正確なアシスト力を出力します。アシスト力は精密に調整され、強すぎることも弱すぎることもなく、安全かつ安定して使用できます」と担当者の王廷廷さんは説明する。

 

近年、高齢者向けスマート歩行補助機器のニーズは高まる一方で、外骨格ロボットも急速に発展している。業界のデータによると、昨年の中国外骨格ロボット市場規模は42億元に達し、特に医療リハビリ分野での成長は著しく、今年の市場全体の成長率は25%以上を維持する見込みだ。ハイアールなど多くの有名企業が続々とシルバー市場に参入し、高齢者向けに設計された外骨格製品を発表している。今年6月に開かれた上海国際高齢者福祉補助器具リハビリ医療博覧会では、数多くの一般消費者向け外骨格が展示され、より軽量で装着しやすく、価格もお手頃だった。これまで外骨格ロボットの大半は医療機関向けで、1台十数万~数十万元もしたため、一般家庭では手が出せなかった。現在、個人ユーザー向けの外骨格ロボットの値段は7000~2万元の価格帯に下がっている。「技術のアップデートと産業チェーンの整備に伴い、外骨格ロボットの価格はさらに下がり、より多くの一般家庭に受け入れられるでしょう」と王さんは話す。 

ハイテクで安全な未来の家 

昨年10月に開かれた北京国際高齢産業博覧会で、北京経済技術開発区が手掛けた「コミュニティー介護モデルルーム」が注目を集めた。 

この「未来の家」では、生活の細部が再設計されている。リビングの片隅に置かれた囲碁象棋ロボットは気の長い対戦相手として、高齢者が指すのがどれほどゆっくりでも途中で席を立つことはない。健康モニタリング設備がはめ込まれた鏡は、洗面台の前に立つだけで心拍数や血圧、血中酸素濃度などのデータを自動的に鏡面に表示する。ARグラスは音声を字幕として耳の不自由な高齢者の目の前に表示することで、テレビの音量を最大にする必要がなくなる。 

趣味、健康、視聴覚補助のほか、このモデルルームのスマート転倒防止システムも高く評価された。高齢者がうっかり転んで長時間床に倒れたままなどの危険な状況を感知すると、スマート検知設備がすぐに光と音によるアラームを発し、家族または介護スタッフに自動で知らせる。これにより一人暮らしや高齢者がいる家庭での安全リスクを根本的に下げる。 

「ここは無機質に機械を並べている場所ではなく、思いやりあふれる『未来の家』なのです。高齢者がわざわざ使い方を学ばなくとも、技術はそこにあって黙々と役割を発揮します。良い科学技術とは、その存在を感じさせないものだと思います」と現場のスタッフが説明する。 

このモデルルームはわずか半年でコミュニティーに導入された。今年3月、世界初のスマートヘルスケアロボット高齢者サポートステーションが北京の栄華街道で正式に運用を開始した。1100平方の空間に24社が製造した40台余りのスマートロボットが溶け込み、案内、配膳、おきゅうやマッサージ、リハビリトレーニング、囲碁や象棋の対局相手やお茶出し係まで、スマート介護はコンセプトモデルから高齢者が実際に触れられる日常のサービスになった。 

この高齢者サポートステーションは、北京経済技術開発区が打ち出した「エンボディドAI社会実験計画」の重要な実証シーンの一つだ。「社会実験」とは、ロボットを実際の介護現場に投入し、リアルな利用データとユーザーのフィードバックを収集し、それに基づいて製品を継続的に最適化することを指す。「スタッフは高齢者の日々の利用データをもとにロボットを継続的に改善し、製品を高齢者の使用習慣により適合させていきます」と、高齢者サポートステーション責任者の張文東氏は説明する。 

スマート介護の現実と未来 

近年、中国は介護ロボット分野で長足の進歩を遂げている。製品がカバーする範囲から見て、市場はすでに生活介護、健康モニタリング、コミュニケーションパートナー、移乗介助、リハビリ支援という五大カテゴリーに拡大し、高齢者の日常看護のほぼ全てをカバーし、今年の市場規模は100億元を突破すると見込まれている。 

しかし技術的実現という深さから見れば課題はまだある。少なくない業界関係者が、介護ロボットは複雑で精密な動作の実行にまだ弱点があると指摘する。ロボットが高齢者の体を洗うシーンでは、人体の姿勢を正確に把握し、水温と水圧を調整し、転倒を防止するなどの複雑な能力が必要になり、「詩を朗読する」や「服薬を促す」とは比べものにならないほど難しい。また値段もハードルであり、一般家庭にとって介護ロボットを購入するのは大きな出費である。 

これらの課題に政府、企業、研究機関は総力を結集しつつある。技術開発面では、昨年に工業情報化部と民政部が共同で「スマート介護サービスロボットペアリング型開発とシーン応用試験プロジェクトリスト」を発表し、コミュニケーションパートナー、リハビリ支援、生活介護、歩行補助など10のシーンに対して技術開発プロジェクトを配置した。価格の最適化については、コアパーツの国産化率が高まり続け、製品価格の着実な低下を後押ししている。また、レンタルやRaaS(Robot-as-a-Service、ロボットのサブスク化)などの新たなモデルも次々に一般化している。広州や上海で試験的に導入されている外骨格ロボットレンタルは、月額約800元しかかからず、家庭での初期導入コストを大幅に下げている。 

科学技術が人間のニーズを真に理解し人間に奉仕するとき、それはもはや冷たいロボットではなく、ぬくもりのあるパートナーだ。介護ロボットを体験した高齢者はこのようなことを言った。「これは私を嫌がらないし、しゃべるのが遅いとも言わない。いつ話し掛けてもちゃんと応えてくれる」。この「いつでも応えてくれる」の確かな感覚が、高齢者への科学技術の最高の贈り物なのかもしれない。 

人民中国インターネット版

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