海岸線修復の成果を大海へ
黄江勤=文 VCG=写真
かつて生態系の破壊によって被覆率が70%も減少した広西チワン(壮)族自治区の潿洲島のサンゴ礁が、今年6月に初めて大規模な自然産卵と繁殖を実現した。面積が2万2000㌶にまで縮小した「海の肺」と呼ばれるマングローブ林が3万300㌶にまで回復した。中国の海洋生態修復の成果は、海岸線上に明確に現れている。
「森林」に戻るサンゴ礁
広西チワン族自治区北海市にある潿洲島は中国で最も大きく最も若い火山島で、中国大陸沿岸で緯度が最も高いサンゴ礁を持つ。サンゴ礁は海底のわずか0・2%を占めているにすぎないが、そこには世界の4分の1の海洋生物が暮らしている。1980年代の潿洲島の海域はサンゴが繁茂する楽園だった。しかし地球温暖化や海水温上昇、乱獲や陸からの汚染などの複合的影響によって生態系は大きなダメージを受けた。15年までに生きたサンゴの被覆率は5%未満にまで急落し、サンゴ礁に生息する魚類は目に見えて減り、一部の希少種は絶滅の危機にひんした。
「初めて海底に潜って調査したとき、色とりどりの小魚やサンゴに圧倒されました。しかし他の調査地点ではそれほど美しくなく、サンゴが全く見られない地点もありました」と、広西大学海洋学院准教授の黄雯氏は振り返る。このギャップが彼に潿洲島に根を下ろす決意をさせた。
15年に広西大学サンゴ礁科学研究チームは潿洲島に拠点を置き、サンゴ礁の保護・修復作業を系統立てて開始した。チームは陸上の植林に似たモデルを採用し、実験室と海域の苗畑でサンゴの幼苗を育成し、ダイバーが海底に潜ってサンゴの断片を牡蠣殻の苗受けや人工サンゴ礁に固定した。繊細なサンゴを傷つけないよう、ダイバーは常に浮遊状態で作業し、波、低温、低視認性といった過酷な海中環境で作業している。
単純な人工移植では長期的な保護が難しいため、技術革新こそ鍵だった。チームは独自にサンゴと褐虫藻の協調的暑熱順化技術を開発した。段階的な昇温順化により耐熱性サンゴ系統を育成し、サンゴの耐熱性を約2度向上させ、種苗の生存率を80%以上に安定させた。さらに、種質収集、実験室順化、野外定植、長期的モニタリングという全工程を網羅した育成体系を構築し、現地海域に適合し、かつ他地域でも再現・普及可能なサンゴ修復の「広西モデル」を確立した。
10年余りの取り組みの成果が徐々に現れている。現在、潿洲島には30㌶のサンゴ礁生態修復モデル区が整備され、1520基の人工サンゴ礁が設置され、累計8万株以上のサンゴが移植された。島全体の人工サンゴ礁修復面積は累計38㌶に達し、全国最大規模を誇る。サンゴの種類は46種から62種に増加し、生きたサンゴの被覆率も大幅に向上した。サンゴの苗が日々成長する様子に黄准教授は感慨深く語る。「23年末に植えたシカツノサンゴはすでに二十数倍に成長しました。成長の遅い塊状サンゴでも、ほぼ2倍成長しています。サンゴ礁が海の中でしっかり育ち、回復すれば、海洋環境もとても良くなります。海洋環境が良くなれば、地球全体が良くなるのです」
今年、潿洲島の生態修復海域のサンゴコロニーは初めて大規模な自然産卵と繁殖を達成した。これは人工修復海域が完全な生態的自己回復システムを構築していることを示し、修復作業が「人工的な輸血」から「自然な造血」の新たな段階に上ったことを意味している。昨年に潿洲島サンゴ礁生態保護・修復プロジェクトは自然資源部の海洋生態保護・修復の典型的成功事例に選ばれ、サンゴ礁修復の「国家モデル」となった。潿洲島はまた、全国初の「和美海島(生態美・生活美・生産美を基準に選定される国家級モデル海島)」および国連の「新・持続可能な都市と人間居住賞」にも選出された。
生態環境の改善は経済発展もけん引している。昨年、潿洲島の観光客数は延べ200万人を突破した。現地では「研究+科学普及+観光+コミュニティー」という協働保護の新モデルを構築し、「サンゴ里親制度」「100人サンゴ植え付け」などの公益プロジェクトを立ち上げ、国民全体の保護の力を結集している。
渤海湾の造林
中国北部の渤海湾では、曹妃甸がもう一つの「海底草原」の物語を紡いでいる。
曹妃甸の藻場は河北省唐山市にあり、中国に現存する単一種で最大の連続藻場だ。藻場はマングローブ林やサンゴ礁と並ぶ三大海洋生態系の一つであり、炭素固定、海岸保全、生物多様性維持において不可欠な役割を果たしている。しかし、人間活動や自然変動の影響を受け、この「海底草原」はかつて劣化の危機に直面していた。
19年から唐山市は曹妃甸海域の938㌶の藻場に対して生態修復を実施した。現地では「自然回復を主とし、人工修復を従とする」という原則に従い、種苗移植、植株移植、播種などの複合技術を採用し、「除去・修復・保護」を併行して進めた。

中国科学院海洋研究所のチームが初めて開発した「海草シードボール(泥団子)播種法」は、唐山のほか、山東省の威海・青島・東営などでも広く応用されている。この方法は海草の種子を特製の泥団子に包み、機械的に海中に散布することで、播種効率と活着率を大幅に向上させる。曹妃甸では、2000万株以上の海草を移植し、
1000万粒以上の種子を播種した。
持続的な修復を経て、曹妃甸の藻場の退行傾向は効果的に抑制され、海草の被覆度は著しく向上し、生物多様性指数は前年比42・3%増加した。この「海底草原」は再び豊かに繁茂するようになった。
この生態防衛戦では、漁業で生計を立てていた多くの漁民が網を収め、藻場の「守護者」へ転身した。劉岩杉氏もその一人だ。海草の移植・管理作業に全面的に携わった彼は、海域の変化を肌で感じている。「以前は沿岸が何もなく、魚やエビがどんどん減っていきましたが、今は水中に海草が揺らぎ、タツノオトシゴや小さな貝が至る所で見られます」。修復事業はまた、周辺の村や町に100以上の雇用機会を提供し、漁民の生態管理や海洋学習ツアーサービスへの転換を促進した。
昨年6月、曹妃甸藻場生態保護・修復事例は自然資源部の海洋生態保護・修復典型事例に選出された。同年、「藻場植生修復炭素隔離方法論」が正式に発表され、市場メカニズムを通じて藻場の炭素隔離価値が実現されることになった。つまり、修復された藻場は、生態的効果に加えて、定量化可能な炭素隔離収益を生み出すことができるのだ。
修復の経験を世界と共有
潿洲島と曹妃甸の物語は、中国の海洋生態修復の一端にすぎない。
昨年3月末時点で中国は累計で海岸線480㌔、沿岸湿地3万3000㌶の整備・修復を完了した。24年の全国沿岸域の良好な水質の割合は83・7%に達した。モニタリングデータによれば、全国283の湾のうち、168の湾で良好な水質の面積が85%を超え、117の湾で全域で良好な水質を達成した。中華シロイルカ、ゴマフアザラシ、ヘラシギなどの希少種の生息地が効果的に保護されている。初の33の「和美海島」では、島が緑豊かで、海岸が清潔で、水が澄み、生物が豊かという新たな姿がおおむね形成された。
マングローブ林の修復において中国は約5年で累計8800㌶以上を造成し、8200㌶を修復した。面積はすでに3万300㌶に達し、今世紀初頭と比べて約8300㌶も増えている。中国は世界でも数少ないマングローブ林が純増している国だ。
これらの修復の成果によって蓄積された技術と経験は、今まさに国境を越え、より多くの国の海岸線へと広がりつつある。中国とASEAN諸国との海洋生態協力はその代表的な例だ。
中国とASEAN諸国は海で結ばれており、マングローブ林の劣化、サンゴの白化、海岸侵食、漁業資源の減少といった類似した海洋生態の課題に直面している。近年、双方の海洋生態協力は「対話・交流」から「プロジェクトの実装」へと移行している。
メカニズムの構築は生態協力において重要な支えとなっている。21年に中国はブルーエコノミーパートナーシップの構築を提唱し、中国・ASEAN自由貿易協定3・0グレードアップ議定書はブルーエコノミー協力に制度的枠組みを提供した。中国・ASEANブルーエコノミー協力発展フォーラムなどの制度化されたプラットフォームも相次いで設立された。枠組みの下、一連の実務協力が各国の海岸線上で展開されつつある。
カンボジアでは、国家海洋技術センターとカンボジア環境省が合同作業部会を編成し、ココン州にマングローブ苗圃モデル拠点を建設した。昨年の初回現地調査に続き、今年4月には自然資源部第四海洋研究所の技術チームが再びカンボジアを訪問し、マングローブの生物多様性調査を系統的に実施し、ロン島のマングローブ生態基礎データを整備した。カンボジアのイアン・ソパレット環境大臣は、「中国の数十年にわたる海洋生態修復の経験は、カンボジアが海岸生態の劣化に対応するための実践可能な解決策を提供しており、グリーン協力は沿岸住民に実質的な恩恵をもたらしている」とし、中国・カンボジアのマングローブ協力を高く評価している。
タイでは、自然資源部第一海洋研究所がタイ・プーケット海洋生物センターと中タイ気候・海洋生態システム共同研究室を共同設立した。今年6月には、中タイ初の沿岸域陸海共同観測ステーションの建設が開始され、第一海洋研究所はタイ側に中国が独自開発した陸海一体型モニタリング機器一式を引き渡した。ベトナムでは、マングローブ保護・修復と海洋生物病害対策に関する協力プロジェクトが調印された。ミャンマーとインドネシアでは、複数の国際協力モデル拠点が設立されている。
協力はプロジェクトの実施にとどまらず、人材育成も同時に進められている。中国・ASEAN諸国海洋科学技術共同研究開発センターは、すでにASEAN諸国に対して数百人の海洋科学技術・管理人材を育成してきた。昨年発表された「沿岸域生態系を活用した防災・減災国際事例集」には、世界わずか9事例の中に中国の海洋生態修復の経験も含まれている。中国の海洋生態修復の「内なる力」は、「海外展開」の自信へと変わりつつある。
北海のサンゴ礁から曹妃甸の藻場へ、カンボジアのマングローブ林からタイの共同観測ステーションへ――中国の海洋生態ガバナンスは今、新たな物語を紡ぎ始めている。それは自国の青い海と白い砂浜を守るだけでなく、隣国と共にその共有の大きな海を守るという物語だ。